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小説 オーズ Anything Goes! 15

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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Release。………。………。………。……!?


目の前に居る奴らは誰だ?今まで俺は何をしていた?いや、そもそも、俺は何なんだ…?

…っ、なんだ。この衝動。目の前の青色の奴が握ってる3枚のメダル。俺はあれがどうしても欲しい。何故だ?分からない。でも、欲しい。俺は欲しい…あれが欲し、い……寄越せ!!

『解放(Release) …』


………。



目の前でアンクが暴走している。どうすれば、どうすればアンクを救える?

暴走…?そうだ。映司くんが初めて紫のメダルで変身した時、映司くんは暴走した。そんな映司くんに比奈は手を伸ばし、自分の想いをぶつけたことで映司くんの変身は解除された

ということは今のアンクを救えるのも比奈なのか?…いや、それは違う。比奈が映司くんを救ったように、今度は俺がアンクに手を伸ばしてアンクを救うんだ

そんな時、青色の仮面ライダーがアンクのベルトからコアメダルを引き剥がし、アンクを人間の姿へと戻した。よく見るとそのコアメダルはアンクのコアメダルに似つかず、真っ黒に染まっていた

しかしアンクが何か呟いた途端、アンクは元の姿へと戻ってしまった。その瞬間、俺は堪らずアンクの前に飛び出した

アンクのあんな表情、声。あの時以来だった。そう、彼の偽物にアンクが取り込まれた、あの時と

「アンク!!!」

アンクは気にせず俺に向かって突っ込んでくる。比奈が映司くんを救ったように、俺もアンクを…

『クレーンアーム!』


しかしアンクの攻撃が俺に到達する直前、後藤くんがすかさず俺をその場から退かした

「信吾さん!大丈夫ですか!?」
「ああ、俺は問題ない。それよりアンクが…」

アンクは次なる標的を再び青い仮面ライダーに定めた

「信吾さん、こっちは俺に任せてください!それよりあっちで伊達さんが、火野を!」

「映司くんならついさっき伊達さんと病院へ向かったよ。それより俺をもう一度アンクの元に連れてってくれ。アンクの手を掴みたいんだ」

俺の言葉に後藤くんは首を横に振って否定した

「そんな、できません!もう誰一人、傷付かせたくないんです!」

「今アンクを救うのは、俺じゃなきゃ駄目なんだ!」

しかし俺の強い言葉が彼に届いたのか、後藤くんは頷いた

「…っ、分かりました。だけど、危なくなったら信吾さんの避難を優先します。掴まっててくださいね!」

『カッターウイング!』


そういって後藤くんは青いライダー達に再び加勢するため、俺を抱いてアンクの元へと飛び出した

「アクア!ビルド!頼む!もう一度アンクを拘束してくれ!!」

後藤くんの言葉を聞いた瞬間、2人の仮面ライダーは連携を図り、アンクを拘束した

「っ…アンク、今助ける!後藤くん!!」
「了解!」

刹那、後藤くんが俺を空中で離した。俺の身体は推進力を保ったまま、アンクの方へ突っ込んでいった。あと少しで手が届く!掴める!!

「アンク!!」

俺はアンクの手を取った。俺は自分の想いをそのままぶつけた

「アンク。俺が分かるか?信吾だ。アンクは、独りじゃない。俺がいる。後藤くんもいる。比奈や伊達さんもいる。勿論、映司くんだっている。皆、アンクを待ってる。だから俺と一緒に帰ろう」

