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「The アート」な授業が始まった

武蔵野美術大学のクリエイティブリーダーシップコースの数少ない「The アート」な授業である「造形言語リテラシー実習」が先週から始まりました。
元々アートに馴染みは少ないし、自分でアート作品を制作することもほとんど無かったのですが、2年ぐらい前に読んだ「13歳からのアート思考」と言う本がむちゃくちゃ面白かったので、今回の授業は楽しみでした。

今週のnoteはこの造形言語リテラシー実習の1回目の授業について書いてみたいと思います。


造形言語リテラシー実習

造形言語リテラシー実習では、実際にアート制作を通して創造性やその具現化の手法を学んでいきます。造形の上手い下手よりも、与えられたテーマに対して美術的な思考のもとに制作し、自己の意識を超えた作品を生み出したり、新たな意識・感覚を獲得することを目指します。(たぶん。)

この授業は制作がメインになりますので、授業時間は細切れではなく土曜日9:50 〜 17:30に集中して実施し、それが全8回のカリキュラムとなっています。毎回授業の最初にテーマが説明されそれに沿って制作を進め、その時間内に展示して、講評を受けるところまでやります。というわけでかなり濃密な土曜日になります。

初回の授業はドローイングで生態系

初回の10/21(土)のテーマはこちら。

熊からクラゲにつながる生態系をドローイングで表現せよ

お、、、おぅ。

陸上、特に山間部に生息する熊と海に生息するクラゲ、この2つを生態系としてつながるように表現します。

表現方法はドローイングのみ
立体物ではなくドローイング
1モチーフ1枚でドローイング

ドローイングというお題なので、今回は立体的に表現するのは無しです。また、熊とクラゲを1つの絵として表現するのではなく、1枚の紙に1つのモチーフを描くと言う制約が課せられました。

展示方法は自由。壁に貼るもよし、テーブルの上に展示するもよし、床に置くという方法もあるかもしれません。「展示された環境の中でその作品がどのように見えるか?」というのも作品の重要な要素だそうです。そうなると当然「描くサイズ」自体も重要な要素になります。

この辺りが「実際にアート作品として制作する」というこの授業の特徴的な部分だと思います。

さて何を書こうか・・・?

まずは何を書こうかと色々と思案。

普通に考えると論理的で説明的になってしまうので、今回は「言葉を使わず絵だけで表現する」「熊からクラゲへの変化の軸とは別の軸を入れる」という2つを意識してみました。

noteなのでどうしても文字になってしまいますが😅、実際に書いてたアイデアスケッチはこちら。

熊から始まってクラゲへ
生物の大きさ、いわゆる食物連鎖を主軸にしながら、もうひと軸入れたい
熊って・・・
Sinカーブを重ねると遺伝子っぽくなるな
そしてそこに人間が介在しすぎている、的な世界観

そろそろ本番で書かないと。では何に描くか?
アイデアスケッチはクロッキー帳に描いていたのですが、大きな絵を書くのがしんどそうだったので、手持ちのモレスキンを数ページ破ってそこに描きました。

とりあえず熊の絵を書いてそこに線を引く、見開きページになるように次はリスを書いて線を引く、、、次は人間を書いて線を引く。。。と言う感じで。

1本1本線を引いていたので、手がつりそうでしたが、5枚ぐらい書いたところで「あれ?これ、さいごクラゲの触手に集約すれば良いのでは?」と思いつき描いてみました。なかなか良いかも。

今回モレスキンのノートに見開きで展開するように描いたので、最後のページが余ってしまいました。そこで人間の手が操り人形のようなモノを持っていると言う構図にして、その線が左側の熊のところにループする感じにしてみました。

今回のドローイングの全体像
展示にもこだわりました

するとどうでしょう。「熊からクラゲにつながる生態系」を、そのシステムの外側から操ろうとする人間が見えてきました。再帰的だし、マトリックス的だしで、急にディストピア感が出てきました。

今回色々なものが最初から意図したわけではなく偶然が重なったのですが、講評の中では「作者自身でも最初は思いつかなかったものが出てくるのがアートだ」と言う言葉もありました。
最初から全部を計画して作ったのではなく、とりあえず手を動かしてみた結果、自分でも思いつかなかったものが中から出てくる感じ。「作品に作らされた感覚=中動態的な感覚」とでも言うのでしょうか。疲れたけど新たな感覚を体験することができました。

この後

この授業はあと7回あります。毎回異なるテーマで表現方法も様々です。年末まで土曜日はだいたい埋まってしまいますが、次回のテーマも楽しみです。

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