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縁があると感じる理由▶︎チャーリー

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30年以上前、推理小説一辺倒だった高校生時代、浪人して村上春樹を読むようになり、大学生になるとジョン・アーヴィング、カート・ヴォネガットなどの、海外文学も読むようになり(カート・ヴォネガットについてもいつか話したいけれど)、大学四年生の頃に買った一冊が、
トム・レオポルド著 「君がそこにいるように」(”Almost Like Being Here”)
だ。

物語は突然短い書き置きを残して恋人が自殺してしまい、主人公の青年が一人取り残されるところかは始まる。彼はは彼女が遺書に遺した言葉の意味を知ろうとして友人たちをたずねまわるという話だ。

作者紹介によれば、作者はアメリカのTV業界でドラマの脚本を書いていたが、小説はこれが第一作。作者のプロフィールからすれば、第一作とはいえ、脚本家として、ストーリーを書き慣れていたのだろう。スッと引き込まれて、一気に読み終わってしまった。なるほどテレビドラマっぽい感じもしなくない。
ただその頃の自分にこの物語は刺さってくるものがあった。
そもそも、なぜこの本を買ったのか?それはおそらく衝動買いというもので、本屋を訪れた時にたまたまこのオフホワイトの表紙の本が目に入って、なんとなく気になって買ってしまったのだ。そうやって買った本が忘れられないような感覚を残してくれることがあるので本屋通いはやめられない。

その後間も無く大学を卒業し、上京する直前に持っていた沢山の本を古書店に売ったが、この本は手元に残した。ちなみに村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」の単行本を売ったが、これは古書店に高値で売れた。

僕が翻訳された海外作品を読むことが多いが、その中でお気に入りの翻訳家がいる。今や翻訳家としては超人気、英米文学翻訳の第一人者と言っても過言ではない岸本佐知子氏だ。
岸本氏の翻訳本は多彩過ぎて追いかけることなんて到底出来ないが、ジャネット・ウインターソン「オレンジだけが果物じゃない」、ジョージ・ソーンダース「短くて恐ろしいフィルの時代」、ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」など、岸本氏が翻訳していると知らずに読んで「いいな」と思った作品もあれば、岸本氏訳という事で読んでみて、「よかった」と思う本もある。作家よりもよりも、翻訳者で本を選んでいるような面もある。

実は読んでから20年以上してから、本棚を整理していて、「君がそこにいるように」の訳者が岸本佐知子氏であるという事に気づいた。出版年から考えて、岸本氏が翻訳家として活動を始めたばかりの頃に訳されたと思われる。

やはり、僕は岸本佐知子の翻訳が好きなんだな、縁があるのかなと思ってしまった。

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【投稿者】チャーリー

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