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片付けや整理

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老前整理6

「なぜ」から始めましょう

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 老前整理のセミナー参加者は「片付けないといけないといけない」というプレッシャーを感じておられる方がとても多いです。そこで「何年前からですか」と問うと、五年、十年は当たり前です。ここでわたしと同じだと安心してはいけません。

 それほど長い間「なんとかしなくては」と思っているのに、実行できなかったのです。頭ではわかっているのに一歩が踏み出せない。そろそろなんとかしたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。

 そこで考えていただきたいのは「なぜ片付けないといけないのか」です。この「なぜ」がはっきりしないからなかなか行動に結びつかないのです。ただ「片付けなくては」で五年十年が過ぎたのです。

 なぜの理由は人それぞれです。いずれ引っ越しするから、外国で暮らしていた娘夫婦が帰国して同居するので。孫とおもちゃで遊べる場所を作りたい。晴耕雨読のシンプルな暮らしをするため。

 セミナーに参加された六十代後半でひとり暮らしの女性Kさんは、ある日がくぜんとしました。元看護士の経験から「このままでは家で具合が悪くなり救急車を呼んでも、ものが邪魔になって担架で運びだしてもらえない。これはえらいこっちゃ、今すぐ片付けなければ!」と思ったそうです。

 Kさんの日常はボランティアや趣味のサークルで現役時代より忙しいくらいで、のんびり家で過ごすことはほとんどなかったとのこと。責任感が強く面倒見の良い人なので、ボランティアの仲間から頼られることも多く、自分のことは後回しでした。

 この場合の「なぜ」はKさんにとり生死にかかわる問題です。
「今年こそは老前整理」ならば、「なぜ」から始めてくださいね。

イラスト なかだえり氏                      『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より

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