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会社や組織を沈めないためにすべきこと
よく問題は氷山に例えられる。
水面上に現れた氷山はごく一部であり、その下にはおよそ百倍近い体積の塊が隠れている。
それを知らずにたいしたことないな、とそのまま進行すると、とんでもないことになる。
1912年4月15日未明、タイタニック号は氷山と衝突し、沈没した。乗客2224名のうち1513名が死亡した20世紀最大の海難事故となった。
タイタニック号は不沈船と言われる程の高度な安全対策が施されていて、その安全性は21世紀の技術水準から見ても極めて高い水準であった。
何故この豪華客船が沈没したのか。
タイタニックが沈没した直接的な理由は氷山との衝突だが、原因となった船体の破孔は数インチ、総面積も1平方メートル程度であったことが海底探査によって判明している。
この僅か約1平方メートルの亀裂から海水が浸入し、全長約270メートル、高さ53メートルの巨大豪華客船はたった2時間で沈没した。
衝突する前日の午前中、タイタニック号には他の船から氷山接近という無線連絡が多数寄せられていて氷山との衝突はかなりの確率で回避できたと言われている。
しかし現実には回避できなかった。
理由は目に見える氷山を過小評価し、自ら乗船している船を過大評価していたからだ。
「こんな大きくて豪華な船がちょっと氷山にぶつかるくらいで沈むわけがない」という思い込みがあり、船員達は皆、警告に本気で耳を貸さなかった。
歴史は考察可能なので後から幾らでも検証可能だが、その時その場にいる人達には現場の華やかなムードや“場の空気”なども相まって明らかにおかしいなことであっても気付くことは難しい。
本来「見える問題」であったものを思い込みや油断の為に「見えない問題」にしてしまうことは多々ある。
今日現在、日本ではコロナウィルスが収束の兆しを見せ、経済活動が徐々に再開し日常が戻りつつある。
ただ、コロナショックにより多くの企業はダメージを負っている。注意して見ればその傷は見えるはずだが「自分の会社は大丈夫」と自らの“船”を過大評価し、見えている問題を見えない問題にしてしまうと大失敗を起こす。
仕事の再開でホッと心を休める前に自社の財務状況、コロナショックで受けた損失額、今年度の売上見込み等を見て傷の大きさを確認しておいた方が良い。
「もしも」の事を考えて十分に安全対策を立て、事故が起きても被害を最小にすることが重要だ。準備が充分でないと、最悪の状況を招きかねない。
『見える化』はいつの時代であっても企業活動に重要な役割を果たす。
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