小説 オーズ Anything Goes! 14
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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数分前、戦兎Side
アンクが散歩に出掛けて何分経ったのだろう。俺はアンクから預かったコアメダルと呼ばれる錬金術で出来たメダル、そしてアンクが世界移動に使ったドライバーの研究をしていた
見るもの全てがとても新鮮で興味深く、この天っ才物理学者の俺の知識をもってしても、これらの研究には数日を要しそうだった
しかし俺にとって、新たな分野での研究ができること自体は全く苦ではなかった。この研究が進めば俺の発明品に幅が生まれるからだ。そして万丈と馬渕がまたマーケットで上手く売ってくれる。この好循環、凄いでしょ?最高でしょ?天才でしょー!
独りでテンションを上げるのもこの辺にして、アンクの帰りが遅いからそろそろ迎えに行くか。あんまり遠くへ出歩くなって言ったのに…
俺はアンクが机の上に置きっぱなしにしたダブルの2人の連絡先を持って、研究室を出た
数分後、俺は研究室の近くの公園を通り掛かったが、園内には誰もいなかった。しかし直後、近くで轟音が響いた
慌てて音のした方へと向かうと、そこにはアンクともう1人、倒れた人間の姿があった。よく見るとその奥に怪人のような姿が見える。俺は急いでダブルのうちの1人、左翔太郎に電話を掛けた
「っ、ダブルか?俺だ!別れて早々にすまないが、アンクが事件に巻き込まれた!早く来てくれ!研究所近くの公園だ!」
それだけ伝えると俺はビルドドライバーを装着し、怪人の元へと走った。一瞬でアンクに接近した怪人が攻撃を振り翳す刹那…
『Are you Ready…?』
「変身!…アンクから、離れろ!!」
俺は危機一髪、アンクへの攻撃を防ぐことに成功した
「おい、アンク!その人を連れて早く逃げろ!!」
しかし俺の言葉はどうやらアンクの耳に入っていないようだ。俺は2人に攻撃の流れ弾が当たらないよう、怪人を少し遠くへと引き剥がした
「アンタ、何者だ!何故アンクを狙う!」
「お前が知る必要はない…退け」
俺の言葉にそう一言呟いた怪人は、俺の攻撃に対し反撃を入れてくる。どうやらスマッシュとは別の存在のようだ。少し戦いにくい
俺たちの戦闘が激しさを増し、視界が少しずつ悪くなってきた時、アンクの居た方向から2人の人間の声が聞こえた。そしてその少し後、緑色の仮面ライダーがこちらに走ってきた
「アンタが火野を!アンクを!絶対に許さない!!っ、誰だか知らないが、一緒に戦わせてくれ!!」
火野!?まさかあそこで倒れていた人間こそが、アンクが探していた、そして万丈を救った火野映司、オーズだというのか?
そうであるなら余計に、俺はこいつを倒さなければならない。俺はもう1人の仮面ライダーと共闘を始めた
しかし人数が優勢になったにも関わらず、敵の攻撃は衰えない。寧ろ先程よりも強力になっているとまで感じた
そしてその数分後、再びアンクの方から別の声が聞こえた。また助太刀が来たのかもしれない、そう思って俺は視線をアンクがいた方向へと移した
視界がどんどんと晴れていく中で、俺はアンクが立ち上がっていることに気がついた。ようやく意識が戻ったんだ
思った通り助太刀しに来たと思われる青色の仮面ライダーも居るし、流石にもう大丈夫だろう、と安心したのも束の間、アンクが何かを呟いた
その瞬間、先程俺に渡したコアメダルとは別の、大量の銀色のメダルがアンクの身体を覆い尽くし、アンクは別の姿へと変わった
「っ…アンク、その姿は、一体…!」
俺と共闘している仮面ライダーも見たことのない姿らしい。息を飲む間もなくアンクが俺達など気にもせずに、こちらに向かって全速力で飛び掛かってきた
俺ともう1人のライダーが風圧で吹き飛ばされ、怪人とアンクの攻撃が激しくぶつかり合う。アンクは意識を取り戻してなどいなかった
「アンク!暴走するな!!暴走したら、お前も!!」
『クレーンアーム・ドリルアーム
ショベルアーム・ブレストキャノン
キャタピラレッグ・カッターウイング』
俺の横に倒れる仮面ライダーは全身に6つの武装をして、怪人とアンクの方に飛んで向かっていったが、彼の声は届かず再びアンクに吹き飛ばされてしまった
俺だってこうしてはいられない。万丈を救ってくれたあの人を、あんな目に遭わせたこいつを、俺は許すわけにはいかない!
