組織で働くコトと自分を磨くコト
知的怠慢とは、自らの成長を放棄することだ。
この様な人が増えていくと組織は活力を失う。このことを経験則で知っているからこそ企業は研修制度を充実させ社員に自己研鑽を促している。
技術の進歩は目まぐるしい。IT(情報技術)やAI(人工知能)などが急速に発展し、ビジネスの高度化、専門化が進む近年、企業における社員教育の重要性は増している。
本人にやる気がなければ教育の成果がないのは明らかだが、規律が確立されていないとこれまた教育の成果が上がらない。
GEが人材教育に熱心なことは有名だ。
約20万人の社員を抱え、多種の事業を展開し、一般企業の様に知識教育や技能研修も用意しているが、一番の狙いは「GEバリュー」と呼ばれる規律の徹底にある。
組織で動く以上、規律と言うものは重要だ。異なる価値観と異なる能力を持つ人達が一緒に働くとそこには必ず軋轢が生まれる。だが規律があると個人の価値観ではなく理念やビジョンに基づく組織の価値観で動くことになる為、軋轢が減る。
若手社員が突飛な行動をとって「これ、俺が悪いの?意味わかんない」となるのはこの組織の価値観をまだ把握し切れていないからだ。
最近では上司が部下を昔の様に叱ったりすると、かえってやる気を失ったり、パワーハラスメントと非難されかねないので組織の価値観の伝達が不十分になっているし、組織的に働くことは一昔前の働き方でこれからは個人の時代といった風潮すらある。
突出した能力をもつ人達を集めたフリーランス的な働き方は短期的で小規模なプロジェクトや小規模な集団には良いかもしれないが永続的に事業を継続するのには向いていない。
2001年9月11日の同時多発テロ以降航空業界が低迷した中でサウスウエスト航空だけが一人気を吐いていたのも規律の力だ。
不振にあえいだ巨大企業IBMを立ち直させたのも、トーマス・ワトソン・シニアの基本的信条の規律の力だ。
規律で一番厳しいものは「Up or Out」、すなわち、「進歩無きものは去れ」だと僕は思う。組織は進歩を止めたところから腐っていくので組織にいる以上、知的怠慢に陥らないよう自己を磨き続けることが重要だ。
知的怠慢に陥ったら組織の中で腐り始めていると思った方が良い。規律の力で強く纏まった組織を牽引し、変革していくのは突出した能力を持つフリーランス的な自由人ではなく知的怠慢を打ち破り、自らを磨き続けた人だ。
こういう人だけが、ピーターの法則を打ち破る。
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