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はじめに

これは、お客さまのパートナーとなり事業開発や業務改善をソフトウェアで支援する「納品のない受託開発」を主業として営む株式会社ソニックガーデンが、出版社を立ち上げ、書籍を発売するまでの軌跡である。

社員は50人ほどいるが、ほとんどがエンジニアで、テックブログなどインターネット上で文章を書いたり、技術系同人誌を作っている人はいても、出版社の経験がある人は、まずいない。

いやいや、代表の倉貫さんは何冊も本を出しているし、社員も技術書を出しているではないか、と思った人もいるだろう。
はっきり言おう。
「著者」という立場からは、原稿を書いた後、どのように本が作られ、どのような手続きを経て市場に流通するかを知る機会は意外とない。

そして、このnoteを書いている私も、これまでの人生において出版業界は掠ってもおらず、なぜこのプロジェクトに誘われたかわからないほどだった。
小学生の時はハードボイルド寄りのミステリー小説を読んでいたものの、それ以降は、漫画と音楽雑誌しか読まず、社会人になり、ある程度のポジションになった時、周りの人たちに本を買い与えられても読まず、痺れを切らして要点をA4・2枚ほどにまとめて送ってこられるほどだったのだ。
これほどまでに本を読まなかった人間が、急に本が大好きになるまでの軌跡、いや奇跡とも言えよう。

幸い、小さな出版社が増えており、ノウハウを書籍やweb記事にしてくださっているので非常に助かったのだが、異業種の法人が、既存の出版社との提携という形を採らず、純粋な出版社を立ち上げた事例はなかった。
また、出版事業には選択肢が多く、判断を要する場面も多いので、私も、これから出版社を立ち上げる方のために、なぜ数ある手法の中からそれを選んだのかを含め、記録を残しておきたい。そのため、実務には直接関係ないが、私がこのプロジェクトに参加してからの経緯も細かに記載する。

なお、知見がなく、全体像も全く見えていなかったので、この記録を参考にされる方には、取り掛かった順番は効率的でなく、二度手間も多いことにご留意いただきたい。
また、「編集者」や「印刷会社」など様々な役割が出てくるが、呼ばれ方は同じであっても、その業務範囲は、人・会社ごとに違う。
あくまでも私の経験の記録であり、立ち上げマニュアルではないので、暖かい目で読んでいただけると嬉しい。

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