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倉敷一陽窯の謎

倉敷一陽窯で備前焼作家の抹茶茶碗を購入したのをきっかけに、自己流で抹茶を入れるようになりました。国産の茶筅(ちゃせん)も用意し、商店街の抹茶専門店で、量り売りの抹茶を購入しました。そうして、毎日、試行錯誤しているうちに、それなりに、おいしくいただけるようになりました。

しかし、決してあのレベルには近づくことができません。それは、倉敷一陽窯の2階カフェで提供される抹茶です。

倉敷一陽窯2階カフェの抹茶生菓子セット(添えられている和菓子は、「窓の梅」)

その抹茶の表面は、細かい均質な泡で覆われています。泡の層には、とろみがあって、すすると、滑るように口の中に入ってきて、くすぐられるような、心地よい触圧感覚が楽しめます。泡の下の抹茶もまろやかで、上品な甘みがあります。一口でその両方を同時に味わえるので、刹那、至高の体験ができます。

使っている抹茶は、老舗・辻利の標準的な製品で、特別、高級なものではないそうです。お店で使っている抹茶を分けてもらって、自宅で点ててみましたが、お店ので提供されるような、仕上がりにはなりません。

カフェでお茶を点てているのは、店主の奥様の、木村恵子さんです。そこで無理を承知で特別にお願いして、店内のテーブル席で抹茶の点て方を実演してもらいました。・・・そしてついに謎が解けました。

木村恵子さんによる実演

筆者は、それまで、耳でかじった情報をもとに、直線的にかき混ぜるようにして、抹茶を点てていました。ところが、恵子さんは細かく震わせるように茶筅を使っていました。抹茶をかき混ぜるのではなくて、揺すって、くすぐって、馴染ませる感じです。最後に茶筅の穂先で泡の表面を撫でるようにして、大きめの泡を取り除いて、仕上げをします。

倉敷一陽窯の謎がついに解けました。早速、自宅に帰って試してみましたが、一歩近づいた感じです。もちろん、まだまだ修練が必要ですが、努力の方向性が見えて来ました。独学で問題意識をもって学ぶことは、謎という欠落を埋めて行くことで、目の前が拓けてくる、とても素敵な体験ができ、快感です!

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