すると、アンクの様子が変わった。握ってる方とは別の手で頭を押さえて苦しんでいる

「大丈夫、アンクが辛い時、苦しい時、そんな時は俺がアンクの手を掴む!だから、元に戻ってくれ!アンク!!」

「ぐ、ぐあああああぁぁぁぁ!!!っ、はあ…はあ…し、んご…?」

「そうだ、そうだよ。アンク、俺だ、信吾だ!」

アンクが悲鳴をあげ、俺の名前を呼んだ。その瞬間ベルトの黒いコアメダルは鮮やかな赤色を取り戻し、そのままアンクの体内へと入っていき、アンクは人間の姿に戻った

「アンク!」

後藤くんと、アクア、ビルドと呼ばれるライダー達は全員変身を解除し、俺と共に倒れるアンクに寄り添った

「信吾…今回も、礼を言って、やっても、いい…後藤も…湊も…御前も…すま……」

アンクは気を失ってしまった。が、脈はある

「後藤くん、アンクを映司くんと同じ病院へ運ぼう」

「そうしたいですが、まずは照井刑事達を止めます。アンクのこと、お願いしてもいいですか?アクア、ビルド、もう少しだけ手を貸してくれ」

「ライダーは助け合い、だもんね」
「ダブルを呼んだのは俺だからな。手伝うよ」

そういって3人は戦いあってる6人の仮面ライダーの元へと走っていった


アンクが正気を取り戻す少し前…

「照井!何でお前はこうなんだよ!!」

「左、奴を倒さなければ風都も、他の街もどうなるか分からないんだぞ!」

「照井竜!落ち着きたまえ!彼を倒す以外にも方法はあるはずだ」


「そこを退いてくれ。俺はあいつを絶望から救わなければいけないんだ」

「そんな事言って、アンクを倒すつもりだろ。また俺達の時間が繋がったんだ。ここを通すわけには行かない!」


「トサカはムカつく野郎だけどよォ、トサカに手出すってんならまずは俺倒してから行きやがれ!!」

「俺達が争う必要が何処にある!何で分からないんだよ!人の命が掛かってるんだぞ!!」


同刻、進ノ介Side

「すまない、大門刑事。少し見張りを任せてもいいか?さっきの救急車、多分俺の知り合いが乗ってた。もしかしたら他にもライダーが近くに居るかもしれない」

「外に行くなら共に行動しましょう。お互い変身できない身なんですから、離れてるよりかは一緒に居た方が…」

俺にも変身する力があれば…そう思いながらも俺は大門刑事の言葉に頷き、外へ出た

奥では3人の仮面ライダー達が赤色の怪物と戦っている。1人は後藤刑事だろう。そして恐らく、あの怪物こそが、話にあがっていたアンク

しかしその手前では照井刑事や晴人、神様が戦っている。その姿を見ていると、大門刑事が叫んだ

「泊刑事、こちらへ!フィリップさんが!」

急いで声のした方へと向かうと、先ほど同じ車両に乗っていたフィリップと名乗る男が倒れていた。脈はある。でもここに居ては危ない。何処かへ避難させなければ…

そんな事を思っていると、1人の男が走ってきた

「居た!先輩!!…大丈夫だ。先輩の意識はダブルの方にある。それよりデンライナーに避難させるから、手伝ってくれ」

「あなたは…!」

その男の顔を見た大門刑事は驚いたように声を上げた

「大門刑事、知り合いか?」

「俺、全てのライダーと友達になる男!如月弦太朗、仮面ライダーフォーゼだ!あんた、ウィザードの仲間だろ。覚えてるぜ」

彼がフォーゼ!確かに晴人の証言通り、彼が怪人を復活させるのに加担してるとは到底思えない

「フォーゼ、君に逢いたかった。俺は仮面ライダードライブ。泊進ノ介だ」

「アンタがドライブか!宜しくな!!」

「挨拶は後で!それより、今はフィリップさんを!」

そういって俺達はデンライナーと呼ばれる電車の中へと彼を運んだ。しかしその中にはあまりに怪しい奴らがいた。警戒する俺と大門刑事にフォーゼが口を開く

「あぁ、彼らはイマジン。大丈夫、良い奴らだ」
「なんや!また人が増えたで!」
「可愛いそこの君、僕に釣られてみる?」
「カメちゃん、またナンパしてる〜」

