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梅雨晴れ、休日、新しい靴、気も晴れる。

 大雨が過ぎて、晴れが来た。

 土砂降りの雨に打たれて外勤した次の日は、まるで「1週間お疲れ様」と言わんばかりの快晴で、心を軽く弾ませながら新しい靴をおろした。つい昨日届いた靴は、半月前に頼んでいたものだ。

 梅雨入りのニュースとともに降り続く雨、ようやく晴れたこの日が休日で良かった。こんなにも気持ちも晴れやかに、軽やかに、外に出ることができる。

 6月の休日のほとんどに予定が詰め込まれている。休みの日にこんなにも予定を詰めるようになったのは、半年ほど前からだ。

 昨年の年の瀬に「来年はやりたいことを全部やる」と決めた。そこに大した理由はないけれど、ふと立ち止まって今までの私を振り返れば「なんとなく生きて、なんとなく歳をとっている」そんな気がした。

 ずっと「ボイトレに通ってみたい」と言っていた。ずっと「朗読を習いたい」と言っていた。ずっと「また文章を書いて、私を表したい」と思っていた。

 ある程度、やりたい放題生きてきた人生だったけれど、社会人になってからの私はどこか行動にブレーキをかけていた。

 学生の頃はとても自由だったように思う。親にダメだと言われても、始発電車に乗るために早朝に家を出て単身東京に向かったり、ローカル電車で名古屋まで行って「んー、京都で友達と遊んできた」と嘘をついたり。

 今思えば、全部バレていたんだろうけれど、それでも親は何も言わなかった。

 バイト代を一生懸命に貯めて同人誌を作ったり。合同説明会だと偽って、スーツの人たちを横目にビックサイトでイベントを楽しんだり。推しの舞台のために全財産注ぎ込んでみたり。

 就職して2年目、どこかぷつりと糸が切れたように趣味に邁進しなくなった。3年目になってネットの友達と遊ぶようになり、4年目でオタクを廃業していた。その頃恋人が出来て、生きる縁がなくても生きれたのかもしれない。

 社会人6年目、私は眩しいくらいに晴れた空を見上げながら「なかなか好きに生きてるな」と目を細める。部屋は片付いていないけど、仕事から帰ってきてお菓子を作ったり。読みたい本を読みたいだけ積み上げたり。

 そうやって、私が私を甘やかしている。どんなに仕事が大変でも、夜遅い帰宅のためにくたびれたヒールをカツカツと鳴らしても、家に帰って楽しいことがあるのなら「どうにか頑張ろう」と思うから。

 梅雨の晴れ間に、どこへ行こう。幸い今日は美容院の予約を入れているから、可愛くなった自分に心はずませて、軽やかに歩きたい。

 新しい靴は、足取りも軽くさせてくれた。

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