いま一度「足元を見る」
その靴、履けますか
「足下を見る」とは相手の弱点を見つけ、つけ込むことだそうです。歩いて旅をした時代に街道筋などで、かごかきや馬方が旅人の足元を見て疲れ具合を見抜き、弱みにつけ込んで高いかご代を要求したことから出たそうです。
わたしが社会人になって先輩から聞いた別の「足元を見る」は、ホテルや旅館などのサービス業では客の靴を見ると、どういう客か分かるということでした。つまり洋服にお金をかけていても、靴を見れば人となりがわかるという話。
そこで今、足元を考えてみましょう。下駄箱の中に長い間眠っている靴はありませんか。きものや洋服なら親しい人に譲ることもできますが、靴はたぶん無理ですね。サイズや形が違うからです。すてきなハイヒールがあるけれど外反拇指で痛くて履けなくなった、なんてことはありませんか。
合わない靴を無理して履くと姿勢が悪くなったり、腰や膝を痛めることもあります。おそらく今の「いい靴」は目的と足に合った、履きやすく、疲れない靴だと思います。そして今の洋服に合う靴ですね。
靴は長い間しまいこんでいると、カビが生えたり、靴底が劣化する場合もあります。
四十代の女性Eさんは、八年前に旅行先のイタリアで買った靴を履こうと箱から取り出すと、パラパラと黒いものが落ちました。よく見ると、靴の底が劣化して剥がれ落ちているのでした。Eさんにとって大好きな靴で、独特の青の色が美しいのですが、この靴に合う服が少ないので、履く機会も限られました。久しぶりに履こうと思ったら靴底がはがれてほとんどなくなっていました。
こんな経験をした人はいませんか。靴も眠らせておかずに、全部出してチェックしてみましょう。底がはがれたり、カビが生えていないか。
次に、履くとマメができたり靴擦れする靴はありませんか。痛い思いをしてまで履きますか。あとは汚れているものは磨く、そしてもう履けないと思ったら潔く処分です。
フォーマル用の黒い靴も見直しておきましょう。気付いた時にかかとなどの修理をしておけば、いざという時に慌てることもありません。
「老いは足からくる」ともいわれます。健康維持のためにも「いい靴」を履きたいですね。
イラスト なかだえり氏 『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より
今日は何の日? で靴屋の日の動画をつくったので、よい機会だから靴の話をアップしました。😉
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