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徳川家康に学ぶ新規事業を立ち上げる時の心構え

「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。」(徳川家康)

この世の中は、自分の思うとおりにはいかない事の方が多い。

うまくいかないと人は、景気が悪い、人材がいない、予算が少ない、政治が悪い・・・と外部環境のせいにしがちだ。
だが、周囲に存在するあらゆることの条件は常に不利不足しがちなものだ。

でも、それを嘆くだけでは、不安やストレスを引き起こすだけだ。
そんなマイナス発想の生き方を改めたのが徳川家康だ。

家康の遺訓には三つのポイントがある。
 ① 欠如そのものを武器にする。
 ② 不利の裏にある長所に着目する。
 ③ 不足をベースに、わずかなプラスを喜ぶ。

1980年代中頃から1990年代初頭にかけて発生したバブル経済の時代には「今儲けない奴は馬鹿だ」と言われ多くの企業が多角化に狂奔した。
今になって見れば本業に徹した者が賢明だったとわかる。

だが、今はバブル経済の時代とは真逆で、自分たちが強みと思っていた商売や商売道具がディスラプト(破壊)された。
ここで、自身の武器をさらに磨いていくのか、新たな武器(事業)を手に入れるのかは経営判断だ。

新たな事業に取組む場合は家康の遺訓を頭に入れておくと良い。新たな事業では常に不利不足で、不自由が当たり前だ。
順風満帆で進められることはまずない。様々な試行錯誤を繰り返し、ようやく掴めるのが新規事業の成功だ。

新規事業は苦難の道を通ることを覚悟しておかなければならない。
そしてどうしても上手くいかないとなったら勇気をもって撤退を取らなければならない。だらだらと続けることが逆に大きなダメージとなる。

家康は、形勢が不利になるとさっさと撤退した。
そのおかげで「家康でなく、逃げやすだ」悪口を言われたが、結局は天下統一に成功した。
家康のように、勝つべき勝負に必ず勝つことこそ真の勝者である。

「人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。
心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。
我慢することが無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思いなさい。
勝つことばかり知って、負けを知らないことは危険である。自分の行動について反省し、人の責任を責めてはいけない。
足りないほうが、やり過ぎてしまっているよりは優れている。」

(徳川家康 遺訓 現代語訳)


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