倉田隆盛

教育、福祉制度について研究。イジメ、体罰、虐待をはじめとする子供・若年者の人権、DV、…

倉田隆盛

教育、福祉制度について研究。イジメ、体罰、虐待をはじめとする子供・若年者の人権、DV、ひきこもり、精神障害を対象に。

マガジン

  • 若年者の人権など

    イジメ、体罰、虐待、DV、など扱います

最近の記事

出産と育児のリスクと負担のこと。共助と公助の拡充を。

嬰児を遺棄して逮捕される女性がいます。背景には、貧困と孤立。家族を親を頼れない。生きていくために売春をする、男が避妊をしない、そして、中絶もせず、産み捨てる。こうした不幸ないきさつがあるようです。 あるいは、幼い子供を抱えた若い女性がいる、親を頼らず、自分で子供を育てよう、さらには自分の学費も稼ごうとキャバクラで働く。ある時、その事業所の経営に関わっている男の不貞を注意したところ、逆上され、暴行を受け、その女性は亡くなりました。 男と女の関わり方について、考察してみます。

    • 進学後の経済的虐待

      教育虐待というと、「満点をとれ」「いい大学にいけ」と、高い点数、高い偏差値をとることを強いる、それに伴う、マルトリートメント(不適切な対応)が想起されますが、この項では「進学後の虐待」について考察します。 大学に入学して、間もなく、親が子供に「大学をやめろ」「家から出ていけ」という経済的虐待があります。これまで進学を考えて、高校生活を送ってきた、そして、これから大学生活が始まる、そこへ唐突に、子供を突き放してしまうわけです。 何の準備もなしに、いきなり、進路の変更を迫られ

      • 進路と親権の話

        医学部受験を9浪させられた娘が母親を殺害した事件がありました。教育虐待の果てに親子は不幸な結末を迎えます。 精神障害で心を病んで入院する人は進学校、有名大学出身者が多いそうですが、この事件も教育虐待の弊害でしょう。 親が子に与えられる最大の資産は教育です。しかし、教養というよりは学歴が出世や社会的地位に直結するため、子供に試験で高い成果を強いる親もいます。 ここでは進路の設定にあたって、第三者機関が入り、子供と話をかさね、当人に相応しい進路を決めるべきだ、ということを私

        • 剣術のことなど、黒田鉄山師範のご逝去

          振武舘(しんぶかん)第15代宗家 黒田鉄山(くろだてつざん)師範が3月3日亡くなられました。享年73歳。剣術、棒術、柔術、居合術等の宗家として、古武術を伝えてきた方です。 剣術の発生と発展について、記事にしたいと、考えていたところ、黒田師範の訃報がもたらされ、あらためて、日本の剣術について、ここに記事として投稿します。 剣術の歴史に触れるにあたり、まず、武士の歴史について触れておきましょう。 武士の源流をどこに求めるのか、ということですが、古代の日本にある頃、入植した集

        出産と育児のリスクと負担のこと。共助と公助の拡充を。

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        • 若年者の人権など
          21本

        記事

          概説・谷中中学事案(後編)

          誠一郎君が座り込みを始めたのが2019年1月ごろ、彼がいつも正門の前にいることは学校の誰もが知るところとなります。教員らは彼を敵視する空気が共有されていたのか、校門に面した校舎の窓、一帯のカーテンを閉めて、校舎内から彼の姿を生徒らに見せないようにします。 父親はこの時期、弁護士を立てて、学校、区の側と話をするようになります。学校側もまた、区の顧問法律事務所を立て、校内には弁護士がいつもいるようになり、事態は難しくなっていきます。 父親はまた、区の市民相談窓口に件のことを問

          概説・谷中中学事案(後編)

          概説・谷中中学事案(前編)

          東京都足立区谷中(やなか)中学。ある時、その校門の前にうつむき座り込む、制服姿の男子中学生らしい少年を映した映像がX(当時はツイッター)に投稿され、数万のリツイートを得ていました。 この少年に何があったのか。以前、このブログで数回にわたって、投稿した谷中中学事案ですが、半端なままで長く中断していたため、(私のブログで最も閲覧数が多い)今回、あらためて、振り返り、まとめてみます。 その少年、誠一郎君は(当時)谷中中学の2年生でした。ある朝、教室で他の生徒と喧嘩が起きます。あ

          概説・谷中中学事案(前編)

          共同親権の話

          共同親権をめぐる話を。 法改定により、今の単独親権から共同親権に変えようという動きと、これに反対の声があります。このことについて考察してみます。 夫婦がいて、両者が離婚する。子供は一方の親と暮らす。この際、親権は子供と暮らしている同居親の側にあります。これが単独親権です。これを共同親権に変えようという動きが年来ありました。 共同親権に。つまり、子供の転居や保育園への転園などにも、これまで必要がなかった別居親のハンコがいる、ということです。その理由としては両親が離婚しても

          共同親権の話

          感想:映画「君たちはどう生きるか」

          スタジオジブリ、宮崎駿監督、映画「君たちはどう生きるか」について感想をつづります。 私は「千と千尋」までは見ましたが、「ハウル」「ポニョ」「風立ちぬ」は見てないので、それらの作品も見てからのほうがより深い感想を書けるのでしょうが、見てきた範囲だけで書いてみます。 (以下、ネタバレ) あの作品は、端的にいって、「母と息子」の話でしたね。宮崎作品はこれまで「父と娘」についてはよく描かれてきたのですが。 主人公の少年は冒頭、火事で母を亡くします。懸命に母にすがろうとするも、

