イヌホウズキの再生

倉敷駅近くにある雑居ビルの軒先の、わずかな土埃の溜まりに、イヌホウズキが根付いていました。

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ある日、草はビルの管理者に刈り取られてしまいました。でも、その跡に近づいてよく見ると、小さな葉が再生していました。イヌホウズキは、人に愛でられることのない草ですが、そのことにかかわりなく、小さな居場所で懸命に生きていました。

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追伸

雑草は、競争に弱い植物です。森では多くの植物が光と水と栄養分を奪い合うので、雑草は、競争に負けて、生きて行けません。雑草は、乾燥に強いサボテンや、風雪に耐える高山植物のように、過酷な環境に特別に強いわけではありません。雑草の真骨頂は、いつ何が起こるかわからない環境を臨機応変に乗り越える強さです。植物にとって変化が頻繁に起こる場所は、人の手が加わる場所です。人は、畑を耕し、工事をし、草取りをして、環境を頻繁にリセットします。雑草は、そこに開拓者として、いち早く住み込みます。雑草が、抜いても、抜いても、生えてくるのは、競争に強かったり、強靱だからではなくて、雑草なりの、他の植物と競争しないで生きる、確固たる戦略だったのです。

(稲垣栄洋:雑草はなぜそこに生えているのか. ちくまプリマー新書, 筑摩書房, 2018, p24-55)


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