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心に響くグローバル・コミュニケーションを目指して

こんにちは。おくすりアドバイザーの井田です。

閑話休題。
今回はお薬の話題を離れてしばしグローバル・コミュニケーションについて
お話したいと思います。本屋さんの店頭には4月から新たに始まったNHKの語学講座テキストがうず高く積まれています。その中でも圧倒的に種類が多いのはやはり英語です。初級から上級まできめ細かくクラス分けされており、今日の世界的なコミュニケーションの中心言語はやはり英語であることが実感できます。国連やEUを始め国際機関での会議や各種学会そしてグローバルビジネスでは、それぞれ英語が中心になってコミュニケーションが図られています。ツーリズムにおいても中心言語はやはり英語です。

英語によるコミュニケ─ションはインドの言語学者Braj B. Kachruによりますと、同心円上の3つのサークルに分類されるとのことです。1番内側に位置
づけさている“Inner circle”は、イギリスやアメリカ等、母語として英語を使う国々で、2017年の資料によると約3.8億人になり英語話者の約30%未満とされています。その外側を取り巻く2番目の“Outer circle”は、インドの様に過去イギリスの植民地であった国々が該当し、母語であったり第2外国語と位置付けられています。一番外にある3番目のサークルは“Expanding circle”です。英語を国際語としてビジネスや教育等の必要性から英語を学んでいるもので、日本もこのサークルの中に入り英語話者の中で最も多い部分を占めています。今や世界的にネイティブスピーカーより英語を母語としない人口の方が圧倒的に多いのが現状なのです。今ではそれら“Expanding circle”の人々が話す英語も一つの言語と捉えられ“Engishes”と複数で表記されることが多くなっています。

奈良で日々ボランティアガイドに取組むに際し、たまには外国人を対象にす
ることがあります。それぞれネイティブでなくとも“Outer circle”に属する旅行者が臆することなく英語を操ることに圧倒されます。日本人の英語による会話はともすると入試英語の弊害か、“grammatical perfectionism”にこだわり、まずは頭の中で文章を整え間違いのない英語を組み立てるというプロセスがしみ込んでおり、なかなかスムーズな会話に繋がらないのが現状です。このような日本人の多くが陥りやすい状況に多くのnative speakerがアドバイスすることは”get your message across”に傾注しなさいということです。文法的に間違っていても臆せず、真摯に自分の伝えたいという想いを持って接すると、きちっとコミュニケーションが成り立ちます。さらに英語に加えさらにその人々の母語を少しでも使用することによりさらに豊かなコミュニケーションが成立します。

南アフリカの元大統領ネルソンマンデラの言葉に次に様な一節があります。
“If you talk to a man in a language he understands, that goes to his head. If you talk him in his language, that goes to his heart.”
「相手が理解できる言語で話せば、相手の頭に届く。相手の母語で話せば、相手の心に届く。」

ただ説明だけを必要とするのであれば、有料のオーディオサービスも用意さ
れています。しかし多くの訪問者は対面のガイドを要望されます。これはた
だ知識・情報だけを得るのではなく、直接ボランティアから人と人との交流
による説明を求めているかだと思われます。英語に加えその人の母語とする
言葉で一言二言コミュニケーションすることでとても以後のガイドがスムー
ズに運ぶことができ、旅行者にもより満足感を持って頂けるのではないかと
思います。いつまでたっても外国語の動詞の活用が身に付きませんが少しで
も心に響く豊かなコミュニケーションを目指して、日々広く多言語に亘って
語彙を増やしていければと願っています。

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