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小説 オーズ Anything Goes! 序章

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

前作から読みたい方はこちら

2021年7月31日。アンクが時を超えこの時代へと降り立った。これはその約1ヶ月前の出来事…

───東京・警視庁───

「揃ったようだね。改めて諸君、今回は緊急な召集にも関わらず、迅速な対応感謝する。今回諸君に集まって貰ったのは他でもない。ここ最近、撲滅したはずの怪人達が蘇り、街で暴れているのは知っての通りだ」

この日、俺を含め警視庁に4人の刑事が集められた

「此処にいる諸君は全員怪人達と戦闘、またはそのサポートを行った経験がある。一人ずつ私から紹介していこう」

男はまず俺と一番左にいる刑事へと目を向ける

「まずは警視庁の後藤慎太郎刑事だ。彼はかつて仮面ライダーバースとなり、怪人グリード、並びにヤミーと戦った男だ。そしてそのサポートをしていたのが、捜査一課の泉信吾刑事だ」

「後藤くん、また会えて嬉しいよ」
「こういう形なのが、少し残念ですがね…」

次に男は右の一際身長の高い刑事に目を向けた

「続いて、同じく捜査一課特命班より泊進ノ介刑事。彼はかつて特殊状況下事件捜査課にいた頃、仮面ライダードライブとして怪人ロイミュードとの戦いを繰り広げた男だ」

「泉刑事とは同じ捜査一課に居ながら一度もお話させて貰う機会がなかったので、改めて皆さん。泊進ノ介です。よろしくお願いします!」

最後に男は唯一の女性刑事へと目を向けた

「続いて元警視庁の刑事で、現在国家安全局0課に所属している大門凛子刑事。彼女はかつて怪人ファントムとの戦いをサポートし、現在もその撲滅に力を注いでいる」

「エリートの方々とご一緒出来て光栄です」

「そして今回、この4人に加えもう一方、風都警察署の超常犯罪捜査課より、課長の照井竜刑事にも共同捜査という形で特別に協力頂くこととなった」

男の言葉に合わせて、部屋に赤いジャケットを着た刑事が入ってきた。俺にとっては見覚えのある顔だった

「照井だ。後藤刑事と泊刑事とは以前一度共闘した事がある。泊刑事、今日はあの白い仮面ライダーは居ないのか?」

「照井刑事、ご無沙汰してます!あの時は剛が失礼な事を、申し訳ございません…剛は今、色々と大変なんです」

「照井刑事は怪人ドーパントを根絶させるため、今も仮面ライダーアクセルとなり、ガイアメモリ犯罪の第一線で戦うエリート刑事だ」

照井刑事が大門刑事の隣に立ち、5人の刑事が揃ったところで、男は話を続けた

「今回君たち5人には特別チームを組み、復活した怪人達と戦っていただきたい。とは言え現状、泊刑事と後藤刑事は変身できないと聞いている」

ポセイドン事件の後、俺は再び鴻上ファウンデーションにバースドライバーを預けた。泊刑事はなぜベルトを手放したのだろうか

「ベルトさんは今、ドライブピットの地下深くで眠っています。以前、一度神様のおかげで変身した以来です。変身はそんなに望めないかと」

神様?泊刑事はふざけているのだろうか。でも表情は至って真剣だ。彼にも何か理由があるのだろう

「承知した。後藤刑事はどうかね?ベルトはすぐに手に入る状況なのだろうか」

「恐らく、大丈夫だと思います…」

「であれば基本はペアで行動して貰おう。後藤刑事と泉刑事ペア、照井刑事と大門刑事ペア。後藤刑事と照井刑事には戦闘を、泉刑事と大門刑事にはそのサポートを行って貰う」

男は最後に泊刑事を見て口を開いた

「そして泊刑事にはこの事件の発端を単独で探って貰いたい。何かあれば警視庁側でサポートを行うが、変身が出来ない以上無理はしないように。それでは早いがこれで解散とする」

