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田舎のリアル ~今年も書きます草刈りのお話。

今週の「時々コラム」は何を書こうかなあ…と考えていて、今日は草刈りを頑張ったなあ、刈っても刈っても草が伸びてくる、これこそが田舎のリアルだよなあ、待てよ、そういう記事を以前書いたはず…と自らのコラムを遡ったら、ちょうどぴったり1年前に「田舎のリアルと楽しく向き合うには」というコラムを書いていて笑いました…。きっと、1年前の今頃も同じように草刈りをして充実感に浸っていたのでしょう。

毎年しみじみと思うほどに、「田舎は草刈り、草刈りは田舎」とさえ感じてしまうほどに、草刈りは大変です…。草刈りひとつでコラムが何個も書けます。

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…いや、毎日住んでいたら日々少しずつ、とか、力の強い男性スタッフがいたら馬力の強い刈払い機でざざーっと、とかできるのでしょうが、くらしアトリエは「握力のない女性」2名が中心スタッフで、夏は施設もクローズしていて雑草が伸び放題。さらに、半日刈払い機を使ったらもうその日は手がぷるぷるして仕事ができない。

ここ「はたひよどり」に事務所を借りて最初の2年くらいは、お隣のおじさんが自分の畑の草刈りをするときに「一緒にしといてあげるわ(ニコニコ)」と引き受けてくださっていたのですが、徐々にそれもなくなり、「お前らいいかげん自分たちでやれよ(ニコニコ)」という無言のプレッシャーを感じるように。「お金をお支払いするので刈ってもらえませんか」とお願いしてみたのですが、同じ集落の中で「草刈りをしてお金をもらう」というのはあまりスタンダードなことではないらしく、やんわり断られました。

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草刈りって集落の中で何となくお互いの様子を監視しながらやるものなのかな、というのはその時感じたこと。監視というか、様子をうかがう、ということですね。そんな状況下で、自分だけが人を手伝ってお金をもらうというのは、あまりよろしくないのかぁ、と、田舎ルールの新たな面を知った気がしました。それが嫌だと思ったわけではなく、「なるほどなあ…自分だけお金もらって草刈りしてたら、そりゃあ周りの人はちょっと思うところがあるかもしれないなあ」と感じたのです。

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以来、できるところは自分たちで、できないところは潔く「シルバー人材センター」さんへお願いしています。使っているのは充電式の刈払い機(パワーは弱いが腕のぷるぷるも少ない)。昨日は半日がかりで前庭をきれいにしました。斜面の気になるところは、お隣のおじさんにお願いして、邪魔になるところだけ刈ってもらっています。

草刈りの途中に休憩しながら

「…田舎で流行ってる”コワーキングスペース”の皆さんは、草刈りしてるんかねえ」

「どうだろうねえ」

「パソコンとネット環境さえあれば仕事できるぜ!的な人たちもちゃんと草刈りしてるのかなあ」

「そもそもこんなに草が伸びるまで放っておかないんじゃないの」

「周りを全部舗装したら草が生えなくていいよねえ」

なんて話していました。

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そう、周りをコンクリートで固めてしまえば草刈りはしなくていいのです!

でもまあ、それはやっぱり味気ない。ぶつぶつ言いながらこうやって自分たちできれいにしたりするのが楽しいのかもしれない。きれいに刈ったつもりなのに、しばらくしたらいろんなところから草がそよそよと風になびき始め、「…刈れたと思ったのに、寝かせただけだった!」と悔しがったり、「こうなったらヤギを飼おうか」と真剣に考えたり、「ヤギのために毎日冬も夏も通わんといけんよ」「それは嫌だな…家にも連れて帰れんしな」とか考えたり、そういうのがきっと面白いからここで活動が続けていられるのだと思います。


草刈りをするとき、いつも思い出す出来事があります。

以前、カフェでお茶をしているときに隣に座った女性2人が、「最近あの空き家に越して来られた人がおられるでしょう、都会から。あの人たち、いつまで経っても草刈りをされんから、もう庭が草ぼうぼうで見栄えが悪いんよ~」「何をしてる人なんだろうねえ、草刈りもせずに」としゃべっているのを聞いて、かなりいたたまれない気持ちになりました。

都会から来た人は、草ぼうぼうなのは「田舎ならではの風情」だととらえているのかもしれないし、時間や地域のネットワークがなくて、草刈りができていないのかもしれない。カフェで喋る前に、その家に行って「草刈りしないの?困ってない?」って相談に乗ってあげたらいいのに。

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でもまあこれが田舎なんです。

田舎暮らしに興味のある方にぜひ伝えたい…田舎は草刈りだと!そして、田舎は監視文化なんだと。それを前向きにとらえられる人なら、だれでも楽しい田舎暮らしができる、そう思います。

何より、自分たちで身の周りをきれいにするというのは気持ちの良いものです!

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毎回、草刈りの話を書くと長文になってしまうなあ…まあできればやりたくないんですけどね。近い将来、草刈りロボットが開発されて、中山間地域で働いてくれるようになることを切に願っています。「ル〇バ」の技術力があればすぐ出来そうな気がする…と思ったら、すでに開発されているようです。わくわくします!

施設の周りは割ときれいになったので(自分比)、来週からの「シマシマしまね」オープン、ぜひお越しくださいね。

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