見出し画像

おいしい記憶を大事にしなくっちゃ

朝起きた瞬間から夜の食事とお酒をどうしようか考えることがある。
直近の朝ご飯を飛び越えして夜のことを考えるとは、朝ご飯に失礼の気配もあるが。
日々の生活で一番心がときめくこと。それは食事とお酒。
「今日をアテに日本酒を呑もう」「週末は〇〇を買ってきてワインを飲もう」そんなことを思いうかべて、それではと目の前の仕事を片付ける気になる。

惰性じゃなくてその時に「食べたい」と思うものに挑戦しているので、日々食べたものはときめきの記憶として残しておきたい。いや、残っているはずなのだが。

あれ?
先週末はなにを食べたっけ?

うーんと。
金曜日は地元の小さな日本酒専門店で料理をテイクアウトしてきた。
ニシンの山椒漬けなどをおつまみに家にあった菊姫で一杯、二杯とやった。
その次の日だ。

昼はそばを食べにいった。
天気がよく、そのあと公園や住宅街を散策をした。
夜はお店が閉まるのが早いので、家に帰って何かを作って食べたのだが。

5月のように暖かい日だった。ビールのクチになっていた。
だから、ビールに合うものを用意したはず。

ということは。

ギョウザ?違う。実は昼の散歩の小腹満たしに、途中で揚げ餃子を買って食べた。
その流れからのギョウザは選択肢で外したはずだ。

ソーセージ? 確かに、冷凍のソーセージをストックしている。でも結局使わずにまだ残っている。ソーセージの付け合わせが思い浮かばなかったのだ。

麻婆豆腐? あ、近くなってきた。確かに辛い物を食べたぞ……。でもなんだったっけ?

記憶のラビリンスに迷い込んだ。自分が一週間前に食べたものなど、はっきりいってどうでもいいことだが、思い出せないとモヤモヤする。

しばらくアレでもコレでもないと思い返しているうちに、パッとふってきた。
「スンドゥブ」だ!


韓国の豆腐鍋。動物性の出汁の他に、貝の出汁を使う。この時期、あさりが安くなっていたので、ふとスンドゥブにトライしようと思いついたのだ。

本場のスンドゥブはおぼろ豆腐を使うらしいが、絹ごし豆腐で。あさり出汁とダシダをベースにした。キムチや豆板醤、一味唐辛子で辛みを出す。もちろん本格的な作り方ではなくなんちゃってではあるが、あつあつ旨辛、ビールが進んだ。

そうだそうだ、おいしかったのに、どうして忘れたのだろう。
無事に一週前の食事にたどり着けてスッキリ。
思い出すことで二度おいしい、のかな(そんなことはない)。

人は忘れていく生き物。全部を覚えていくことはできない。
でも、おいしいものを食べて幸せを感じた記憶はできるだけ残しておきたいな。
いつかの自分のために。


三月のあさりスンドゥブに飛び込んだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?