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小説 オーズ Anything Goes! 3

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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「なぁ、天丼。本当に大丈夫なのかよ、お前1人で。トサカは危険な奴だ。何するか分かんねェぞ?」

デンライナーが動き出し赤鬼は青鬼に対して尋ねた

「問題ない、それに私も丁度会いたい人が居るんだ」
「テディ、あまり目立ち過ぎるなよ」

俺に色々言ってた割に、青鬼も別の誰かと接触する気なのか。まぁ俺は映司か白衣の男か、青い龍の仮面ライダーの情報さえ手に入れればこいつらがどうしようと知った事ではない

…仮面ライダー、か。こいつらも映司と同じで、誰かを守る為なら自分の命を投げ捨ててでも、必死に手を伸ばすのだろうか

お前らは何の為に戦ってんだ?俺がそう人間に問い掛けようとしたと同時に、人間は口を開いた

「よし、着いたぞ」

なんだ、随分と早い到着だな。夢見町からそんなに離れていないのか?このくらいの距離なら飛んでも行けただろうに

とは言え、確かにこの青鬼と外を歩き回るのは悪く目立つか。デンライナーの外を見ると大きな風車の付いたタワーが見えた

「アンクくん、目的地の風都に到着だ。約束通り一緒に降りよう」

俺が青鬼と一緒にデンライナーを降りようとすると、赤鬼の声が背中から響いた

「おい、トサカ!あんまり変な事すんじゃねェぞ!」

最後の最後まで煩い赤鬼だ。俺は振り返らず、デンライナーを降りた。青鬼が人間と別れの挨拶を交わすと、デンライナーは2051年に向けて旅立っていった

「ではアンクくん、鳴海探偵事務所に行こう。彼らに任せれば何らかの情報は必ず手に入るだろう」

探偵か。後藤や信吾のような刑事とはまた別の仕事なのは知っているが、実際に探偵とやらに会うのは初めてだ

「そういや、お前も誰かを探してるって言ってたな。時間移動してるお前に知り合いなんて居るのか?」

青鬼は頷き言葉を続けた

「あぁ、アンクくんもよく知っているだろう。私は10年振りにミツルくんに会いたい。元気にしているだろうか」

ミツル、俺はその名に聞き覚えがない。だがそいつもきっと10年前にこっちの俺がこいつらと関わったタイミングで接触した奴なのだろう

俺と青鬼は人目につかない道を選んでは目的地へと向かった。幸いそこまで遠くはなく目立たずに到着に至った

「鳴海探偵事務所…ここか」
「ああ、早速尋ねてみよう」

俺が扉を開くと部屋の向こうで黒服の男と緑の服の男が何やら話していた

「なぁ、フィリップ。照井がチームを組んでる女刑事にも話を聞いてみたんだが、ファントムがどうとか訳わからねぇこと言ってて話にならなかったぞ」

「おかしいな、照井竜と組んでるからには少しはドーパントについて何か情報を握っていても可笑しくないと思ったんだが──おや、君達は依頼人、かい?」

緑の男が俺達に気付くと黒い男が叫んだ

「うああ!何だ、この鬼!ドーパントか!」
「翔太郎、落ち着きたまえ。彼はイマジンだよ」

緑の男の冷静な返しに黒い男が平然を装う中、青鬼は俺にしたような自己紹介を始めた

「いかにも、私はイマジンのテディだ。普段は野上幸太郎と共に仮面ライダー電王として戦っている」

「仮面ライダー?こんな鬼が?俺たちと一緒だって?っは、笑わせるぜ」

「翔太郎。僕達も10年前、彼ら電王や他のライダー達と共に闘ったじゃないか。忘れたのかい?」

黒い男が青鬼を鼻で笑っている中で、緑の男が再び指摘を入れる。焦る黒い男を横目に緑の男が俺を見ていることに気付いた青鬼は、今度は俺の紹介を始めた

「そしてこちらに居るのが、今回の依頼人のア…」
「ちょっと待ってくれ。彼に少し興味がある」

緑の男はそう言って青鬼の言葉を遮った。俺はそいつを睨みながら初めて言葉を交わす

「俺はお前らになんざ興味ない。俺は人を探してる」
「おいおい、あんちゃん。少しは口の聞き方を…」

黒い男の説教が始まるかと思いきや、再び緑の男が言葉を遮る。何なんだ、こいつは

「翔太郎、頼む!彼と2人で話をさせてくれ!僕の知りたい気持ちがどうしても収まってくれないんだ!君はテディというイマジンと雑談でもしていてくれ」

「っ、ああ…分かった。話が終わったら呼んでくれ」

そう言って黒い男と青鬼は奥の部屋へと入っていった。見送るや否や、男は口を開いた

「単刀直入に聞こう。君、人間ではないね」

何なんだこいつ、俺がグリードだと見抜いたのか?

