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組織は無能な人がポストを占めて安定するという法則

先日のnoteで述べた“ピーターの法則”とは、カルフォルニア大学の教育学者ローレンス・ピーターとレイモンド・ハルによって提唱された理論だ。

Wikipediaでも読めばすぐ分かるが、要するに『社会はあらゆるポストが無能な人間によって占められて安定する。』という法則で、ロジックはこうだ。

①いつの世も社会(国、企業、自治体その他)は有能な人材を求めている。
②優秀な人物は良い成果を残し、上位のポジションへと上げられる。
③上位のポジションに就くに従って、仕事の内容が変わってくる。
④上位のポジションに就いてもまた、良い成果を期待される。
⑤良い成果を出した人は一つ上のポジションに行き、職務遂行能力の限界が来るまで②~④を繰り返す。

例えば、技術者として優秀だった人物を「中間管理職」に据えたとしてもその人は技術者として優秀であって優秀な管理職であるとは限らない。
そこでも有能ぶりを発揮した人は、さらに上位の職に上げられるが、発揮できなかった人はそこの職に留まる。

有能な人物は上へ上へと上がっていくが、どこかで力を発揮できないポジションに就き、頭打ちになる。こうして、社会は徐々に相応のレベル(無能ぶりを露呈したレベル)に達した人たちで埋め尽くされていく。

これがピーターの法則だ。

外資系の企業など成果主義を厳格に導入している場合を除くと、人事制度上、昇進の目安はあっても、降格の具体的要件が定められていることは少ないので一度昇格すると降格は起こりにくい。

そのため、ピーターの法則が適用されやすくなると言われている。

ピーターの法則は一見確からしい理論で納得感があるが、この理論は全面的に正しいとされているわけではなく、活性化している組織には当てはまらないとされている。

活性化している組織は仕事も多く、成長機会が多い。そのため、チャレンジングな目標に向けて目の前の仕事をうまく仕上げることや、やり遂げることを実直に目指す傾向があるので昇進や上司からの評価にプライオリティを置かない。

人材を適切に評価することはどの業界・業種においても難しい。無能な管理職には人材の評価を正しく行うことはほぼ不可能だ。どうしても個人的な関係やバイアスによって評価が行われてしまう。

また、部下もそういった上司の下に就き、評価や昇進ばかり気にすると目の前の仕事をうまく仕上げることや、やり遂げることよりも、上司の意に則した行動を取るようになってしまい組織としての成果が今一つになる。

こういった悪循環に陥っている組織は少なくない。

これを回避するためには、適切な人事評価制度やフェアな昇給制度等の組織的なアプローチが必要だが、最も重要なことは自らを磨き続け、成長を続けることだ。

自らの成長が組織の成長につながるし、自らがピーターの法則を打ち破っていくという気概があれば停滞を防ぐことができる。

皮肉なことに衰退する組織はピーター理論がかっちりと当てはまる。

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