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若者の◯◯離れとケインズとwithコロナ

「マクロ経済理論」は1936年、ジョン・メイナード・ケインズによって提唱された。
経済学を学ぶ人なら誰でもこのケインズの経済学を学ぶ。ケインズ知らずして経済学を語ることなかれともまで言われ、世界中の経済学者がこの理論を中心に経済政策を立案している。

ケインズの経済学によれば「需要」が「供給」を呼び、「供給」が「雇用」を生み、「雇用」が「税収」と「消費」を作り出す。
この理論はつい最近まで経済学のバイブルとして君臨していた。

しかし、日本社会では「供給」が生み出した「雇用」が非正規労働者や外国人労働者という「安価な雇用」を生み出すようになり、安い賃金のため旺盛な「消費」が生じず、パレートの法則の通り、一部の富裕層が売上の8割を占めるといった歪んだ社会構造が出来上がっている。(これは日本ではというより世界中で起きていること)

日本経済は1998年から20年以上デフレ社会が続いており、一部にインフレの兆しがあったものの、未だデフレから抜け出せずにいる。

“高級志向”、“良い品は値段が高くても売れる”といった事例を出して日本はデフレから脱却しつつあると言う経済評論家もいるが、こういった類のものは経済学で言う『インフレ』『デフレ』ではない。

インフレに突入しているのは一部の富裕層と近年異常なほどに増加している30代の独身貴族のみで、低価格帯を求める家計・家族体系は増えている。

給料が上がらないことがデフレの要因の1つであることは明白で、「若者の◯◯離れ」も収入の低さが原因だ。

「デフレによって人件費が下がった」という経済学者がいるが「デフレによって人件費が下がった」のではなく「人件費が下がったからデフレになった」と考えるべきだ。実際、データで見ても日本人の給料が下がり始めたのは平成9年、物価が下がり始めたのは平成10年で給料の方が早く下がり始めている。

人々が安値な物を求める社会では、企業は余計な費用を抑えて安価なものを供給しなければならない。

そうすると人件費抑制の力が働き、非正規労働者、外国人労働者の活用が活性化する。更にここに同一労働、同一賃金の原則が働くと賃金の安い方に寄ってかざるを得なくなるので日本人の給料は更に下がる。
ただ、グローバル社会では安価な労働力を手にしなければ競争力を保てないのは事実だ。

日本は人類歴史上、類を見ないほどの高齢社会に向かっていてたところ、コロナウィルスという新たな脅威が加わり、半強制的な社会構造の変革を求められている。

このような環境下では国家であっても企業であってもその舵取りは非常に難しい。賃金を上げれば企業は倒産し、雇用が保てなくなるし、賃金を絞って雇用を維持しても消費が回らなければやはり企業は倒産する。

完璧と思われていたケインズ理論も1970年代の中頃には「世界はもはやケインズ理論を必要としない」といった声や「ケインズの理論は古くさい」「ケインズ理論は死んだ」という声が経済理論家の間で上がっていたが、今まで起きた幾度かの世界経済危機によってケインズの理論は何度も蘇っている。

経済成長と収益拡大を望むのであれば企業は従来と違ったやり方でそれをもぎとらなければならず、絶えず変革を起こしていかなければならない。

社会が再びケインズ理論の経済社会に戻るのか新たな理論が当てはまる社会が到来するのか世の中の動きに注視したい。

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