こうして俺達それぞれに役割が与えられた。俺は信吾さんと一緒に、一先ず鴻上ファウンデーションへと向かう事にした

同じ警視庁に居てもあまり絡む機会がない。最後に会ったのは俺の結婚式の日だ。久々の対面に話が弾んだ

「比奈ちゃんは、元気にしてますか?」

「比奈は自分の夢を叶えて、洋服を作る仕事に就いたよ。1年前くらいに店を出してさ、最近は結構お客さんで賑わってるみたい。この間知世子さんが来たんだって嬉しそうにしてたよ」

比奈ちゃんも知世子さんも元気そうで良かった。久々に2人にも会いたいな。信吾さんが再び口を開く

「そういえば、最近伊達さんから連絡あった?」

「あぁ、この間連絡来ましたよ。丁度今、日本に帰ってきてるそうです。確か、聖都大学附属病院?という病院で臨時で働いてるみたいです」

「そうなんだ、伊達さんも元気でやってるみたいで良かった。映司くんは相変わらず旅してるんだろうね」

「今回の事件は火野には伝えないでおきましょう。せっかく火野がやりたい事を出来てるんですから」

火野に伝えれば絶対すぐにでも日本に帰国してくるだろう。ただ俺はもう火野を戦いに巻き込みたくない。火野には自分を守ろうとしない危ない一面もある

そんな話をしていると、いつの間にか鴻上ファウンデーションの目の前に到着していた。俺は10年振りに会長のいる部屋へと向かった

「これは、後藤くん!泉刑事!10年振りだね。再会というのは実に素晴らしい!!今お祝いのケーキを作ろうじゃないか」

会長も相変わらずだった。信吾さんに関しては会長とそんなに絡んだ事がなかったからか、少し引いている

「あ、いえ。会長。今日は一寸急いでて…」
「君が欲しいのはこれだろう?」

会長は机の上にバースドライバーと、バスターやカンドロイド、十分なセルメダルが入ったケースを置いた

「ここ最近、またヤミーの目撃情報があってね。君の事だからきっと取りに来ると思ったよ。それに君が来たという事は、ようやく私も行けるわけだ」

「行ける?どこにですか?」

会長は俺の眼を見て話を続けた

「後藤くん、私はね。これから数年ヨーロッパの方で仕事をする事にしたんだよ。資料室にある資料以外にも、向こうにはまだ情報が残っているからね」

「映司くんはどうなるんですか?今は鴻上さんのお手伝いとして旅を続けてると思いますが、その援助とかは?」

信吾さんが会長に尋ねた

「火野くんとの契約も来月いっぱいで切れる見込みだよ。その後の動きは火野くんに任せている。旅を続けるのか帰国するのかは火野くん次第だね」

1ヶ月間で今の事件を全て解決すれば、火野がヤミーや他の怪人達を気にする必要もない

「ではドライバーとこれは貰って行きます。会長、またいつか会いましょう」

こうして俺達は鴻上ファウンデーションを去ったのであった


そして2021年7月31日。───Ankh Side───

「じゃあ早速、映司へ辿り着くためにまずは鴻上か…ったく、奴とは何回顔合わせなきゃいかねぇんだ」

俺は鴻上ファウンデーションへと歩き始めた。しかし数十分掛けて辿り着いた俺の知ってるその場所に、鴻上ファウンデーションの姿は無かった

「鴻上の奴…ビルの場所変えたのか?」

本当に面倒な野郎だ。これでまた振り出しだ。俺は再び公園へと足を運び始めた。妙なのは、さっきからずっと誰かにつけられている感じがすることだ

誰かの視線を感じつつ、俺は公園へと戻ってきた。ベンチに寝転び眼を閉じる。街の音、住宅街から漏れ出す旨そうな飯の匂い、夏独特の生温い風…

その全てを全身で感じ取る事が出来るようになったのは映司、お前が俺に命を与えてくれたおかげだ

俺が必ずお前の運命を変えてやる。待ってろ、映司。俺はそう心の中で唱え、そのまま意識を手放した…


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