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レース考察

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記事一覧

重賞勝ち馬考察:ダンツエラン(ファンタジーS)

父:ロードカナロア 母:ミスチヴァスミスティ 母父:Into Mischief  母のミスチヴァスミスティはストームキャット4×3、「ワットアプレジャー=クリアシーリング」6×4のクロスを内包。どちらの仕掛けもボールドルーラーの血が関与しており、アメリカのスピードがしっかりと固定されています。その一方で「ヒズマジェスティ=グロースターク」5×5も兼備。欧州の底力が脇を固めている点も好印象です。  そんな母にロードカナロアを組み合わせて誕生したのが本馬。ストームキャット3×

重賞勝ち馬考察:パンジャタワー(京王杯2歳S)

父:タワーオブロンドン 母:クラークスデール 母父:ヴィクトワールピサ  名牝・ソニンクを牝祖にもつ、筋の通った良血馬です。おじはダービー馬のロジユニヴァース。またディアドラやソングラインなど、近親からも多くの活躍馬がでています。  本馬の配合で最初に目に止まったのが「タッチオブグレイトネス≒グリーンデザート」4×4のニアリークロス。ノーザンダンサー、サーアイヴァー、ナスルーラ、ウォーアドミラル、ラトロワンヌ、ボーペールなどの脈絡によって成立しています。構成要素のひとつで

重賞勝ち馬考察:ダノンマッキンリー(スワンS)

父:モーリス 母:ホームカミングクイーン 母父:Holy Roman Emperor  父のモーリスは現役時代に挙げたGⅠ6勝のうち4勝がマイル戦。母の父・ホーリーローマンエンペラーは短距離GⅠを2勝した馬。この両者が「アメリフローラ≒デインヒル」、「ノーザンテースト≒ファンフルルーシュ」のニアリークロスを介して脈絡しています。どちらも屈強なパワーの増幅にまつわる仕掛け。同時にホーリーローマンエンペラーの主要な血をまるごと抑えた仕掛けでもあります。本馬の前進気勢や突進力はこ

重賞勝ち馬考察:ブラウンラチェット(アルテミスS)

父:キズナ 母:フォエヴァーダーリング 母父:Congrats  父・キズナの配合視点で言えば、ポイントとなりそうなのは『レディビーグッド』でしょうか。この血をもつキズナ牝駒は17頭中11頭が勝ち馬(※24年10月現在)。本馬のほかにステラリア(エリザベス女王杯2着)、スマートリアン(福島テレビOP)、ベリーヴィーナス(4勝)などがでています。  ただし本馬においてレディビーグッドがもたらす恩恵は、ちょっぴり嬉しいオマケ程度、という印象です。競走能力という意味では、純粋に

GⅠ勝ち馬考察:ドウデュース(天皇賞・秋)

父:ハーツクライ 母:ダストアンドダイヤモンズ 母父:Vindication  母方のシアトルスルーとゴーンウェストを中心に、アメリカ血統をたっぷりと補給。スピード色が良く表現された馬です。ハーツクライ産駒らしい緩さがなく、とくに胸前の発達と、掻き込みの力強さが目を引きます。母の父・ヴィンディケーションは現役時代にBCジュベナイルを勝ち、4戦4勝で米最優秀2歳牡馬になった馬。本馬が2歳でGⅠを勝てたのは、この早熟性のおかげでしょう。  3代内にゴーンウェストの血をもつ馬の

天皇賞・秋:全馬プチ雑感&ポンコツ予想

ベラジオオペラ 機動力を武器にするアイドリームドアドリーム牝系の出身。重賞3勝はすべて小回りコース。渋った馬場は得意。 マテンロウスカイ 母系の重厚な底力がきいている。タフな環境に強いタイプ。渋った馬場も得意。 ステラヴェローチェ 重厚さが濃い中距離馬。前進気勢が強く折り合いが大事。渋った条件は得意。 タスティエーラ スピードの質がやや淡白。3ハロンの瞬発力勝負ではなく、4ハロンのスピードの持続戦を挑みたい。 ノースブリッジ カコイーシーズの馬力が効いたタイ

天皇賞・秋 有力馬血統考察

リバティアイランド レーベンスティール ドウデュース ベラジオオペラ ソールオリエンス

重賞勝ち馬考察:ジュンブロッサム(富士S)

