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2023年読んだ本

本の前に映画から。
・『君たちはどう生きるか』
・『さかなのこ』
・『告白』
・『母性』

君たちはどう生きるか』は久しぶりに映画館で観ました。前情報無しで観て、宮崎駿さんらしいなぁと。解釈はいろいろあるようですが、羨ましい映画でした。こういう映画を残せるなんて。集大成という印象でした。

『君たちはどう生きるか』の本も買って読んでいます。まだ途中だけど。原作ではありません。

さかなのこ』はYouTubeの映画評で絶賛されていたので、Amazonプライムのビデオレンタルで観ました。さかなクンの半生を描いた映画で、さかなクンの役をのんさんがやるという異色な映画です。監督は『南極料理人』の沖田修一監督。とても良かったです。好きをつらぬくということは、誰もがやりたくてなかなかやれないことなのではと思います。だからこそ好きをつらぬくことは魅力的です。のんさんのミー坊が愛らしく、ミー坊の周りの人たちが皆優しくて、ほっこりした映画でした。

告白』は一度観たことがありましたが、AmazonがやっているオーディオブックアプリのAudibleで湊かなえにはまって、原作を読み(聴き)、あらためてAmazonプライムで観ました。原作を知ってから観ると、原作の方が良いと思いました。本では自分なりの映像を頭に描いているので、それと映画とのギャップが気になってしまいます。

母性』も湊かなえの原作を読んでから(聴いてから)、ネットフリックスで観ました。これはなかなか良かったです。長い原作をうまく絞って映像にしています。告白とは逆に原作をこういう脚本で描くのかと興味深かったです。戸田恵梨香さんの演技がとても良いです。

近所の公園で見たアオサギ


さて、今年前半の読書は、「限りある時間」がテーマでした。自分と歳の近い著名人の訃報を聞くにつけ、自分に残された時間もそんなに長くないと認識しました。手当たり次第読んだのは次の本です。

・『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著
・『24 TWENTY FOUR 今日1日に集中する力』堀田秀吾著
・『イヤなことは死んでもやるな』金川顕教(かながわ・あきのり)著
・『半分、減らす。』川野泰周著
・『ぜんぶ、すてれば』中野善壽著

主張していることは似通っています。まとめると、

「マルチタスクをやめ、ひとつのことに集中すること」
「やりたくないこと、いらないものを捨て、そこに時間を使わない選択をすること」
「今日一日に集中して人生を楽しむこと」

でした。


今年の後半の読書はミステリーです。

のんさんの朗読で湊かなえさんの『未来』がAudible に出たので、聴いてみたいと思っていました。Audible はサブスクを停めていたのですが、タイミングよくAmazonからキャンペーンの案内メールが来たので再開しました。

未来』は衝撃的でした。さすがイヤミスの女王です。イヤミスとは読んだ後に「嫌な気分」になるミステリー小説のことをいうことを知りました。湊かなえさんはこの本で子どもたちの貧困、虐待やいじめについて訴えたかったそうです。、不幸の連鎖です。次から次に。そして衝撃の母の生い立ち。すっかりはまってしまいました。14時間の朗読でしたが、聴き終えました。

それからAudible で湊かなえを次々と読み(聴き)ました。

・『告白』
・『Nのために』
・『贖罪』
・『リバース』
・『境遇』
・『少女』
・『母性』
・『往復書簡』

告白』は湊かなえさんのデビュー作です。我が子を校内で亡くした女性教師が、犯人である少年たちに心理的な復讐をするイヤミスです。

Nのために』は高層マンションで起こる殺人事件が起点となっています。殺人事件に居合わせた登場人物のそれぞれの視点で物語が語られます。そしてそれぞれの過去が明らかになっていきます。学生時代の木造アパートでの生活は自分には懐かしく思いました。

『Nのために』はTBSでテレビドラマ化されていました。huluで観ることができました。テレビドラマでは杉下が主人公で、原作ではさらりと語られる10年後が追加されていて、わかりやすく、イヤミス感が薄まっていました。瀬戸内の景色が美しい。原作にはない駐在さんが狂言回しで出て来るのも良いです。

贖罪』も衝撃的な話です。これも登場人物のそれぞれの物語で章立てになっています。小学校で遊んでいた5人の少女たちに話しかけてきた男性に一人の女の子が連れていかれ殺されてしまいます。殺されたのは引っ越してきた子で、母親が現場にいた4人の子に贖罪を強要し、4人の人生が狂っていく話です。

静かな田舎町に工場ができて、都会から従業員の家族が引っ越してきます。地元の人たちと都会からきた人たちの間には心理的な溝があります。その溝を詳細に描いています。私も父が鉱山技師で、小学校1年の時に引越しました。立ち並ぶ社宅のアパートは周囲とは違う雰囲気で、地元の子どもにいじめられましたので、共感しました。

『贖罪』もWOWOWでテレビドラマ化されており、huluで観ることができました。こちらは原作の方が良いと思いました。映像による心理描写と文字による心理描写は違います。

リバース』は珍しく男性が主人公の話です。大学4年生のゼミの旅行で事故が起こり、一人が死んでしまいます。その事故を巡って、3年後に告発文が一緒に行ったメンバーに送られます。誰がそんなことをしているのか? それを追いかけるうちに、主人公は亡くなった友人のことをほとんど知らないことに気がつき、友人の親や知り合いに会って、友人のことを聞き出し、ノートに書いていくのです。そして、とうとう衝撃的な事故の原因を知ってしまうという話です。自分も友人のことを意外と知らないものだと改めて実感しました。

『リバース』もTBSでドラマ化されました。こちらもhulu で観ることができるので、観たいと思います。

次は、『境遇』です。幼いころに親に捨てられ、施設で育った同じような境遇の二人、陽子と晴美が出会い、親友になります。ある日政治家の妻である陽子の息子が誘拐され、新聞記者の晴美は、解決のために奔走します。しかしそこには驚きの真実がありました。この話はイヤミスではありません。人の気持ちはわからないものだと思いました。TV局の創立記念スペシャルドラマの原作として書かれたそうです。

母性』も印象深い話でした。これもイヤミスではありません。女性には2種類あって、母と娘だといいます。同じ時間の流れを母の視点、娘の視点で交互に語られ、隠されていたことがわかります。もっと話せば良いのに、本音を言えば良いのにと思いました。でも自分の家族のことを考えると、わりと本音では語り合っていないように思います。これでもかと続く不幸が辛いけれど、エンディングはほっとしました。

『少女』『往復書簡』も面白く読み(聴き)ました。湊かなえさんは心理描写がきめ細かいと思います。ミステリーそのものもどんでん返しがあって面白いのですが、心理描写で感情移入したり、自分の場合ならどうだろうと考えたりしました。まだまだ作品はあるので読み続けたいと思います。

最後にテレビ番組『ブラッシュアップライフ 』がなかなか面白かったですよ。バカリズムさんの脚本の何気ない日常会話が興味深い。なにより、やり直しがきく人生は羨ましく思いました。


#今年のベスト本

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