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暮らしの楽しみ方再発見! ~きっかけは「ささげ豆」。

今日の「時々、コラム。」は、久々にキッチンでわくわくした、というお話。
先月のとある日、フォローしているスープ作家・有賀薫さんのツイートが目を惹きました。

なじみのある梅酒の瓶に、なんか理科室で見たようなながーいひも状の物体が浸かっている…。ちょっと虫っぽい…。なんだろう。

「酸豆角」と書いてあったのですがそれまで一度も聞いたことがなく、でも「あまりにおいしい」と書いてあることに興味がわいて調べてみたところ、夏が旬の「ささげ豆」を塩水で漬ける中国の漬け物だそう。

ささげ豆、そう言えば産直でたまに見かけるけど、「あの長いやつどうやって食べるの?」というのが疑問で今まで食べたことがなかったのですが、漬け物にするとは…!

「あまりにおいしい」なんて、私も作ってみたい、食べてみたい!と思ったのですが、季節はもう夏の終わりで、さすがにもう産直にもささげ豆は出てないよなあ、来年は絶対作ってみよう!と思っていたのでした。

ところがそれからわずか数日、たまたま行った市内の業務スーパーで「島根県産ささげ豆」が束になって売っているではありませんか!


まじで!これはもう運命!とさっそく買い込み、手持ちの梅酒の瓶に漬けることにしました。

調べてみると、ささげ豆を生のまま漬けるのか・ゆでてから漬けるのか、また塩分濃度、一緒に入れるスパイス(にんにくと鷹の爪は必須なようだけど、それ以外はいろんなものが入ったり入らなかったり)と、レシピにかなり幅があることも分かりました。


失敗したくないので好みの味つけで…塩分は平均くらいで、家にあった花椒(ホワジャオ)を入れてみることに。

瓶を消毒し、ささげを洗って、塩を溶かしてスパイス類を入れて、瓶の中に入れて、できあがり。
…あっけないほど簡単です。

1日に1度瓶のふたを開けて様子を見ながら数日経つと、水面に「産膜酵母」と呼ばれる白い膜みたいなのが張ってきます。この段階で容器を入れ替えて冷蔵庫へ。(産膜酵母は取り除いてもそのままでも良いらしい)この状態で半年保存可能、と書いてありました。

けっこう家の中ににんにく臭がするので、夏場はきついかもなあ…と思いましたが、ホーローのタッパーに入れ替えて冷蔵庫に入れてしまえば、あとは好きな時に水からあげて調理すれば良し。ちなみに、酸豆角を使った代表的なレシピが「酸豆角炒肉末(スァンドウジャオチャオロウモー)」なるもので、要は豚ひき肉とカットした酸豆角を油で炒めるだけのシンプルな料理です。


味つけは足りないと思ったら醤油やラー油を足せばよいのですが、私はこのままで十分おいしい!と思ったので、本当にただ切って炒めるだけで作れてしまいました。ちなみに、豚ひき肉はあらびきのものをわざわざ買ってきたのですが、こま切れ肉をさらに小さくカットしても同じようにおいしくいただけると思います。豆板醤を入れてもおいしかった!

…と、けっこう長く書きましたが、別に私はコラムで「酸豆角がおいしかったです!」という話を伝えたいのではなく、「食って意外なところから興味が広がるよね」ということが言いたいのです。

何気ないツイートからささげ豆との偶然の出会い、産膜酵母の出現、そして「酸豆角炒肉末(スァンドウジャオチャオロウモー)」が食卓に上がるまで、私はずーっと楽しかった!

どんな味なんだろう、と今まで食べたことがないものを口にするわくわく感や、白い膜を見たときの「え、大丈夫なの」という不安実際に食べたときの喜びまで、終始自分自身の機嫌がすごく良くて、「あ~久しぶりにキッチンが楽しいわ」と思ったのでした。

その楽しさこそが、暮らしの醍醐味だよなあ、としみじみ感じたのです。

ちなみに、その後またまた偶然近くの産直市でささげ豆が2束売られていたのを発見した私は当然買い占め、有賀さん同様、2回目の酸豆角を仕込んで冷蔵庫に保存しています。1回目に仕込んだものはあっという間に食べてしまい、「有賀さん…分かります!半年保存できると言ってもおいしすぎてすぐ食べちゃいますよね!!」と心の中で話しかけたりしたのでした。
2回目は1回目の時の漬け汁を少し加えると、産膜酵母が早く貼って発酵の進み方も格段に早く、酵母すごい、と新たな気付きでした。

そう言えば酸豆角を調べていたときに偶然見かけたこのツイート。

実際、この1か月で「酸豆角」を作った人は飛躍的に伸びたと思うし、我が家では「来年は畑にささげ豆を絶対に植えるぞ!」と話しているので、栽培面積が拡大することは間違いない(笑)。

きっと酸豆角を作った日本中の皆さんのキッチンが楽しくわくわくしたものだったに違いない!と、なんだか自分まで嬉しくなったのでした。

そして、私自身は「乳酸発酵」のおいしさに感動し、次なる試みとして「ザワークラウト」を仕込んでいます。


キャベツ(緑のものと紫のもの)と塩だけ、本当にシンプルなレシピで、ポイントは瓶をしっかり消毒すること、キャベツを塩水にしっかり漬けておくこと、くらい。


まだ2日目なのですが、少しずつ酸味のある香りがしてくるようになったので、食べるのが楽しみ!せっかくだからちょっといいソーセージを買ってこようかな、とか、じゃあ粒マスタードも作っちゃおう、とか(実際に作ってしまいました)、思考が広がる広がる!

これこれ、こういうのが楽しんだよな~。

個人的には、正直酵母や酵素の「効能」「栄養」についてはあまり期待はしていません。
でも、酵母や酵素が「食べものをよりおいしくしてくれる」ということについては、大いに期待しているし、おいしいもの食べたい!という欲はずっと持ち続けていたいなあと思います。

おいしくごはんが食べられるのはあとどのくらいかな、と考えると、栄養成分や効能はもちろんだけど、「何これおいしい!」という驚きや喜びのほうを優先させたいなあ、というのが最近の思い。

そして、そのおいしさの先に「自分たちの畑で野菜を育てよう!」があったり、「あの農家さんの野菜で作ってみたい」があったりして、生活がトータルで楽しくなる。食べることって、やっぱり暮らしそのものだし、食が楽しくないと日々がつまらないよなあ、と思うのです。

そう言えば、今回酸豆角を作るにあたり、家にあった「花椒」を塩水に入れたのも、粒マスタードを自作できたのも、以前ハマってずっと作り続けている「スパイスカレー」への興味関心があったからこそ、でした。

もし家にスパイスがなければ、もしかしたらささげ豆を目にしても「運命!」とまでは思わなかったかもしれないし、ザワークラウトを作ることにもつながらなかったかも。自分がわくわくして行動したことが、こうして一つの道につながるのも、すごく楽しいですよね。


だからこそ、おいしいものをいつまでも楽しめるよう健康でいたいし、食べたいものが自分で作れる(野菜作りも、料理も)身体でいたいな、と思います。

ザワークラウトがうまくいったら、きっとキャベツも植えたくなるだろうな~。乳酸発酵へのわくわくは、まだまだ続きそうです。



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