父:ワールドエース 母:エンプレスティアラ 母父:クロフネ  父のワールドエースは、欧州の重厚なパワー血脈が豊富。そのパワーを推進力に昇華させ、スピードとしていかす種牡馬です。一方、母のエンプレスティアラは血統構成のほとんどが北米血脈。欧州の血は皆無と言っても過言ではありません。欧州の父×北米の母という真逆の組み合わせ。互いにないものを補い合っています。  母方の影響を考えると、アメリカらしい淡白なスピードが出ているのではないかと考えていました。過去の記事でもそのようなこ

GⅠ勝ち馬考察:アーバンシック(菊花賞)

父:スワーヴリチャード 母:エッジースタイル 母父:ハービンジャー  スワーヴリチャード×母の父ハービンジャー、そして祖母がランズエッジという配合。ホープフルSの勝ち馬・レガレイラとは、血統構成がまったく一緒のイトコ同士です。母の父・ハービンジャー、2代母の父・ダンスインザダークがともにスタミナ寄り。全体的に重厚な血統です。レガレイラは牝馬のぶん、先天的な素軽さによってバランスが取れていました。一方の本馬は男の子。筋肉質でもっさりとしており、やや偏った印象をうけます。  

菊花賞:全馬プチ雑感&ポンコツ予想

ピースワンデュック パワーと持続力に長けたタイプ。前半ゆったりとリラックスさせて、後半からのロングスパートに備えたい。 ノーブルスカイ 引き締まった肉体を機敏に使う機動力型。タフな馬場が合いそう。ダートでの走りを見てみたい。 アスクカムオンモア 重厚な持続力に富んだタイプ。渋った馬場が得意。臆病な感じに見えるので、馬群を割るような競馬は苦手かも。 ダノンデサイル 柔軟性と馬力の両方を兼備。どちらかと言えば持久力に強みがある。コーナリングがあまり上手ではないので、

菊花賞 有力馬血統考察

ダノンデサイル アーバンシック コスモキュランダ メイショウタバル へデントール  しなやかなフットワーク。その一方で線が細く、頼りない印象を受ける見た目をしています。これは母のコルコバードに由来する特徴。ステイゴールドとエンドスウィープの体質がよく表れています。本馬の場合は父・ルーラーシップ譲りの雄大な走りも受け継いではいますが、本質的には母に似た競走馬でしょう。母は現役時代に丹頂S(2600m)で2着になったスタミナ馬。本馬もステイヤー適性が高そうです。  先述

GⅠ勝ち馬考察:レモンポップ(南部杯)

父:Lemon Drop Kid 母:Unreachable 母父:Giant's Causeway  父方の祖父・キングマンボと、母方の祖母・ハーピアを組み合わせて、パワーを前面に出したタイプ。屈強な肉体を使った突進力は、なかなかの凄みがあります。ちなみにハーピアは、あの歴史的な名種牡馬・デインヒルの全妹。世界的にみても指折りの良血馬です。 ※以下の記事もご参照ください  基礎スピードが非常に優秀。つねに他馬より1段上のニュートラルスピードで走ることができます。この資

重賞勝ち馬考察:ブレイディヴェーグ(府中牝馬S)

父:ロードカナロア 母:インナーアージ 母父:ディープインパクト ※こちらの記事もあわせてお読みください  本馬はミスタープロスペクター4×5、ヌレイエフ5×5のクロスを内包。キングマンボ(ミスプロ×母父ヌレイエフ)の要素を刺激しています。実馬の走りにも突進的なパワースピードが表れており、キングマンボの資質が濃く伝わっている印象です。エンジンを点火させたときの加速がすごく、ピッチを上げて一気にトップスピードに乗せることができます。瞬発力勝負に強いタイプでしょう。  なお

GⅠ勝ち馬考察:チェルヴィニア(秋華賞)

父:ハービンジャー 母:チェッキーノ 母父:キングカメハメハ  ハービンジャー×母の父キングカメハメハの組み合わせは、ブラストワンピース、モズカッチャンという2頭のGⅠ馬をだすパターンです。近年はそこまで大きな実績を残していませんでしたが、昨年から勢いが復活。本馬とローシャムパークの登場によって、久しぶりに存在感を強めています。  本馬は3代母に名牝・ハッピートレイルズをもつ良血馬です。この一族は豊富なスタミナが持ち味。19年のアルゼンチン共和国で1、2着となったムイトオ