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涼しくなると本が読みたくなる。

涼しくなると、本が読みたくなります。そんなことありませんか?

真夏の暑い時期は、部屋でゆっくり読書…という気分にならないこともあるし、私の大切な読書の場=お風呂も、シャワーで済ませることが多いからということもあります。

お盆が過ぎて、朝晩がぐっと涼しく、過ごしやすくなりました。こうなってくると俄然、本を欲します。活字に飢えるこの高揚感はいつも突然やってきて、私を振り回します。普段はAmazonで本を買うことが多いのですが、時間があれば本屋さんに行くのも楽しみのひとつ。レビューを気にせず、その時の自分の気持ちで読みたい本に「出合う」ことができるからです。

本屋に行ったらなるべくまんべんなく、いろいろなコーナーをゆっくり回ることにしています。ビジネス書、宗教、芸術、資格試験など、思いがけずおもしろい本に出合うことも。特にビジネス書のコーナーを俯瞰で見ると、今の世の中の流れが分かっておもしろい。こないだまでは装丁も赤が多く、ぱっと見のインパクトが大きいタイトルの本がたくさんありましたが、今はフォントもシンプルで、全体の色も青っぽいものが多いな、というのが印象でした。

また、ビジネス書も啓発本も、「〇〇するだけで△△する方法」とか「成功するためには〇〇しろ」みたいなタイトルが本当に多くてニヤニヤします…みんなすぐに答えが欲しいんだなあ、成功したいんだなあ、と思って。一方で、松下幸之助とか稲盛和夫とかのいわゆる「名著」も同じコーナーにたくさん置いてあって、興味深いです。

今回、45分くらいうろうろして買ったのがこの本。永田和宏さんの「知の体力」です。

ぱらぱらと見た感じの読みやすそう、という印象と、いわゆる「理系の研究者」が「知」についてどんなふうに綴っているのか興味があって手にとりました。後から知ったのですが、筆者の永田さんは研究者であると同時に歌人でもあるとのことで、文学的な表現はそういうところからきているのか~、と納得。言葉について、質問するということの重要性について、学習と学問の違いなど、答えがない問いに対する筆者の解釈がとても小気味よく、読了感もさわやか。そして、猛烈に何かを学びたくなりました。

読書は、私にとって新たな発見をもらえるものであると同時に、「そうだった!」と自分の知識の底に埋もれていたものをもう一度引き出してくれるものでもあります。例えば学校で得た知識や、以前読んだ本で知ったことなどは、毎日の暮らしには必要なものではないから、自分の知識の中でアップデートされず、底のほうで埋もれて見えなくなってしまう。でも、新たに読書をすることによって、それがもう一度日の目を見るというか、自分の中でアップデートされる感触があります。

知識はそれ自体がすぐに何かの役に立つわけではないものが圧倒的に多いけれど、社会は即戦力になり得る知識を期待するけれど、だからこそ「〇〇するだけで△△する方法」的な本が売れるのだろうけど。でも、やっぱりすぐには役に立たなくても、知りたい、分かりたい、真理を求めたいという欲には忠実でありたい。本はそういう欲求を満たしてくれる大切なツールだと思います。

「知の体力」の中に、

勉強や読書は、自分では持ち得ない<他の時間>を持つということでもある。過去の多くの時間に出会うということでもある。過去の時間を所有する、それもまた、自分だけでは持ちえなかった自分への視線を得ることでもあるだろう。

という一文があります。自らを知らない世界へ押し広げ、知らないということを教えてくれる、本の世界は偉大です。

ちなみに「知の体力」は、お子さまを持つ親の立場の方にもぜひ、読んでほしい本です。読み終わったらお子さんにも読んでもらいたいなあ。私も、我が子に薦めてみようと思います。

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