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母の死の次にデカい“激変”かも。40過ぎて結婚するかもしれないって話。言うならば“猟銃婚”だな。

なんか…母の喪が明けたら、私、結婚しそう。
母のことでこんなに混乱しているというのに、こんなことが起きるって、不思議だ。
溺れるでもあらがうでもなく、静かに身を任せ、心地よく流される大きな川のよう。
ま、まだどうなるかわからないけど。

母が亡くなったその日から、もう体は実家に。
母が亡くなった手続きやお葬式のこと、自分の引越しやそれに伴う手続き。
忙しかったという自覚もないくらい怒涛で、何が何やらわからなかった。
頭を休ませ、体を動かすために10分とか15分とか散歩に出るのが現実逃避でもあり。
「あ、今日は風があるな」「夏っぽくなってきたな」ってボンヤリ天気を感じたり、「あー私はこんなグルグルぐちゃぐちゃしているのに、町とか世間とかのんびりしてるな、普通に日常があるんだな」ってホッとしたりする時間。

墨田と違って、気の合う友達は誰もいない。
地元の同級生はママになってる子が多くて、気軽に誘いにくい。
連絡先もあやふやだし。
「久しぶりー!」っていうテンションは、今ちょっと作りにくい。

墨田の飲み友達、あだ名はおじいさん。
私の引っ越しも手伝ってくれたり、父が肺癌になった時も話聞いてもらったし、母が亡くなったことも、そのまま実家に帰ることも真っ先に伝えた。
「おじいさん、こっちはつまんないよ。引っ越してこない?」って言ったら「いいよ」って言ってくれた。
「友達が忙しいから手伝ってほしいんだって」って3年とか福岡に行ったり、住まいに執着のないフワッとしたところはあったけれど、こんなにあっさり「いいよ」って言うとは思っていなかったが。
おじいさんと、毎週 墨田から私の実家のすぐ近くの畑に車で通っていたので「畑、毎日行けるようになるよ」って誘い文句もあり。
ちょうどその頃、「おじいさんは、自分の仕事に疑問がわいたり矛盾を感じたりして、それがストレスになってきてるかな」って感じていた。
私の地元の近くに、おじいさんにピッタリな職場があったのもあって、「こっちで転職したらいいよ」って言った。
おじいさんは数ヶ月かけて仕事先に切り出して退き、本当に私の地元に引っ越してきてくれることに。

私の実家から徒歩圏で、平屋戸建て風のアパートとかいいねって話していた。
大家さんは父の知り合いなので、空いているか聞いてもらおうと思ったら「アパートなんて借りることないよ、部屋はあるんだしうちに住んでもらったら?用心棒になってくれるだろ」って言われ。
「え!うちでおじいさんと一緒に住むの!?」って急展開。
まさか父がそんなこと言い出すとは思いもよらず。
「アパートの家賃が浮くじゃん」と思って、おじいさんに伝えたら、おじいさんもさほど抵抗はないのか?同居する流れに。

おじいさんは猟師さん。
冬の猟期は山へ行く。
漁師になれば「冬は山で猟師、夏は海で漁師」って自己紹介できて合コンでウケる!って思っていたが、漁師には興味がないらしく。
私が「おじいさんにピッタリな職場!」って思っていた会社に、猟師さんを活かして無事就職した。
こっちの家賃が浮いたから東京の部屋を借りたままにして、住民票は東京にしておくつもりが。
会社から「住民票は移した方がいい」と言われ、急にバタバタし始める。

最大の問題は猟銃だ。
規則が厳しい。
銃をしまう鉄のロッカーと銃弾をしまうロッカーはそれぞれ鍵つきで別の場所に設置する決まり。
しかも壁に釘とかでロッカーを固定。
戸建てなので場所はあるものの…
警察署の人が、その設置が正しいか我が家に確認に来るのと、うちの近所に聞き込みをするそうな。
「どんな人ですか?穏やかですか?酒癖悪くないですか?友達にヤバそうな人いませんか?精神的に大丈夫そうですか?」みたいなことを聞かれるらしい。

…と、いうことは。
近所の何軒かの方に事前に説明しておかねばならない。
得体のしれない男の人が、母が亡くなったばかりの我が家に入り浸っている印象だと、近所の人からおじいさんが怪しい人だと思われてしまう。
そこらへんまで思い至った頃に、父に聞かれる。
「いつ結婚するの?」
「ん?誰と誰が結婚するの?」
「お前たち」
「え、うちら結婚するの?」