『完全無欠のボトルヤロー!ビルドジーニアス!スゲーイ!モノスゲーイ!』
俺はジーニアスボトルを取り出し、ジーニアスフォームに変身した。即座に怪人からアンクを引き剥がし、怪人との一騎打ちを始める。しかし怪人は不敵に笑って小さく呟いた
「奴の暴走は想定外。計画を実行するのは今じゃない、ということだ」
そういって怪人は姿を消した。怪人にすでに攻撃を仕掛け向かってきていたアンクは、何も躊躇せずに俺に攻撃を与えた
一撃がかなり重たい。アンクだから反撃したくはないが…そう思っていると、向こうにいた青い仮面ライダーが走ってやってきた
俺はアンクの方に向かって走った。アンクの心が壊れきってしまう。その前に俺が必ず救うんだ!俺はアンクにしがみつき叫んだ
「アンクは悪くない!アンクの所為じゃない!アンク、頼むから戻ってくれ!」
しかし俺の声はアンクには届かず、俺と白い仮面ライダーは緑の仮面ライダーの元へと吹き飛ばされた
「アンクを止めるには、どうすれば…それに、火野も…伊達さん、俺はどうすれば…」
「俺達、3人で同時にアンクを攻撃する。それが今できる最善だ」
「そんな、オーズを失ったアンクを攻撃するなんて、俺には出来ない!」
俺が声を上げるも、そんなの気にせずアンクは俺達3人に攻撃を仕掛けてくる。白い仮面ライダーは俺に対して怒鳴りをあげた
「俺だってアンクを攻撃したくはない!ただ、俺達がやられてアンクがこの街で暴走を続けたらどうなるか、想像がつくだろう!」
どうしてこうなった。鴻上さん…あなたが作ったドライバーのせいで、アンクが…!いや、これを預かった俺の責任だ…!
「だったらもう、俺がやるしかない。同じくあなたから貰ったこの力で、アンクを止める!!」
俺は覚悟を決め2人の前に出た。俺は懐から鴻上さんに貰った2つのアイテムを取り出すと、鴻上さんの言葉が頭をよぎった
『変身後、ヴォルトタービンを隠すようにそのパーツを嵌め込み、ヤドカリコアをセットすることでアクアは新しい姿へと生まれ変わる!実に素晴らしい!!』
俺は鴻上さんの言葉通り、ベルトの正面にパーツを取り付け、そこにヤドカリコアを嵌める
『ヤドカリ!』
その瞬間、俺の体を水が纏い、俺は新たなアクアへと生まれ変わった。そうだ、これこそがアクアの最強の姿…オーズとアンクを救う真の仮面ライダー
「俺は、仮面ライダーアクアハーミット!
アンクの明日は、俺が守る!!」
新たな姿へと変身した俺に向かって、アンクは脚の爪を鋭く立てながら突っ込んできた。しかし俺は身体を液体化させ、アンクの攻撃を受け流した
凄い…全身からまるで勢いの良い湧き水かの如く、力が湧き上がってくる。この力があれば、アンクを必ず止められる!ただ、俺だけでは無理だ。だから…
「頼む、アンクを一緒に止めてくれ!」
そう、ライダーはやっぱり助け合いなんだ。オーズから、俺はそう教わったはずだ
「勿論だ、俺からも頼む!」
「っ、最っ高だな!…よし、行くぞ!」
俺達3人はアンクに再び立ち向かっていった
同刻、幸太郎Side
湊ミハルが俺達よりも先にデンライナーを降りて行ってしまったものの、俺達も爆煙の上がった近くまでデンライナーで接近し、停車した
「よし、テディ、モモタロス、そしてダブル。アンクの所へ行くぞ!」
俺のその言葉に二人が反論した。ミツルと駿だった
「俺も行くよ!オーズは、大切な家族なんだ!」
「そうだよ!俺もアンク達の力になりたい!」
しかしその言葉にテディは首を振った
「ミツルくん。気持ちは嬉しいが、ここは私達に任せるんだ。君に何かあった時、ナオキくんが悲しんでしまうだろう」
その言葉に如月弦太朗も頷き、言葉を続ける
「ああ、そうだぜ。ミツル。映司さん達が心配なのは俺も同じだ。だが親父さんの事もちゃんと考えろ。勿論、駿もだ。今は俺達にしか出来ないことをやろう」
2人はその言葉に渋々頷いた
「じゃあ、行ってくるぜ。弦太朗。映司のことは任せろ。そんで、そいつらの事、任せたぜ!」
「おい、亀!熊!小僧!ナオミとそいつらのこと、頼むぞ!」
左翔太郎がとモモタロスそう言い残すと、俺達4人はデンライナーを降りた
