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スーパー銭湯へ行かなくっちゃ

スーパー銭湯へ行かなくっちゃ仕事で根を詰めて身体の節々が痛い。
そうだ、土曜日だからお風呂へ行こう。
大浴場でのびのびとしたら、気持ちの垢も落とせそうだ。

電車に乗ってむかうためターミナル駅へ。
便がいいからとスーパー銭湯へ行く前に繁華街でお昼を飯を食べることにした。さて、なにを食べよう。

パッと思い浮かんだ。
蕎麦だ。

東京育ちだからか、蕎麦は毎日食べても飽きない。特に30を過ぎてから、蕎麦への熱が高まった。

デパートのレストラン街の永坂更科に足を運んだ。
麻布の更科にはけっこう前に一度行ったが味を忘れていた。あらためてしっかり食べたい。

永坂更科は、信州更級郡の反物商だった布屋太兵衛が蕎麦打ちの実力を認められて開業したのが起こりだそうだ。
名物はそばの実の芯の部分だけ使った、白い「御膳蕎麦」。
御膳蕎麦はもちろん気になるけど、オーソドックな蕎麦も食べたい。そこで、御膳そばとオーソドックスと2種の蕎麦に天ぷらが付いたセットを頼んだ。
ランチで約2000円。高い。週末だから、奮発しよう。

永坂更科のそばつゆは「甘口」「辛口」の2種が出される。ブレンドして自分好みにすると良いそう。

御膳蕎麦は、パラリときめ細かく、蕎麦らしいコシとすすりごこちがあるものの、香りはおだやかで、うどんを蕎麦にしたみたい(?)。
城下街でおそらく将軍にも献上されたであろう御膳蕎麦。貴族的なたおやかな味わいだ。自分が優雅な立場になった気がする。

オーソドックスな蕎麦は期待通り風味が強く、堂々たる蕎麦。御膳蕎麦は上品だけど、香りはややものたりない。2種を食べることで納得のバランスとなる。

そばつゆは甘口と辛口をブレンドしていく過程に楽しみがある。両方を等分に足していくと、最終的には甘辛になって、てんつゆのような味に。そこまでするとまったりしてしまう。藪のような辛口が好みであれば甘口はそこまで足さないほうがいいかもしれない。

もともと、そばつゆは永坂更科は甘口、藪は辛口、といういわれがある。
山の手にある永坂は貴族好みで甘口のタレが好まれ、藪は根津団子坂あたりの創業だから(さらに前は雑司ヶ谷の鬼子母神あたりらしいけど)下町だから辛口が好まれた、なんて説もあるようだ。

〆にワサビが溶け込んだそばつゆに蕎麦湯を加えて飲むと、喉に清涼な香りが流れて気持ちがよくなる。
ああ蕎麦は、蕎麦湯まで飲むのが素晴らしい。なんて清々しくておいしいんだろう。

ふんぱつして食べた満足感のまま店を出ると、永坂更科は席に余裕があったところ、レストラン街の他の洋食や中華は行列ができていた。
おそらく「蕎麦なのに」割高感があるのだろう。

わからなくもないけど、自分が好きな蕎麦がメジャーではないように突きつけられて水を差されたように少し複雑だ。

ともあれ、胸に蕎麦の満足感を抱いたまま、今日はスーパー銭湯へ行かなくっちゃ。
これでもかというくらい身体を休めてやるぞ。


蕎麦すすりまだ見む蕎麦の花を想う

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