見出し画像

【おばあとワタシ】文通の愉しみ

私の家から車を走らせて20~30分の距離におばあちゃんは住んでいるのだが、時々あえて手紙を差し出し合っている。
何故かと問われると、認知症予防の為に手先を動かして欲しいという思いもあるが、単純におばあちゃんの文字が好きだったり、手紙に書かれている内容が興味深かったり、私が愉しむ為という部分が大を占めている。
また、新聞やチラシのかわいい挿絵をわざわざ切り取って便箋や封筒に貼ってくれるところも愉しみのポイントだ。私を楽しませようとしているのが伝わってきて、嬉しい限りである。

切り取られた挿絵の数々


私もおばあちゃんを楽しませてあげたいと思い、このnoteでみつけた神様にまつわる創作話(嗣人さんの「元旦祝神」)を今年の年始に書き写し、簡単に綴じて送ってあげた。
インターネットとは縁のないおばあちゃんにも、せっかく令和の世を生きているのだから何かしらのカタチで縁を持たせたいという勝手な想いをのせつつ…。

数日に分けて書き連ね、計14枚に及んだ


新聞などの小さい文字は虫眼鏡を使いながら読んでいるおばあちゃん。
新聞よりは文字が大きいけれど、これも読むの大変かなぁ…?と懸念していたが、数日後には返事が届いた。

便箋は今年の干支のうさぎさん

郵便受けに入っている手紙を見て思わず笑みがこぼれる。
今回もバッチリ、封筒にでかでかとした挿絵を貼ってくれていた。
おばあちゃんの好きな猫である。この切り取った挿絵のストックはどれほどあるのだろうか。今度行った時に確認してみるとしよう(笑)

ワクワクしながら折り込まれた便箋を開く。可愛らしいうさぎの便箋だ。きっと干支を意識しているのだろう。
さて、今回の手紙の内容はどうだろうか。

始まりはもちろん宛名だ。
昔の人ながらの”◯◯ちゃん”の後の「へ」に「〃」。
これを書いてくれるのも私の周りではもうおばあちゃんしかいない。
私が子供の頃にも一時期流行ったが、何の根拠があってか、これを使うと「絶交」という意味になるというデマ中のデマが流れ始めて、純粋な心を持っていた私は素直にそれを受け入れて「へ」に「〃」を使わなくなった。
今考えると、そんなことで絶交してしまうなんてたまったもんじゃない。
コレについては諸説あるようだが(ただのオシャレ説や読み間違え防止説など)、結局のところ確かな説はないようだ。
私は、この「へ」に「〃」を書いてくれているのを見ると、愛着を持ってくれているように感じるので、こういうのは受け取り手がどう受け取るかに限る、と結論付けている。

話が逸れてしまったが、手紙の内容の続きへ。

私が色々なことに興味を持つ姿が楽しいようで、そのことがおばあちゃんの興味を駆り立てているらしい。私がそうあるのは、少なからずおばあちゃんの遺伝子を受け継いでいるからだよ、とお伝えしたいものだ。

次に年賀状について触れてくれている。
これは私にとってとても嬉しいことだ。
というのも、毎年おばあちゃんに送る年賀状は、おばあちゃんが喜んでくれそうな絵柄をチョイスしているからだ。
だいたい年賀状を選ぶ時は自分が気に入った絵柄を選んでいるのだが、おばあちゃん宛ての年賀状だけは特別扱いをさせてもらっている。
なので、おばあちゃんの嬉しいツボを押さえられていると分かって私も嬉しい、というわけだ。

それから、今おばあちゃんは「夢」に興味津々なようだ。
言うまでもないと思うが、寝ている時に見る夢のことだ。
この手紙をもらう前に会った時にも夢について語っていたのだが、手紙にも書いてくれているということは未だ絶賛ハマり中ということなのだろう。
最近では、行ったことも出会ったこともない芸能人のIKKOさんのスタジオで大声で笑い合っていた夢を見たと書かれてあった。なんて楽しそうな夢なんだろう(笑)きっと目が覚めてもIKKOさんのHAPPYオーラが残っていて、その日は良い1日を過ごせるに違いない。
ここでおばあちゃんは「なぜこんな夢を見たのだろう?」と疑問を抱く。
そして出した答えが「故郷で呼ばれていた愛称がイッコだったから?」だそうだ。
イッコと呼ばれていたからIKKOさんの夢…なかなか面白い考察だと思う。
夢についてまだまだ分かっていないことだらけなので、こういう関連の仕方をしていても決しておかしくない話である。むしろ、さすが私のおばあちゃん!と言いたい。

夢の話が出たついでに、私の夢に対する解釈を申し上げると「夢はパラレルワールド(並行世界)の自分を体験しているのではないか」である。
いきなりぶっ飛んだ話で申し訳ない。「は?」と思われている方、正常だと思います(笑)
別にパラレルワールドに行った訳でもないし、何の根拠も示すことはできないけれど、そうであったら面白いな、いや、そうであって欲しいな、といった完全なる私の願望なのである。
今回おばあちゃんが見た夢も、実は別の世界線ではIKKOさんと知り合いなんだよ〜!って話だったら面白いと感じないだろうか。
まぁ、夢がパラレルワールドだとしてもそうじゃないにしても、夢を見ることによって別の人生を体験することができるので、人生を倍楽しめるといった意味で得した気分を味わえることには何ら変わりはないのだが。
ちなみに、この私の解釈をおばあちゃんに話すか否かは現在悩み中である(笑)

最後に、私が書き写した創作話について触れられていた。
「インターネットも色々と楽しいんですねっ」と。
インターネットと何かしらのカタチで縁を持って欲しいと願っていた私にとって、この上ない言葉をいただいた。頑張って書いた甲斐があった。満足である。
あの書き写した物もおばあちゃんにとって宝物となったようなので、調子に乗って次回は春を迎える頃に、同作者の”神様のお花見”の創作話を書き写して贈りたいと企んでいる。

おばあちゃんにはどのようなことでも良いのでいつまでも探究心を持ち続けていてほしい。私はその背中を追い続けていきたい。

この記事が参加している募集

おじいちゃんおばあちゃんへ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?