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宵町めめ 水と灯と異界の漫画家
2019年8月27日 15:46
太陽が沈み、空が薄桃色と紫色に混ざり合う時にだけ、僕はあの不思議な列車の事を思い出す事が出来る。 纏わりつくような夏の風と草の匂い。暗闇の川から舞い上がる蛍達の光の渦。どこまでも続く、誰もいない路地。瞼を閉じるとそれらは心のどこか遠いところから浮かび出る。 そして、金属と金属の擦れる音を夜空いっぱいに響かせながら、あの黒い蛇のような列車がやってくる。 ああ、あの列車は今、どんな夜を走り