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「山の図書室」で伝えたかったもの。

私たちくらしアトリエは2006年より活動を始めていますが、現在に至るまでにいくつかの変遷を遂げ、自分たちの「これがやりたい!」という思いを軸に、いろいろな取り組みを行ってきました。

そのひとつが、「山の図書室」。

2012年から2015年までの4年間、「静かな空間で本を読む」というコンセプトのもと、週に2回オープンしていました。

「山の図書室」について、過去の日記を見てみると、こんな風に紹介されています。

「山の図書室」は、くらしアトリエの普段のイベントのように「多くの方に来ていただく」というよりも、静かに、落ち着いた時間と空間を提供したい、という思いからスタートしたものです。
なぜなら、私たちのアトリエがある「はたひよどり」が、静かな場所だから。波の立たない凪の海のように、ひらたーい空気が流れている、というか、本当に皆さん、訪れると「ここに来るとぼーっとしちゃうんだよね」と
おっしゃるのです。
ならば、その時間と空間を存分に楽しんでいただこう。そこに、大好きな本があったら、もっと楽しく、心地良く過ごせるんじゃない?
私たちの好きなもの、好きな場所、好きな時間を閉じ込めたのが、
「山の図書室」です。


それまで、月に1回程度のワークショップと、事務所としての機能しかなかった空間。それが、来られた方々から「落ち着く」「景色がいいですね」という声をいただいたことで、何か別の付加価値を持たせることができるんじゃないか?と考えたのです。

そのとき、思い浮かんだのが「読書」でした。

スタッフはみな、無類の読書好き。

以前、本についてのコラムを書いたこともありましたね。

本を読むことは、人生を豊かにしてくれる。答えを見出すためにではなく、時に迷い、旅をし、ことばの世界に浸るために本を読む。そんな経験を、山の中の、ちいさな一軒家で、ゆっくりのんびり楽しむことができたら…。

それが、「山の図書室」の出発点でした。

ほかには何もしない。ただぼーっとしながら、思うままに本の世界にひたる。当時、オットにこのコンセプトを話したら、「本を読むために、わざわざ?雲南の山の中まで?…なんで?」と真顔で言われたのですが、たぶん当時もオットと同じように「?」と感じた人が多かったのではと想像します。

でも、私たちがこの「山の図書室」で伝えたかったのは、本を介した時間の過ごし方。

何もしなくてもいい、答えがなくてもいい。ただ、自然の風景を眺めながらゆっくり本を読む。そんな時間があってもいいんじゃないか。その先に、何か暮らしを楽しむヒントがきっとある、それを見つけてほしい…という思いでした。


いまの「シマシマしまね」のように、おひとり様でのお客さまが多く、ゆっくりと時間をかけて読書を楽しまれたり、お弁当を持ってこられたり…普段の暮らしをリセットするために来られている方が多かったように思います。

図書室を閉じてから2年後、「シマシマしまね」という施設に生まれ変わりましたが、その中でも「ことばのワークショップ」を開催したり、イベントとして「山の図書室」を復活させたりと、「本を読む」ことの楽しさ、大切さは折に触れて発信してきました。

今年はずばり「読書を楽しむ」ことをテーマとしたワークショップも開催、秋には第2弾を予定しています。

「山の図書室」がオープンしていた頃に比べると、置いてある本のジャンルも少し変わりました。AI、デジタルネイチャー、学びなど、より深く、豊かな人生を送るために知っておいたほうがいいんじゃないか、という本が増えました。

自分たちの変遷を、本は如実に表しているなあと感じます。

これからも、土曜マルシェなどイベントの際に、ふらっと「山の図書室」がオープンすることがあると思います。そんな時にはぜひ、本の世界に浸りにお越しください。お手持ちの本を持参されてもOK。おいしいコーヒーを淹れてお待ちしています。







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