見出し画像

コーネリアス「Mellow Waves Release Party」 2日目ライヴレポート (文:こたにな々)

----------------------------2017.07.12 恵比寿 LIQUID ROOM


DJ : Kenji Takimi

開場から開演までのSEが流れる30分間と、開演後の瀧見さんのDJが始まった1時間程はステージにかかる薄く白い布に黒背景で白の点描が大きな円となり微かに変化し揺れ動く投映を、ずっと私達は見つめていた。

不思議だった。


会場には瀧見さんのDJと思われる音が流れていた。
”思われる”っていうのは、ステージの端に居るはずの瀧見さんが私からは見えずに、大きな粒子の円だけがただ自分の目に映っている時間は瀧見さんの揺れる選曲も相まって不思議な時間で。同時に精神統一みたいに長い時間だった。

「瀧見憲司=昔カヒミ・カリィのCDを出していた”Crue-Lレーベル”のオーナーさん...」という半端な知識だけが脳内を駆け巡っていた私にはとてもたぶん、勿体無過ぎる時間だったんだと思う。

------

開演から1時間の20時頃になり、ようやく薄い布ごしにメンバーが定位置に着いて行くのを見て心臓が震える。最初で最後に私がコーネリアスを観たのが(SENSUOUSのツアーだから、たしか...)10年前。

あれから10年。今、確かに私の目の前に ”小山田さんがギターを構えるシルエット” がある。

と同時にあらきさんの踏むバスドラが響き、さっきまで微かにしか震える事のなかったあの退屈だった大きな円がドラム音に反応してグニャングニャンに揺れ動く。

-

音を試すように鳴らされたドラム音はいつか「あなたがいるなら」のイントロを奏でていて、歓声が漏れ溢れる中、布の投映はすばやく「Mellow Waves」基調のセリフ体で「hello~」の挨拶文に切り替わった。

前回、SENSUOUSツアー時の明るくヘンテコな「コ・ン・ニ・チ・ハ」挨拶よりも、今回はグッとしっとり大人な感じに「Mellow Wavesだー!!」ってハシャギたくなった時に、

メンバーの影が大きく伸び、
幕が落ちたのは胸が高鳴る一瞬だった。


--

1曲目「いつか/どこか」
音楽番組「バズリズム(6/23放送)」出演の際にも持ち込んでいた、” 連なる白く目に刺さるくらい明るすぎる照明 ”は、
至近距離で見る小山田さんが ”小山田さんだ ”っていうのを知らしめて、
子供みたいに小さな身体の作りで肩幅の狭いノーカラーの白シャツに
細い細過ぎる黒のスキニーに黒のコンバースでサングラスをしてるのをハッキリ確認させた。

1曲目から歌っている...

それが感想だった。

背景に投影されたMVと連動する精密な演奏の中、ギターの手元や、1つも取りこぼし出来ない運びに、集中力と少しピリついた空気を至近距離ならではで感じ、目が離せない中、あっという間だった。

2曲目に聴き慣れた「Breezin'」のイントロが来てなんだかすごく安心した。
サビでは小山田さんと堀江さんと大野さんのトリオでハーモニーを奏でていて、大野さんがコーラスに入った事でその後の多重コーラスで再現する曲達も
今までよりも安定していて聴きやすくなっていた。

3曲目「Helix/Spiral」の今回ここで初めて公開されたMVは、
音に反応する直線の上で小山田さんの加工された歌声と同時に"Helix""Spiral"の文字が打たれるモーショングラフィックで、シンプルでかっこよかった。

-

4曲目以降は今現在の怒濤のコーネリアスBEST演曲だった。

リリースパーティー故にまだ「Mellow Waves」からの演曲は少なかったけれど、ツアーでもなく、こんなベスト版みたいなライヴをワンマンで観れるなんてもう無いのでは!?と思わせるくらに、これは「ヤバいやつだ!」と脳が分かった。


10年を越えて、数10年分の聴きたかった演奏が、MCも挟まずに短い時間の中で淡々と完璧な演奏で次々と繰り広げられていく時間は贅沢意外の何者でもなかった。

「Drop」から「Point Of View Point」
「Count Five Or Six」から「I Hate Hate」
の鉄板に鉄板を重ねて、
「Wataridori」で少し一呼吸置いて
「夢の中で」で歌を聴かせ、
「Beep It」からまた来る「Fit Song」「Gum」の怒濤の流れで、
皆の大好きな初期の完成曲「Star Fruits Surf Rider」に行き着き、
満を持して「あなたがいるなら」でフィーナーレを迎えた。