イマジン。ここ最近復活しているドーパントやファントムと言った怪人の中に、その名前もあったはずだ

しかしフォーゼの言う通り、敵意は全く感じない。もしかしたらチェイスと同じ、味方側なのかもしれない

そしてデンライナーには3人のイマジンの他に、大学生と思われる男の子が2人乗っていた

「駿、ミツル、紹介するぜ。彼が、仮面ライダードライブだ」

「ネズミが纏めてた仮面ライダーだ!」

フォーゼの言葉に2人は顔を見合って叫んだが、俺には何の事かさっぱりだった

「ああ、でも今は訳あって変身ができないんだ」
「おお!あんたもか!俺と同じだな!」

どうやらフォーゼも今は変身できないらしい。意外な共通点が見つかり親近感が湧いた俺は、例の写真を取り出して話を進めた

「フォーゼ、すまないが一つ変な質問をさせてくれ。こいつらが復活したんだが、それに関わってるなんて事ないよな?」

「ああ、こんな怪人を俺が復活させるわけない…って、ええぇ!?これ、俺と映司さんが倒した奴じゃねぇか!それにこっちはウィザードと倒した奴!復活したのか!?」

「その驚き方からしても嘘をつけるようには見えないし、晴人くんの言ってたことは間違いないようね。つまりアクマイザー達の復活には、あのアンクという男が間違いなく関わってる」

そのまま俺はデンライナーに乗っている全員に、俺達の仮説と外で起きていた事実を話した

アンクがこの世界にやってきたことで、倒されたはずの怪人が蘇っている可能性があること。オーズの変身者が重傷で運ばれたこと。そして今、外ではアンクが暴走していること

静まり返ったデンライナーに再び声を響かせたのは、大学生のうちの駿くんと呼ばれる子だった

「そんな、嘘だよ…オーズが…」
「駿…大丈夫。幸太郎さん達が救ってくれるよ」

ミツルくんと呼ばれる子が駿くんを宥めている。そんな中、フォーゼが呟いた

「実はな、駿にとって映司さんは恩人なんだ…駿のお袋さんを救ったのは、映司さんなんだよ。だから、ああなるのも仕方ないんだ…」

「だがアンクがこの世界にいる限り、危険なことが頻発する可能性は大いにある。今はアンク自身が暴走しているから尚更だ。暴走が止まったら、元の世界に帰ってもらうよう、今戦っている俺の仲間が伝えてくれるはずだ」

「でも照井刑事達、他の仮面ライダーと戦っていましたよね?邪魔されてないといいけど…」

「どういうこと!?幸太郎さん達がアンクを助けるのを他のライダーに邪魔されてるってこと?ライダーは皆、正義の味方。仲間なんじゃないの?」

大門刑事のその言葉に、今度はミツルくんが声を荒げた。そして彼は立ち上がり、デンライナーを降りた

「ミツル!待て!戻れ!!」

「先生言ったよね!今出来る事をやれって!これが今俺がやるべき事なんだ!駿!一緒に来てくれ!!」

その声に頷いた駿くんもデンライナーを降り、2人は一緒にライダー達の方へと走っていった

「あいつら…!」

すかさず2人の後を追ったフォーゼ。その後ろを俺も追った


同刻、ミハルSide

信吾と呼ばれる人にアンクを任せ、俺たち3人は交戦中の6人の仮面ライダー達の元へと駆け寄った

しかしその勢いの激しさに中々手も出せなければ、声も届かなかった。俺はこの状況が辛くて堪らなかった

オーズがずっと言い続けている、仮面ライダー達の助け合いの気持ち。それを目の前で否定されているような気がした

しかもその中にはさっきまで一緒にいた野上幸太郎や赤鬼、左翔太郎まで居る。我慢していた気持ちが限界に達した俺は、思いっきり叫んだ

「みんな、周りをよく見ろ!!もう敵は居ない!!アンクも助かった!!最初からライダー同士が争う必要なんてないのに、何で皆はずっと戦ってるんだ!!」

その声に仮面ライダー達は気が付いたようで、全ての仮面ライダーの攻撃が止まった。しかし驚いたのは、叫んで自分の気持ちを伝えていたのは俺だけではなかったということだった

