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【空き家さんぽ 番外編】

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おうちのバトンの話の前に、どうして「空き家さんぽ」を始めようと思ったのかを少しお話しようと思う。あまり長くならないようにしたいけど、短くもできそうにないからくどくなってたらごめんなさい。

私たちは、2017年に仲間たちと共に岩手県盛岡市肴町に「十三日(トミカ)」という築120年を超える古民家を改修した小型の複合型商業施設をつくり、「十三日」は今年4年目を迎えた。「十三日」のある地域は、昔ながらの商店街や味わいのある魅力的なお店がギュッと集まっていながらも、住宅やマンションも多く暮らしにも密着した場所で暮らしやすそうなそんな場所だ。
そんな中でも「十三日」は商店街から一本奥のちょっと静かな通り沿いにある。私たちは、建物もさることながら「十三日」のそんなちょっと外れた通りにあるところにも魅力を感じたし、まだ余白の残る町に惹かれた私たちのように、「十三日」がまた次の誰かさんに繋がっていく、そんな町の一部になれたらいいなと思った。
そして、「十三日」の中の素敵な飲食店「Epicerie Citron」や「steak&grill MARU3」のおかげで、「十三日」にわざわざ足を運んでくださる方を見かけたり、近くに素敵なお店が新たに生まれたりするのをみるたびに少しずつ線になってきているんじゃないかなと思っている。


同じ頃、ご縁あって私は長野県の門前通りで不動産業と設計事務所を営む株式会社MYROOMの倉石智典さんに出会った。倉石さんはご自身がくらす門前通りで、「空き家見学会」という見学会を毎月開催しながら、建物に興味を持った人に建物の改修工事や事業計画の相談にものりながら、大家さんに繋いで契約と工事、そして開業までサポートしていくという業務をされていて、その空き家再生の数は、5年で80軒にも及ぶ(当時)というスーパーマンだった!参加させてもらった「空き家見学会」では、空き家を見て歩く道程の途中に、以前の「空き家見学会」をきっかけにすでに開業したお店も見て歩けたり、その店主さんからお話を聞けたり、参加している方の中には具体的に物件を探しに来たという女性もいて、こっちの方が希望の建物に近いよねとか盛り上がったりして、こういう物件の探し方があるんだと驚いたと当時にとても感動をしたことを今でも覚えている。物件探しをしている人にとって、こんな強力で頼りになる不動産屋さん(しかも設計士であり工務店でもあるなんてもはや神…)がいたら、倉石さんに頼るに決まってる。しかも明るく楽しく物件巡りをしているだけなのに、いや…だからなのかな、そういう物件が積み重なっていくように増えていくのは。

私も、自分のくらす町でこんな風に楽しく、建物のバトンを繋げていけたらいいな、不動産屋としてこうありたいなと思った。それがまさに「空き家さんぽ」のはじまり。岩手で「空き家さんぽ」を始めます、と倉石さんにお伝えした時、倉石さんは「きっと面白いことに繋がるよ。頑張って」と言ってくださり、そして本当にその通りになった。毎月には及ばずにいるけど、これからも続けていきたいと思っている。


そして、「空き家さんぽ」の名前は、「空き家を見る」というよりも「空き家を見ながら町歩き」して町や建物を知る方がなんだか楽しそうで、そんな時間には「さんぽ」の方がしっくりしたから。
そして何よりも、「十三日」を作った仲間たち (株 )モリノバの代表でもある浅野聡子さんの人気著書「盛岡さんぽ」からもいただいたものである。彼女と出会わなければ「十三日」にも出会わなかったし、その後に続く「空き家さんぽ」での出会いにも繋がらなかった。本当に感謝してもしきれないのに、彼女は「空き家さんぽ」のロゴやバナーまで作ってくれた。
ここまでしてもらったらあとは楽しくやっていくだけ。一つでもステキな建物をステキな誰かさんに繋いでいくだけ。そしてそれが「十三日」と線で繋がっていったらもう最高。

さてさて、ようやくスタートできそう。

こうして、私たちの「空き家さんぽ」はスタートした。



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