そんな公演でした。

--------

【ここからが本当の感想です】

◆今回はすごく歌う事を大切にしている気がして、
気のせいかもしれないけれど「Point Of View Point」も英語発音より少し日本語発音よりだったような気さえした。

◆「Mellow Waves」で一番好きな曲「夢の中で」では、SENSUOUSツアーでも歌を聴いていたはずなのに....ポップスをシンプルに歌っていることに....2000年代にフリッパーズを好きになってしまって、初期の歌うコーネリアスも終わってしまって「POINT」から入った私にとって、ずっと聴きたかった小山田さんの歌をやっと聴けたような気がして嬉しかった。

◆そして今回の核の「あなたがいるなら」では歌に集中する・詩を歌う小山田さんが居て、前回のツアーで言うなら「Sleep Warm」を歌っていた小山田さんみたいに、そこから進化して(あるいはもう全て戻って)自作の歌を、愛の歌をシンプルに歌い上げた時間は、
ここに居る個人個人各々にきっと感慨深く(家族の事を思ったり、あるいは小山田さん自身の事を思ったり)感動的な瞬間だった。

◆公演終了後に「どうもありがと」ってぶっきらぼうにサッと言った小山田さんの声はまんま ”フリッパーズのライヴ音源” そのもので、
ハッとした。

◆幕にはOPの時のように「Thankyou~」の文字が出て、メンバーは静かに舞台から去った。

◆もうこのまま終わっても十分に満たされ素晴らしかったのに、
アンコールで現れた小山田さんはアコギを持っていて、それこそなんかもう胸が満たされる思いで。そうしたら「CHAPTER8~Seashore and Horizon~」を大野さんと一緒に弾き語って甘く歌い出してたまんなかった。
終わってまたあの「どうもありがと」って言って、私の目にしたこともないフリッパーズ・ギターへの呪いは少し解けて行くのが分かった。

-

「小山田さんが音楽を続けてくれてて嬉しい」って誰かが言っていたのはこういう事だったのかな。

公演終了後の挨拶で、やっとサングラスを外してくれた小山田さんはよく知るあの目の形で、

やっぱり紛れも無く小山田さんだった。


-2017.07.12 Mellow Waves Release Party
恵比寿 LIQUID ROOM

DJ : Kenji Takimi

Cornelius Group :小山田圭吾 Vocal,Guitar,Theremin         堀江博久 Keyboard,Guitar,Percussion,Chorus
あらきゆうこ Drums,Chorus
大野由美子 Bass,Keyboard,Chorus

01.いつか/どこか
02.Breezin'
03.Helix/Spiral
04.Drop
05.Point Of View Point
06.Count Five Or Six
07.I Hate Hate
08.Wataridori
09.夢の中で
10.Beep It
11.Fit Song
12.Gum
13.Star Fruits Surf Rider
14.あなたがいるなら

EN.CHAPTER 8 ~Seashore and Horizon~

---------------


●あとがき●

10年ぶりの「私にとって人生2回目のコーネリアス」という事で素直に素直に書きました。多少失礼な感想と言い回しがあった事は興奮に面して許してください。

そして実は前々日につぶやいたツイートが小山田さんご本人に「いいね」して頂いて、もう・めっちゃッ・めっちゃッ・嬉しかったし!ぎゃあああああ!!って言いました。素敵な良い思い出です。


写真:こたにな々(ライター) 兵庫県出身・東京都在住 
https://twitter.com/HiPlease7

◆お仕事のご依頼・お問い合わせ: kotanina.na@gmail.com 

◆HP:https://kotaninana.wixsite.com/kurashino-no-nana

◆現在noteでは無料にて文章を公開しております。
私の文章を気に入ってくださった方が居られましたら、
声援のような形で100円から投げ銭して頂けます。

下記「サポートをする」ボタンから
どうぞよろしくお願いいたします!
お仕事のご依頼やフォローもお待ちしております!

現在noteでは全て無料にて記事を公開しております。 私の文章を気に入ってくださった方が居られましたら、 声援のような形で100円から投げ銭頂けると 大変モチベーションとなります。よろしくお願いいたします。 お仕事のご依頼はメールにてお待ちしております! こたにな々