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0→1に1年で8つ携わってみて

去年に引き続き、今年1年も0→1に多く関わらせていただく1年となりました。

0→1と一概にいっても「事業自体に直接影響する戦略的なフェーズから行っていくような大きめの0→1」から「クリエイティブ周りの戦略から関わっていく中くらいの0→1」「イベントの企画や実行などの小さめの0→1」まで、様々な大きさの0→1に携わらせていただきました。
また、その中には全くの0からのスタートではなく、0.1から1(方向性だけはなんとなく決まっている上で舵を取る役割)をしたものもありましたし、0.9から1をしただけ(ほとんど揃っている状態で決断し実行するだけの役割)のものもありました。

そんな0→1にしていくようなことに複数携わってみて僕が肌で感じたことをつらつらと書いていこうと思います。 経験ベースの話なので、再利用しづらい情報も多々あるかもしれませんが、その中から核となるエッセンスを抽出して利用していただければきっと困ってる時に助けてくれる鍵になってくれると思います。

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プロジェクトが始まるまでのコンテキストこそが立ち回りを考える上で最も重要なポイントだった。

自分自身が発起人ではないプロジェクトの場合、特に重要となるポイントだと感じました。共有事のみで全容を把握したつもりになると全く違った視点からの問題が多く発生してしまいます。そこで、ここまでにどういった意思決定と葛藤があったのか、プロジェクトが始まるまでの文脈を知ることで文字や言葉だけでは共有されない、感情や感覚として大切にしなければいけないポイントや最初に着手すべきポイント ( デットロック ) などが見えてくると感じました。 

例えば、元々有志で始まったプロジェクトに依頼されて介入した時の話をしますと、各メンバーは報酬の無い状態で何らかの目的を持って参加していたため、各個人が持つ目的と乖離した状況が続いてしまうと、各々のモチベーションは下がり前に進むスピードが悪くなるといった状態が見られました。

こういったチームですと特にプロジェクトに対する熱量を保つことがやりきる上でかなり重要になります。

この場合は、各メンバーの目的を把握し、そこに対してメンバーが自身の目的に近づいているような体感 ( もしくは錯覚 ) をプロジェクトの最中に持つことができるような仕組みを作りました。そういった仕組みが各個人の活力となり、最終的にチームの推進力になりました。

そういった各々が動く背景にはなにが隠されているかをまず最初に見つけてアプローチすることで、前に進む体制を作り上げることができると思っています。

仮説の検証を提供ベースで実施することで不確実性の高い状況から活路を見出せる。

0→1の際に1つの壁となる問題に「仮設の検証」があると思います。
さまざまな調査から抽出された仮設を検証する事は必要だと感じているものの「やり方もよくわからない上に確証もそこまで持てそうにないから」と思ってしまい「期間的な問題」「コスト的な問題」などを理由につい怠ってしまったり、表面上のみの検証で終えてしまうことがあります。

もちろん0→1のフェーズではスピード感が肝となってくるのでここで変に立ち止まることは死を意味しますが、それと同じくらい仮説に対して適切なバランス感覚を持つ事は進んでいく中でとても大切なポイントだと思っています。その適切なバランス感覚を持つためにも自分以外の人を多く巻き込んで意味のある検証することが大切だと思っています。

そこで僕は「提供ベースで仮説の検証を実施」していくことよく行っていました。提供ベースというのは提供するコミュニティこそ限定的にするものの、プロダクト自体を実際に世の中に出して検証をするということです。

小さなコミュニティを作り上げ、その中でサービスの提供価値やエコシステムの検証を行っていきました。つまり、検証しようと思って準備して実際に検証していくような一方的な調査を行うのではなく、使ってもらいながら利用者の声と自分達の考えているもののバランスを取っていく共創的スタイルを初めから行う方法です。期間的な問題に対しては検証を行いながら開発を行える体制を構築し、コスト的な問題に関してはオズの魔法使いのような手法を用いて簡易的だけど、リアルに利用してもらえる状態を作りました。