          感想:映画「君たちはどう生きるか」

          進路コンサルについて

          中学2年のころ、将来、自分はどうなるのか、を考えます。「サラリーマンや公務員は違うな」と感覚的には思っていました。では、何になるのか、ここから私の模索が始まります。 進路を考えるうえで、どうしてもコンサルが必要になるでしょう。高校生のころ、教室には蛍雪時代なる大学入試情報誌が置かれていました。しかし、3年間を通じて、誰も読んでいるところを見たことがありません。 私も1年次の最初だけ、少し読みましたが、蛍雪時代は電話帳を3冊分ぐらいの厚さがあって、とてものこと、丁寧に読む気

          進路コンサルについて

          家族の絆とDVのこと

          イジメ、体罰、虐待。若年者の人権の問題について考察します。イジメに関しては、学校組織の在り方、教育制度に関して、これを改変していけば、かなり改善するでしょう。 問題は虐待です。家族の在り方にどうかかわるか。殺人事件の半数近くは親族間です。家族というのはこの社会で、最も頼れる存在であると同時に、最も危険な存在でもあります。 DVでも、虐待でもそうですが、加害者側に立つ人の言い分はやたら、「親子、家族の絆」なるものを強調してきます。これはつまるところ、「逃げるな、耐えろ、我慢

          家族の絆とDVのこと

          ヨシモトとテレビの時代の終わり、男女の共同参画のこと

          2024年です。皆様、こんにちは。前回の投稿から2ヵ月あまり、久しぶりの投稿になります。今年は年初から大きな災害や事故もあったので、挨拶は簡潔にします。 まずは松本人志氏のこと。昨年の「帝国」ジャニーズもそうですが、「国策企業」ヨシモトもついに、来たか、という感じがいたします。 90年代、ネットが登場し、2010年代から、ネットで動画のコンテンツや配信が台頭し、テレビの地位が相対的に低くなっているとは思っていたところで、象徴的な事案が発生しました。 視聴率でテレビを支え

          ヨシモトとテレビの時代の終わり、男女の共同参画のこと

          次の時代を創るのは

          旧統一教会、旧ジャニーズ。 今年を現わす漢字の1つは「旧」でしょう。昨年からは統一教会、今年に入ってからはジャニーズと一連の報道を眺めていると、戦後期の日本の何事かが変容している最中(さなか)なのでしょう。 変容といえば、政治の世界もそうです。作家の百田尚樹氏が日本保守党なる政党を最近、立ち上げましたが主な目的として、世襲の打破を掲げておられます。 戦後ほぼ一貫して与党であり続けた自民党の特徴は世襲率の高さでしょう。他の政党と比較してもそうですが、諸外国の政権と比較して

          次の時代を創るのは

          若年ニートへの対応のこと

          この記事では若年ニートへの対応について考察します。進路を決めることなしに、中学卒業、高校中退、高校卒業した、すなわちニート化した人々について。 こうした人々は、そこから自分で動き出す人もいますが、なかには、そのままヒキコモリ化する、あるいは不良半グレ化する、そうした人々もあらわれてきます。   ヒキコモリ化するタイプ ヒキコモリとされる人も経歴は様々です。専門学校を中退、あるいは働くけれど、20代のある時からドロップアウトするなど、ありますが、とりわけ不利なのは中学卒業

          若年ニートへの対応のこと

          ある芸能帝国の瓦解

          YOUやっちゃいなよ 多くの男性アイドルを擁立し、テレビ番組からCMに至るまで、数々のメディアを席捲してきた大手芸能事務所「ジャニーズ事務所」。今年、3月に英国BBCによるジャニーズ事務所における性加害の報道がなされ、以来、次々と醜聞が明らかにされています。 最近、読んだ、元メンバーのあるインタビュー記事によると、その男性は12,13歳の時に創業者ジャニー氏から性被害を10回以上受けたと。その時の性被害の傷により、後になってからの後遺症、例えば、医療機関での診察の際、男性医

          ある芸能帝国の瓦解

          属性に応じた対応のこと2

          以前の記事では生徒の属性「荒れる」「歪む」「萎える」とその属性に応じて分けることを考察しました。今回はさらに重篤なケースを想定した対応を考えてみます。 荒れるタイプ 「荒れるタイプ」、深刻なイジメの加害者になりかねない、そうした児童は、その問題の程度に応じて、「教室を分ける」「昼休みは別室で対話」「放課後、別室で対話」「授業時間も別室で過ごす」 「クラス替えができない場合、職員が側についている」「同じ校区内で専用の寮に入る」「近隣の学校に転校、専用の寮へ」「遠方、他県の

          属性に応じた対応のこと2

          英会話産業のこと

          90年代後半。当時、しきりにテレビCMを打っていたのが、全国に展開中だった大手の英会話教室でした。電車の車両内もそうだし、街のいたるところにもポスターが張られ、かなり広告に力を入れていたことを覚えています。 その都市の中心、路面店に教室を構え、大きな看板を掲げる。NHKラジオ英会話のテキストの裏表紙にも一面、広告を載せており、その頃の英語(英会話)学習者には馴染みの企業だったはずです。 私の周囲にも何人か、お試しに参加した人がいましたが、評判は芳しくはありませんでした。さ

          英会話産業のこと