「ライダーは助け合いなんでしょ!!皆、オーズからそう学んだでしょ!!」

駿くん…

「ここに居る皆、想いは一つのはずなのに!!何で戦うことでしか想いを伝えられないの!!」

ミツルくん…

若者の声が大きく響いたのか、仮面ライダー達は一斉に変身を解除した


「ミツル…!デンライナーに居ろって…」

「ったくよォ、あいつらも、あのリーゼント野郎も、何してんだ。見張っとけって言ったのに」

「幸太郎さんとモモタロスの馬鹿!俺達が来なきゃずっと戦ってたくせに!」


「兄ちゃんの言葉で、映司の言葉を思い出したよ。理解してくれない仲間に少し腹が立っちまった。でもそれじゃ駄目だよな。気付かせてくれて、有難う」

「俺は何もしてないよ。お礼はオーズにしてあげて」


「左…俺も少し、気が立ち過ぎていたのかもしれない…だが、奴を元の世界に返さねば平穏は…」

「照井刑事、アンクなら信吾さんが今病院へ送っていきました。確かに俺たち刑事には世の中の安全を守る義務があります。その為に、俺たちは多くの命を守る為に行動しなければならない。でもだからと言って、少数の声に耳を傾けないのは違います。誰1人心身ともに傷付かせない。俺たちが1番優先すべきはそういう事なんじゃないでしょうか」

「後藤、刑事…」


「良かった…あいつなりの希望がまた見つかって…」

「晴人くん!」「晴人!!」

「凛子ちゃん、泊。待ってたんじゃなかったのか」

「まぁ色々あってな。それと、フォーゼと話したんだが…」


「あんたの言う通りだ。俺たちが戦う必要なんて最初からなかった。声を大にしてくれて、有難う」

「分かっていたなら、何で!」

「アクア、落ち着けって。…でも、映司さんの心を受け継いでるのは、何も駿だけじゃなかったんだな。格好良かったぜ。それより早く映司さんの元へ行ってやってくれ」

そうだ、早くオーズの元へ行かなきゃ


戦兎Side

奴のあの言葉、どういう意味だったんだ…?

『奴の暴走は想定外。計画を実行するのは今じゃない、ということだ』

計画。一体何の計画をしているというのだろう。もしかしたら今アンクが意識を失った所を狙って奴がまた現れるかもしれない…

「桐生戦兎。君も来ていたんだね」

俺に声を掛けたその主はダブルのうちの1人、フィリップだった

「ああ、もう1人のダブルをここに呼んだのは俺なんだ。要らない戦いに巻き込んでしまってすまない」

「照井竜のことだ、僕達相手に本気にならないことくらい、僕にも分かるさ。しかし、迷惑をかけてしまったことは謝るよ。申し訳ない」

「気にしないでくれ。だが1つ頼みがある。俺は今からアンクの元に向かう。今あいつを1人にするのは危険だと判断したからだ。だけどそうなると実験室にはしばらく戻れない。すまないが、今日だけでいい。万丈と馬渕の帰りを待ってやってくれないか?」

少し悩んだ素ぶりを見せた彼だったが、快く引き受けてくれたため、万丈達を彼に任せることにした俺は、次にアクアに話しかけた

「今からアンクの元へ行くんだよな?コアメダルを預かってるのと、少し気になる事があるんだ。俺も連れて行ってくれ」

「わかった、いこう」

俺とアクアは共に聖都大学附属病院へと向かったのだった


こうして火野映司とアンクは2人とも聖都大学附属病院へと運ばれた

映司に関してはかなりの重傷だったが、鏡飛彩や、いつかの恩返しがしたいと名乗りをあげた田村ケイといった優秀な外科医らによる手術を経て、事なきを得た

しかしアンクが意識不明の状態から回復したのは2人が搬送されてから3日後、映司に至ってはさらにその2日後のことだった




その頃。ヨーロッパのとある国

「素晴らしい!実に素晴らしいよ!!やっぱり日本を離れ、ヨーロッパで仕事をする決心をして正解だったようだ!ここには財団の資料室にもない錬金術の資料がたくさんある!!ここで錬金術を学べば、純粋に欲望のエネルギーのみを抽出した人造のコアメダルを作れる!!Dr.真木は愚か、マスターガラを超えれる日もそう遠くないだろう!」

「コアメダルに詳しい鴻上光生というのはお前か?」

「おやおや、これはこれは…招かれざるお客様が来たようだね。そうとも!それで、私に何の用だね?」

「あんたに、作って欲しいものがある」

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