ヒアリングなどではなく、この方法をよく使う一番の理由なのですが、それは自分自身がユーザーヒアリングやプロトタイプのテストに参加した時に「利用者 ( お客さんとして利用する時 ) 」と「テスターとして協力している時」の提供物を見る視点や考えることがそもそも違うと感じたためです。
どうしてもテスターなどで参加してしまうと協力者の立ち位置での対応をしてしまうため「そもそも使わない」とか「ほぼ選ばない」「〇〇が良さそうで使った」のような「世の中に参入するにあたっての前提条件」についての発見が得られにくく、中身に目がいく事が多くなってしまっていました。

そもそも使われなければどういった方向性で攻めていくかも明確にならないのに、その検証すらできなければ、出した後も情報は得られず、自分達の妄想で今後の進め方を決めなければいけなくなってしまいます。
その事態を避けるためにも提供ベースで仮説の検証を実施することは比較的良い方向に作用する方法の1つではないかと感じています。

失敗を減らす仕組みの構築ではなく、失敗を許容するための仕組みを整えることで、自然と前に進む体制は生まれてくる。

人間は考えの持ちようによっていくらでも行動が変わると思っています。

もちろんある程度考え抜く事は大切ですし、失敗は少ない方が良いです。しかし、決断するものがそもそも多く、スピード感を求められる0→1の状況では減算方式のような進め方は不利に働くことが多いと感じました。

失敗を防ぐ仕組みではなく失敗を許容できような仕組みを用意する事がうまくいかなかった後の立ち上がりのケアや、仮説からの行動やそれによって生まれた経験を蓄積する活性剤となるのでいち早く目的に辿り着ける状態を作り上げる手助けをしてくれると感じています。
そしてその仕組みが浸透すればチームとして自然に前に進む体制が生まれてくると思っています。

ただ、この失敗を許容する仕組みというのは、失敗を推奨する仕組みではありません。失敗は次に進むヒントを膨大にくれますが、失敗に慣れてしまうと極端な話、失敗するまで学習できない姿勢が身についてしまいます。
これは大げさな話ではなく、習慣化とは人をほぼ自動的にその行動へ誘ってしまうので、あくまでも本来理想的である「成功の最中で更なる成功を考えること」は忘れずに取り組むことも大切だと思っています。

なにかに怯えたり悩んだりした時こそ1度論理に頼ってみる。

僕が0→1を行っていた上で1番論理が活躍した場面は感情的に前に進めなくなった時でした。

感情はとても素直にできていて、どんなに好きだと思い込みたくても感情的に好きでなければなかなか好きになれないのと同じで、どんなにいけると思い込もうとしても「いけない」と感情が察知してしまうと前に進めなくなったり、速度がガクッと落ちてしまいます。初めの方でも書いたのですが速度が落ちることによる問題は0→1のフェーズでは特に死活問題へつながりやすいです。

そういった時こそ1度論理に頼ってみると、プロセスが少なくとも自分の中では整理された状態でアウトプットされるので、行動への後押しになったりします。
また、振り返りや後戻りする時にも順を追って考えたプロセスがあることで失敗したポイントやうまくいったポイントが抽出しやすくなるので経験としても有益な蓄積ができるようになると感じています。

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まとめ

学校と社会で大きく違って面白いことは、学校では5教科で500点満点に近い人が優秀とされるけれど、社会になるとそういった人だけではなく、5教科という縛りにとらわれず、100教科で5000点を取るような人も魅力的に映るということだと思います。つまり、社会では戦い方、戦略も戦術がめちゃめちゃあるということです。笑

用意された現場で完璧を目指すだけではなく、完璧にとらわれず今ある可能性を全て使って現場に最善を作り出す姿勢こそが0から1を生み出していく上では重要な鍵になると僕は思いました。

去年から「本質的に予測できない0→1という状況」に対してどう取り組むことが良いのかを考えているのですが、今のところは「予測できない状況の中でその確率を高める要素を組み合わせ、成功しやすい状態を作り上げていく事」が良いのかなと思ってます。

また経験を通して新しい考え方を見つけたらnote書いてみようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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