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第3話:トランスビューとの出会い

倉貫さんから出版事業の話をされた際に、すでに「トランスビュー方式」というワードは出ていたが、いかんせん、まったくの無知だったので、何のことなのか見当も付かなかった。その時、「業界では良く知られている手法だから、ネットで検索してみてください」と言われたので検索したら、なるほど、いっぱい出てきた。

いっぱい出てきたのだが、そもそも従来の方法を知らず、取次という制度があることすら知らなかったので、「トランスビューっていう会社がつくった独自のやり方なんだな、へぇー。」と思ったくらいだった。

※本屋や出版事業を始めようとする人は必ず通るであろう内沼晋太郎さんが、ご自身の著書「これからの本屋読本」をnoteで全文公開してくださっており、トランスビュー方式にも触れられているので、ぜひ読んでいただきたい。神である。

師匠と初めてのミーティングの時、よほどポカンとした顔をしていたのだろう。「全体を見通せるから、まずはトランスビューの代表・工藤さんに会いにいきましょう」と、すぐにアポを取り、同行してくれた。

場所は変わって、人形町のトランスビュー。
見えてくるなり、「大好きだな」と直感した。

私は、企業でも自治体でも、組織の長は、現場を愛し理解しているタイプの人が好きだ。
あくまでも私の好き嫌いの話であり、経営者・首長として現場に入り過ぎているのは好ましくない、といった経営論的なことは、いったん置いておいてほしい。
工藤さんは、師匠同様、現場を理解しているなんて表現では済まない、バリバリ現役タイプの長だった。

現場力がありまくる長だとどういうことが起こるか。
ありとあらゆる技を持たれており、たいていの要望は実現してしまえるため、相談した側は「どうしたいか」を明確にする必要がある。
案の定、顔合わせは30分程度で終わり、「連絡くれたらすぐやりますよ~」という感じで、こちら側がどうしたいか、を考えるターンとなった。
全体の時間軸も把握したく、取引開始までにどのくらいかかるか聞いてみたのだが、想像の範疇を超えた短期間だった。恐ろしいほどの現場力である。

その後、勉強するほど工藤さんをリスペクトしている人に出会うことになり、凄さを知ることになるのだが、今となっては、「よくあんな状態で時間を取ってくださったな」と感謝するばかりである。無知って恐ろしい。

こうして、とんとん拍子に、出版に関することのほとんどを相談できる方に出会えたので、この時点では、トランスビュー方式で出版事業をスタートするつもりで活動を開始した。

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