そうか、実家で一緒に住むってそういうことか。

猟銃の件でご近所に説明するには「一緒に住んでいる友達」じゃおさまりが悪いというか。
「いずれ結婚する人」の方が、話が早い。

例えば、父の親戚が私の母に手を合わせてくれるために千葉まではるばる来てくれた時に、「ただいまです」ってでっかい男の人帰ってきたら、「え、誰?」ってなる。
コソコソするのも気持ちが悪い。
堂々と紹介するには、世間的には「結婚」なのだ。

だがしかし、おじいさんにも意思がある。
「結婚」なんてチラつかせたら、「え、聞いてない!そんなつもりない!」ってピュッてどっか行っちゃうかもしれないし。
父に「彼もうちに住むって言うくらいだから、結婚考えてるんだろ」と言われたが。
うちらそんな話題になったこともなく、わからない。
「家賃浮く」くらいにしか思っていないと思うが…
いつまでも心を読んでも意味がないので、一度はおじいさんに意思確認せねば。

父は「結婚しなくても、彼がいいなら同居はいいよ、用心棒になるし」とのこと。
強い母が亡くなって、父も不安なのか…よっぽど用心棒がほしいのだろうか。

一緒に住み始めてみて、家のこと何もしない父に私が怒ると、おじいさんは父の味方になってくれる。
これが何よりありがたい。
おじいさんは、おうちのことも手伝ってくれたり、家のいろんなところを直してくれたり、重たいものを持ってくれる。
そして、大の苦手な虫が出た時、虫対応してくれる!!
夜とか、おじいさんが家にいてくれて心強い。
今まで強い母と、絶対的に母の味方だった私に押しこまれていた父は、家の中に味方ができてちょっと嬉しそうだ。
それに、おじいさんがお仕事お休みだと「お父さんはちょっと出かけるから」って、息抜きできるっぽい。
私も母のことでブワッと涙が出る時とか、父よりおじいさんの前での方が泣きやすい時ある。
時間や家の使い方とか、ちょっとしたことは都度相談したりできる空気なのがいい。

たまたま車に乗っている時に、猟銃の話になったので「入籍した方がいいかなあ」的なことを聞いたら「じゃあ、しますか」と言われる。
ん?
「え!」とか「…。」とか「考えさせて」とかなんないのか。
そういうもんか。

父に言ったら安心するかな?と思って、夜、家で横になっている時に「ちょっといいー?おじいさん結婚してくれるって」って伝えたら、飛び起きた!
「本当に大丈夫か」「うち、返品とか受け付けないからな」と何度もおじいさんに確認する父。

本来ならおじいさんのご両親にも挨拶しにいかねばならないのに、コロナのことがあってすぐには行けない。
し、喪中だ。
入籍ももちろん喪が明けてからになるんだけど。

モヤッとするのは子供のことだ。
相手が40も過ぎた私じゃなければ、おじいさんは子供がのぞめる。
おじいさんは長男だ。
子供のことで言えば、内孫を産めない嫁で申し訳ないという思いもある。

ご実家に早くご挨拶しなくてはと焦るのだけれど。
大事なご子息を、どこの誰かも知らない人の実家に連れ込んでしまっているという事実。
「家賃が浮くよね」「うん、そうだね」くらいのノリでは、通らないことしてるよな…が重くのしかかる。
だがしかし、おじいさん本人が「うちは大丈夫だよ」と。
電話での挨拶もまだできていない。
おじいさんはサラッと「結婚いいよ」って感じだったけど、本心はわからない。
父も「彼はご両親のこと何も言わないのか、挨拶にはいつ行くんだ、大丈夫なのか」と言う。
「ご両親のことを思ったら眠れなかった」という日もある。
できるならずーっとこのままでもいいやって感じかもしれないので、せっつきにくい。
いざご挨拶に行ったら「今頃なんだ!非常識め」って結婚大反対されるかもしれない。

まだまだどうなることやら。
母が亡くなってたーくさん手続きとかして。
自分の引っ越しで住所変更もひと通りして。
確定申告終わってしばらくしたら、私、苗字変わるんじゃ。
ぬわー。
苗字変わるってどんな感じ?
想像もつかないなあ。
両親(主に母)を見ていて、結婚願望薄めだったから考えたこともなかった。
(家業を継ぎたいがために婚活していたことはあるが)

人生って思いもよらぬこと、起きる。
自分にとってハッピーなことだろうが、例えそうじゃないことだろうが。
その全ては必然だ。
不思議だなあ。
受け入れます。
一旦引き受けて、そこから考える。

母は失ったけど、父はいるし、これからは(既におんぶにだっこだけど)おじいさんも一緒に考える。
心強い。
ありがたい。

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