「いや、正確には元々人間でなかった、と言った方が正しいのかな。君を見た時に感じたんだ、君は僕と同じだ、ってね」

同じ?どういう事だ?俺は再び男を睨んで口を開いた

「中々鋭い奴だな。ああ、そうだ。元々俺は人間ではない、作られた存在だ。だが今は命を貰って生きている。それより、同じってのはどういうことだ?」

800年前に錬金術師によって作られたグリード、そこまで詳しくは別に言わなくていいだろう

「やっぱり僕の思った通り。僕も過去に命を落とし、データの塊として復活したんだ。でも今では姉さんのお陰で新たな肉体を手に入れている」

データの塊?全く意味が分からなかったが、嘘をついてるようには見えない。こいつからは独特の雰囲気を感じる

「そして、僕と君は以前どこかで会っている。そんな気がしてならない。これは翔太郎にも聞いてみよう。着いてきたまえ」

男は青鬼と黒い男を呼びに奥の部屋へと向かった。それよりさっきの話といい、まさかこいつらとも10年前に出逢っているのか?こっちの俺と映司は

俺が男の後を着け部屋に入ると、黒い男と青鬼が意気投合したように話していた。俺達に気付いた黒い男は緑の男に声をかける

「おい、フィリップ!このテディっていうイマジン、めちゃくちゃいい奴だぞ!」

何でこの短時間でそこまで親しくなれるんだよ。それにしても不思議な部屋だ。ホワイトボードにはたくさんの文字が無作為に綴られている

「それは良かったね。それより翔太郎!僕達と彼は過去どこかで会っているはずなんだ!何か思い出せないかい?」

「あー、いや。俺は全く覚えてねぇな」

黒い男が少し考えて出した答に緑の男はガッカリしながらも、再び言葉を続けた

「翔太郎、彼と僕は似た者同士なんだ。是非彼の人探しに協力してあげたい。いいだろう?依頼を受けている中で、どこで出逢ったか思い出すかもしれないし」

「あー、分かった、分かった!…で、探して欲しいのはどんな奴だ。まずはそいつの特徴、情報をくれ」

映司の特徴か…俺は思いついた言葉をそのまま話した

「パンツが好きな旅人だ」
「って、おい!何だその変人は!」

流石に分かるわけねぇか。そういやさっきの話からして、こいつらも仮面ライダーなのだろう…それなら奴を知ってるかも知れんな

「別人だが、仮面ライダーに変身する奴も探してる。青い龍の仮面ライダーだ」

まぁ、映司も仮面ライダーなんだけどな。とは言え、映司の詳しい情報を見ず知らずの探偵とやらにそう簡単に話してたまるか

「それならフィリップ、地球の本棚に入ってくれ」

地球の本棚?俺がそう聞き返す前に緑の男は目を瞑った

「さぁ、検索を始めよう。キーワードは?」
「【仮面ライダー】、【龍】、【青い】」

こいつらは何をしているんだ?俺が疑問に思っていると青鬼が小声で囁く

「彼は地球の本棚と言って、地球全ての知識を記録しているデータベースにアクセスすることができる」

あいつがデータの塊だったってのも、どうやら嘘じゃないようだな。俺と青鬼が会話する中で緑の男が眉を顰める

「翔太郎、候補が数名居てまだ絞り込めない…」
「他に特徴はないのか?」

俺が奴の姿を見たのは一瞬だった。どうにも他に特徴があったようには思えない

「ああ、俺もじっくり見たわけじゃないからな」

俺の言葉に緑の男は目を開き、手に持つ本を読みながら、ホワイトボードに候補を書き連ね始めた

『仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム』
『仮面ライダーアギト ストームフォーム』

『仮面ライダーウィザード ウォータードラゴン』
『仮面ライダーゴースト 龍馬魂』
『仮面ライダークローズ』

「これだけの候補が見つかったが、上二人は最近の目撃情報はない。ウィザード、ゴースト、クローズに絞って問題ないだろう。となるとまずは…」

とはいえ3人の仮面ライダーが何処にいるか分からない。やはり探偵と言えど、厳しいか?

「俺達が依頼を受ける人探しは基本風都の中だけだ。この街は俺の庭だ。風都にいる人の事なら大体把握している。だから普段ならこんな依頼は絶対受けない」

「彼の人探しには人の命が掛かっているそうなんだ…そこを何とか協力してくれないだろうか?」

青鬼が俺の事情をつらつら告げることに苛ついていると、黒い男は言葉を続ける

「ただし、今回の依頼に関しては話は別だ。頼れる後輩が1人居るから、話を聞いてきてやる。フィリップはこいつらと一緒に照井と合流してくれ」

「私はこの姿である以上、目立ってしまうため、あまり大きく動きたくはないが、幸太郎との約束もある。ミツルくんに会うのは諦めよう…」

黒い男の言葉を聞いて、青鬼は残念そうに呟く。だがこいつが大きな動きを見せれば、目立つのは間違いない

「で、1人でどこへ行く気だ」

俺の質問に黒い男はじっと目を見詰めながら答えた

「天ノ川学園高校だ」


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