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コミュニティ思考はこれからの組織経営の指針へ 『「コミュニティ」づくりの教科書』

「これからのビジネスで重要なのはコミュニティづくりだ」という言葉を聞く機会が増えました。とはいえ、コミュニティって一体なんだろうか、どうしたら良いのか、そうした疑問に全て答えてくれるのが本書です。

常々、会社というのは安心安全の場であり、それはチームというよりも、むしろコミュニティに近いのではないか、と考えていました。コミュニティをつくるように会社を経営してきました、

そんな私にとって、本書を読んだことで、その思いはますます確信になっていきました。これからの組織経営に携わる人にとって、大いに参考になると思いました。

参加者同士が「能動的で対等な関係」になる場

本書は「教科書」とタイトルにつくように、非常に丁寧にコミュニティについて解説されています。まずはじめに、コミュニティの定義から始まります。

「本書で定義するコミュニティは、参加者一人ひとりが主体的に動き、それぞれが目的を持ってつくる「場」のことです。」

つまり、ただの人の集まりではないということです。しかも、受け身で一方的に受益するだけの場はコミュニティと呼びません。

参加する人たちに求められるのは、目的をもって参加して能動的に関わり、対等にコミュニケーションをとることです。これって、これからの組織と一致すると思いませんか。

コミュニティはビジョンから始まる

本書では、コミュニティをつくるときに最初にするのは「ビジョンづくり」と書かれています。ビジョンこそがコミュニティの中心にあり、その目的があるから人が集まります。

これも、私たちソニックガーデンが会社を経営していく上で大事にしていたことです。コミュニティなので、強烈な目標やミッションがあるというよりも、共通のビジョンがあるのです。

そのビジョンがあるから人が集まってくるのもわかります。私たちでいえば「プログラマを一生の仕事にする」というビジョンがあり、そこに共感した人たちが入社してくれます。

カルチャーづくりがコミュニティマネージャーの仕事

コミュニティは起ち上げて終わりではありません、継続していくことがコミュニティの存在価値です。そのためにカルチャーをどうつくっていくのか。本書は以下の4つのポイントを紹介しています。

・カルチャーを言葉にする
・コミュニティのルールづくり
・参加者の困り事の相談に乗る
・「ミートアップ」で参加者の声を拾い上げる

これは、そのまま私たちの経営に一致しています。カルチャーを言葉にするために、経営者である私は社外に向けてブログを書いて、社内にも相当な量の情報発信をしています。

ルールづくりや、メンバーからの相談にのったり、声を拾い上げたりして、社内を働きやすい環境にすることも経営者の仕事です。指示命令をしない会社なので、各自が働きたいと思える環境をつくることが仕事になるのです。

心理的安全性のあるコミュニティをつくる4つの力

健全なコミュニティには「心理的安全性」が重要というのも完全に同意です。本書には、そのためのコミュニティマネージャーに必要な4つの感情力としてまとめられています。

・共感・傾聴力
・分析・プロセス設計力
・時間・空間デザイン力
・行動・発信力

この4つも私たちが経営していく上で大事にしていることです。

管理ゼロで、内発的動機づけで働いてもらうためには、本人の興味関心を知る必要があり、そのための「すりあわせ」という1on1の機会をしており、そこでは「共感・傾聴力」がないと成立しません。

私たちは経営はメンバーが働く「場」を作る仕事だと考えています。そのために、現場を観察し実際に起きていることを分析し、その上で働きやすい構造を作ります。「分析・プロセス設計力」です。

その働きやすい「場」を作るために「時間・空間デザイン力」は欠かせません。私たちは、さらにテクノロジーを使って具現化します。そうして作ったのが「仮想オフィス」の仕組みです。

指示命令のない管理ゼロの経営で、どうやって人を動かすのか。その答えは、社内にムーブメントを作っていくことであり、それを率先するのがリーダーの仕事です。私自身が始めたことで「全社員リモートワーク」も実現できました。「行動・発信力」が求められます。

これからの組織の経営と「コミュニティ思考」

これからの社会において、大量生産やルーチンワークはコンピュータやロボットに任せることで、人が取り組むのは再現性の低いクリエイティブな仕事が増えていくと考えています。

そうしたクリエイティブな仕事で、高い生産性と品質を発揮してもらうには、昔ながらの外発的動機づけに頼った指示命令と管理統制のマネジメントではうまくいきません。

私は、クリエイティブな仕事には、新しいマネジメントが求められると考えて、管理ゼロのマネジメントを実践してきました。そのマネジメントでやってきたことは、本書の「コミュニティ思考」と符合することばかりで驚きました。

クリエイティブな組織のマネジメントには「コミュニティ思考」は欠かせないものだと確信しました。ぜひ拙著「管理ゼロで成果はあがる」と合わせて読んで、答え合わせしてみてください。

こちらの著者のお二人と一緒にオンラインイベントで対談させて頂くことになりました。よかったらご覧ください。


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