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暮瀬堂日記〜紫蘇

 陋屋の向いにあった古い家が解体され、更地になって二三日経つだろうか。
 ゴミ出しに行くとき横を通ると、紫蘇の香りがした。見ると、中々の数の大葉が生えていた。
 前の家の住人が植えたのが繁殖したのだろう。新たに建つマンションの工事が始まると、無くなってしまうので少し摘ませてもらった。
 
   解体の工事の隅の紫蘇摘みぬ

 紫蘇の香が部屋に広がる中、メバチの柵をスライスしていた。

(旧暦五月十六日 夏至の節気 半夏生の候)

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