同刻、晴人Side
ダブルの指示通り、俺達は指定の場所に向かった。幸いあまり場所は離れておらず、明らかに爆煙が上がっているため、迷いなく到着した。アンクの奴、絶望していないといいが…
「よし、泊刑事と大門刑事は見張りを頼む」
アクセルがそういうと、俺、アクセル、ダブル、鎧武の4人が車両を降りた
「照井竜、翔太郎ももうその辺りに居るようだ。合流を急ごう」
「そんな事はわかってる!それよりもまずは被害を最小限に食い止めるぞ!」
俺達全員は爆煙の上がっている公園の近くに到着した。そしてその傍には倒れ込む誰かに対して、応急処置を行なっている人物が見えた。その人の元へと誰よりも早く鎧武とダブルが駆けつけた
「嘘だと言ってくれ、オーズ…こんな姿…」
「おい、オーズって…あの時の!?なあ、しっかりしてくれ!頼む、死なないでくれ!!」
「退け!!俺は医者だ!今、救急車を呼んでる。到着するまで頼むから邪魔すんな!お前らとも知り合いなのかもしれないが、火野はな。俺達の大切な仲間なんだよ!!」
彼がアンクが助けたがっていた仮面ライダーオーズ。あの時ダブルと一緒に、俺たちに力を貸してくれたライダーだ
すると向こうで爆音が再び轟いた。目を凝らすと3人の仮面ライダーと、赤い怪物が敵対している
「あれは、後藤刑事だ!そうか、あいつこそが、今1番被害を出している元凶か!後藤刑事に応戦して一緒に奴を倒すぞ!」
アクセルがそう叫ぶと、俺達は足並みを揃えた。しかし…
「待ってくれ、照井。アンクを倒すってんなら、黙っちゃ居られねぇなあ」
「翔太郎…!オーズが、オーズが重症なんだ!」
「左…!どういうつもりだ!例えドーパントでなくとも、街の平和を守るのが我々仮面ライダーではないのか!」
そこに現れたのはもう1人のダブルと、男が1人。そして鬼が2匹。見た所、この場に居る全員が仮面ライダーであることは間違いないようだった
にしても、あれがアンク…俺が余計なことを言ったばかりに、俺は奴を絶望へと誘ってしまったのかもしれない…であれば、俺には奴を止める義務がある
「トサカ野郎を庇うのは癪だがよ、奴を攻撃するならまずは俺達が相手だぜ」
「人が1人、命を落としかけてるんだぞ!俺達が争う必要なんてないだろ!早く止めないと、もっと被害が出る!あいつだって、あんたらの仲間なんだろ?暴走してそのまま死ぬかもしれないんだぞ!それでもいいっていうのか!」
鎧武の強い言葉に向こうにいるダブルが小さく呟いた
「確かに、映司もこんな争いは望んでねぇはずだ。だけどな、アンタらにはあのアンクの悲鳴が聞こえねぇのか!!」
「確かにアンタの言うこともわかるさ、ダブル。だが、あそこにいる3人相手でもかなり押されている。俺は奴を倒さない。絶望から奴を救うために、俺は奴と戦う」
「左、お前には失望したぞ!平和を守る我々の邪魔をするなら、いくら左と言えども容赦はせんぞ!」
アクセルがそう叫ぶと同時にアクセル、そして俺と鎧武はベルトを装着した
「ったく、話のわからねぇ奴だな。おい、フィリップ!まずは照井を止めるの手伝ってくれ」
「戦っておとなしくなる奴ではなさそうだけどな。テディ、モモタロス。向こうは湊ミハル達に任せて、俺達も行くぞ!」
『オレンジアームズ!花道オンステージ!』
『アクセル!』
『フレイム!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』
『サイクロン!ジョーカー!』
『ストライクフォーム!』
『ソードフォーム!』
元を辿れば想いは同じはずだった。だが、立場の違いにより、こうして俺達は戦うことになった
同刻、伊達Side
火野の応急処置を続けている中で、何人もの人が火野の元へと駆け寄ってきたが、そいつら全員仮面ライダーなのは、流石に驚いた
だが確かに火野はいつも言っていた。ライダーは助け合いだと。しかし、俺達の目の前では仮面ライダーが3vs3の戦いを行なっている
俺は火野に攻撃が当たらぬよう、ライダー達のいる方に背中を向け応急処置を続けた。出血も酷い。宝生ちゃんはまだなのか…?
