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出産と育児のリスクと負担のこと。共助と公助の拡充を。

嬰児を遺棄して逮捕される女性がいます。背景には、貧困と孤立。家族を親を頼れない。生きていくために売春をする、男が避妊をしない、そして、中絶もせず、産み捨てる。こうした不幸ないきさつがあるようです。

あるいは、幼い子供を抱えた若い女性がいる、親を頼らず、自分で子供を育てよう、さらには自分の学費も稼ごうとキャバクラで働く。ある時、その事業所の経営に関わっている男の不貞を注意したところ、逆上され、暴行を受け、その女性は亡くなりました。

男と女の関わり方について、考察してみます。

ある時期の中央アジアでは隊商がある村に来ると、村の娘を男に一晩、与えていたとか。外部の交流が地理的に困難で、このため、外の血を入れる必要があったのでしょう。

地中海のある島。かつて、そこは女と子供しかいなかったと。男児は成長したら、寄港した船に乗り、故郷を去ります。また、船乗りの男は島の女と交わり、去っていきます。時代により、地域により、そうした男女のかかわり方もあったのでしょう。

大航海時代の船乗りは男ばかりでした。また、初期のアメリカの入植者も男ばかりでした。そうやって、新天地の開拓はなされていきます。

現代の日本では生涯未婚率は男性が2割、女性が1割だそうです。この違いは何に由来するのか。様々な視点や解釈はあるでしょうが、私の理解では男の一部には家庭を持たない生き方を選ぶ人がいる、それが要因の一つではないか、と考えます。

あるいは結婚して、子供をもうけても、ほどなく、離婚し、別居する。養育費は払っても、同居しようとは思わない。夫らしいこと、父親らしいことはしたくはない、そう、考える男性も一定数います。

たとえ、同居していても、たとえば、指導者として、武術の継承活動を優先するあまり、自分の子供との交流が疎かになり、家族から不満を持たれる、そうした例もあるようです。

出産もそうですが、育児となると、とかく女性の側が不利になりがちです。一人親世帯。母子、父子、祖母と孫、祖父と孫、など、保護者が1人の世帯がありますが、多いのは母子家庭です。そして、その7割は養育費が未払いであると。

「結婚は借金」「妻子は負債」「養育費を払わずに離婚した男は勝ち組」「自分の収入の何割かを妻子に割きたくない」仕事に人生を捧げるような、高尚な発想ではなく、このように残念な発想する男達がいることをネットの匿名の書き込みが伝えています。一部の男の本音なのでしょう。だったら、なんで結婚し、子供をつくったのか。それなら、最初から、結婚するな、子供をつくるなと。

「射精責任」。著者はガブリエル・ブレア。2022年に出版されるやベストセラーになり、日本では2023年に出版されました。望まない妊娠と中絶を問い直す提言の本です。

こうした本がベストセラーになるのは、人々の思い、とりわけ、女性の側の不遇感を表現してくれる著作を人々が望んでいたからなのでしょう。

男は射精して終わりでも、そこから発生するリスクや負担を負うのは女の側です。嬰児を遺棄して、なぜ、女性が逮捕されるのか。その女性は被害側なのに。

例えば、高校生で妊娠すると、なぜか、自主中退を迫られることがあります。ではなく、出産と育児、学業を両立できるよう、周囲のサポートが求められているのであって。私が大学の時は、1年休学しながらも、出産と学業を両立していた生徒はいました。大きくなったお腹を抱えながら、測量実習に参加していたそうです。なぜ、高校ではできないのか。

育児となると、男女2人ばかりでなく、周りの支えも必要になります。妊娠した女性には自分の母親、夫の母親、の2人がいて、出産の直前、直後の世話にあたってくれるものです。しかし、それらがなければ。

冒頭の事例を考えてみましょう。売春をする女性がいる。そうした女性のなかには昼職がつとまらない。学校の試験も不得手であり、役所での書類の申請もままならない。そして、親や家族も頼れない。そうした、福祉の世話、誰かの社会的介助を必要とする人もいます。

そうした人が果たして、望まぬ妊娠をした場合、嬰児の遺棄からの逮捕という、不幸な展開になりがちです。

いくら、制度を充実させても、その制度を利用することすらできない人たちがいます。だから、家族に代わる共助を、ひいては公助の拡充を私は提唱したいのです。

家族の絆。そうしたものが当てになるのであれば、孤独死やホームレス、生活保護や自殺はもっと減っているでしょう。

既婚者で家族がいても孤独死する人がいます。生活保護を受給する人は、そもそも家族を頼れないから公助に頼っているのです。

殺人事件の半数が親族間であることも強調しておきます。家族とはこの社会で最も頼りになると同時に最も危険になりうるのですから。

家族に代わるコミュニティの構築。そして、公助、福祉制度の拡充。キャバクラや風俗、売春をする必要がない、まして、嬰児の遺棄のような事例を起こさせないようにしなければ。

そして、嬰児の遺棄があった場合、逮捕されるべきは射精した男であることを特筆しておきます。

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