「映司くん!!!」
その声の主は、先ほど後から合流すると後ろを追ってきていた信吾さんだった
「伊達さん、映司くんは大丈夫なんですか!?」
「正直、結構やべぇな。だが俺は医者だ!火野は絶対死なせねぇ。もうすぐ救急車も到着するはずだ!」
そんな事を話していると、サイレンの音が聞こえた。止まった救急車から降りてきたのは、宝生ちゃんだった
「伊達さん!映司さんの容態は!!!」
「結構やべえ、特に出血が酷すぎる。俺の方でなんとか止血はしたが、緊急でオペが必要だ。とりあえず鏡ちゃんは呼んでくれ。俺も手伝う」
俺の言葉に宝生ちゃんは火野を救急車へと運んだ
「信吾さん、ここは危ない…俺と一緒に病院へ!」
「伊達さん、向こうに見える後藤くんと戦ってるのって、もしかして…」
「アンコだ。あの野郎、暴走までしやがって…」
そう、アンコは青いライダーが来た時、突如として姿を変えて暴走を始めた。あんなアンコの姿は10年前にも見たことがなかった
「とにかくアンコのことは後藤ちゃん達に任せよう。後藤ちゃんが居れば、アンコも絶対大丈夫だ。だから今は火野を…」
「嫌です…!映司くんのために、今俺が出来る事をするんだ!それはきっと映司くんを見守る事じゃない!アンクを救う事だ!」
そういって信吾さんはライダー達の攻撃が当たらないように、走ってアンコの方へと行ってしまった
火野のため、アンコのために無茶するのは、何も自分の想いだけでないんだろう。きっと比奈ちゃんの想いも、信吾さんは背負ってるんだ
「飛彩さん!緊急でオペが必要です!搬送次第すぐに始めますので、準備をお願いします!…伊達さん!もう出発します!早くこちらへ!」
宝生ちゃんが鏡ちゃんに連絡を入れたようで、俺も信吾さんを置いて救急車に乗り込み、聖都大学附属病院へと急いだ
同刻、ミハルSide
俺達がアンクと交戦をしていると、俺たちの背後で再び轟音が響いた。またさっきの奴が来たのかと振り返ると、そこには6人の仮面ライダー達が居た
手前にいるのが恐らく野上幸太郎や赤い鬼、そして左翔太郎達だろう。しかし俺に応戦してくれるかと思っていた彼らは、向かいにいるもう3人のライダー達と交戦を始めた
こんな時に一体何をしているんだ…まぁいい、今はアンクを救うためにアンクとの戦いに集中しよう。しかしアンクから意識を離していた一瞬の不意を逃さず、アンクは俺に攻撃を与えてきた
いくら水のように攻撃を受け流せると言っても、それを続けていては意味がない。アンクを止めるにはやはり、3人の強力な技を合わせるしかない
「やっぱり、最善はあなたの言った通り、3人で同時に攻撃するしかない」
2人の仮面ライダー達は頷くも、緑の仮面ライダーが息を切らして告げる
「だが今のアンクの攻撃は余りにも速く、強く、重い!一瞬でもアンクを拘束することができれば!!」
「だったら俺が水の力で一瞬アンクを拘束して隙を作る!だから、あとは2人で頼む!!」
一瞬のうちに連携を取ると、俺は体を液体化させアンクの方へと突っ込んだ。そして一度アンクの身体をすり抜け背後に回ると、背中からヤドカリの鋭い殻を地面に向かって突き刺し、固定、アンクを拘束した
「今だ!アンクを救ってくれ!!」
『ワンサイド!逆サイド!オールサイド!
ジーニアスフィニッシュ!!』
『セルバースト!!』
俺の言葉と共に白の仮面ライダーがキックを行い、緑の仮面ライダーが超巨大な砲撃を放った。アンク、少しだけ耐えてくれ…!
2つの攻撃はアンクを貫き、その瞬間俺は再び体を液体化させその攻撃を受け流すと、グリードライバーからコアメダルを抜き取った。すると、アンクが人間の姿に戻った
「やった、のか!?」
しかし、俺が抜き取ったコアメダルは意思を持つかのように、再び俺の手を離れ、吸い付くようにアンクのグリードライバーへと再装填された
『解放(Release) …』
そして、アンクが再び呟くと、アンクの周りをセルメダルが覆い、アンクは再び怪人の姿へと戻ってしまった
「もう一度だ、もう一度力を!」
「だが、これを続けたらアンクは…」
俺たちの葛藤など気にせず、アンクは雄叫びをあげ此方へと突進してくる。どうすれば、どうすればアンクを救えるんだ…!
そんな事を考えながら攻撃を受け流していると、誰かが叫んだ
「アンク!!!」
声のした方を見ると生身の人間が1人で突っ立っている。その人は見間違いかと思うほど、アンクに似ていた
「信吾さん!今はアンクに何を言っても無駄です!離れないと、っ、信吾さん!危ない!」
アンクはその人目掛けて猛スピードで攻撃を仕掛けたのだった
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