偶然たどり着いた新潟で【染谷知良さん・長岡市】
こんにちは。
くらすはたらく編集室のまるです。
今回は「柏露酒造」の染谷知良さんにお話を聞きに行ってきました。
柏露酒造は、長岡市十日町に蔵を構える酒造会社。
新潟の酒造会社といえば、「久保田」の朝日酒造や「八海山」の八海醸造が有名どころですが…取材の中で「今まであらゆるものに流されてきた」と語ってくれた染谷さんは、なぜ故郷を離れたこの新潟で柏露酒造を選んだのでしょうか。
まずは染谷さんについてご紹介!
今回は、染谷さんの同僚にあたる、コミュニケーション部係長の国井昭子さんもご一緒にお話を聞かせていただきました!
今回の内容は3本立てでお送りします。
目次
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1.地酒がつないでくれた縁
2.「好きなことを見つけるのって難しい」
3.自分は自分で楽しんでいる
~取材を通して考えたこと~
~番外編~
~最後に~
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1.地酒がつないでくれた縁
―生まれも育ちも東京で、東京農工大卒の染谷さんですが、ずっと東京で過ごしてきて、そもそもなぜ新潟にくることになったんですか?
染谷さん:
大学3年の時に「日本酒 インターン」でネット検索して、一番目に出てきた山形の酒造の選考に落ちてしまったので、二番目に出てきた柏露酒造のインターンシップに参加することにしました。だからもともと新潟に縁があったというわけではなく、きっかけは偶然でした。
―もともと日本酒には興味を持っていたんですか?
染谷さん:
お酒はもともと好きでした。日本酒に興味を持ったのは、農学部での専門が地域活性化系だったので、地域の人と関わることが多かったのと、大学1年から所属していた農業系サークルの影響が大きいと思います。そのサークルで「十日町市でお米を育てる」という活動があって、大体月一くらいで十日町市に泊まりがけで通っていたので、夜地元の人と飲む機会がよくありました。そのときに「うちの地元の酒はこれだ」っていう文化を見るようになって、「日本酒面白いなあ」と思うようになりました。
国井さん:
それこそ新潟は何かしてもらったお礼に日本酒を送るとか、何かあれば「飲みにこいや」とか(笑)日本酒の文化があるからこその人とのつながり方はあるよね。
染谷さん:
確かに、そういう意味では地元の酒があるのは大きいと思います。
どこの地域に行っても「うちはこの酒だ」といえるものがあって、地元の人は地酒をよく知っていたり、誇りに思っていたりすることが多いんですよ。その地域の人とお酒を飲むような場に行くと地酒の話になることも多いので、それで人とのつながりができていった感じはしますね。
―日本酒が人と人とをつなぐ役目を担っているんですね!日本酒が単なるお酒とは思えなくなってきました…(笑)
2.自分は自分で楽しんでいる
―いわゆる大企業に就職する選択肢もあっただろうと思いますが、就職するにあたって学歴は気にならなかったんでしょうか?
染谷さん:
学歴で勝負するなら大学院を出ないと意味がないと言われていたので、あんまり気になりませんでした。大学の専門分野に就職するわけではなかったのでなおさら学歴は関係ないと思っていました。
―私自身、就職活動をしていた時は、会社の規模や待遇、友達がどんな会社から内定をもらったのかなど気になっていましたが、染谷さんは学生時代の友人など周りと比べてしまうことはないですか?
染谷さん:
高校時代の友人がいわゆる一流企業に勤めている人が多くて、働き始めて友人と仕事の話をするようになってから、こういう世界かと分かるようになりました。反対に大学時代の先輩は好きなことをやっている人が多くて、そういう人に憧れがありました。一流企業にもいいところはいっぱいあるけど、自分自身は福利厚生や高い給料求めているわけではないし、若いうちにある程度無茶しても、また辛くなったらその時考えればいいと思って「とりあえず今は」という感じで就職しましたね。
今は、友人がいて海も山もあってという長岡の環境で、自分の好きな日本酒という業界で仕事を楽しんでできているので、比べるというよりは「自分は自分で楽しくやっているよ」って思っています。
3.「好きなことを見つけるのって難しい」
―染谷さん自身はこれまで製造も営業も経験されて、今は原酒の管理業務を行われているということですが…
染谷さん:
総合職という名のもとに色んな部署を転々として色んなことを経験させてもらっていますね。
国井さん:
こんな風に色んなことを経験できるのは強みになると思いますよ。20代は、自分は何がしたいのかすごく悩む時期で、私自身も「今が楽しければいいかな」でここまで来たけど、これまでで共通しているのが「接客」や「人と触れ合うこと」で、それが好きだということにやっと気付けました(笑)染谷みたいに20代で自分の好きなことにどんどんチャレンジするのはいいことだと思うし、失敗したとしても自分の経験として身につくから今後の強みになっていくと思います。
染谷さん:
好きなことを見つけるって難しいですよね~。
僕自身はなんでもそこそこ好きだけど、そこまでの熱量はないっていうタイプで…
自分の中に一本通せるもの、自分を表現するときに何があるかなって考えたときに、日本酒にしようと「決めた」んです。今後変わるかもしれないけど、その時は「日本酒を好き」だということにしました。
国井さん:
好きなことを仕事にできるのは最高だよね。
染谷さん:
それ言われることあります!「好きなことを仕事にできていいよね」って言われるけど、「日本酒が好き」と自分に思い込ませたという感じです。そうじゃないと何でここで働いてるの?って聞かれたときに説明できないんですよ。もちろんお世話になったから恩返しをするためという理由もありますけどね。
―最後になりますが、将来に悩む読者の大学生へメッセージをお願いします!
染谷さん:
やりたいことをやった方がいいというのはみんなよく言うけど、そもそもやりたいことを見つけるのが難しいし、「好きなことは何ですか」という質問に答えられるようになるのもすごく難しいことだと思います。だからこそ、それを探すのはやっておいた方がいいのかなとは思いますね。自分の場合は特になかったので日本酒に決めちゃったというのはありますが…
色んな年代の人に話を聞くことも大切だと思います。高校まではそれは中々出来ないことだと思うので、大学生の今、何が好きか探しながらサークル活動に参加したり、地域に出ていろんな人と会ったりすることはやっておいたらいいのかなと思います。
~取材を通して考えたこと~
【新潟との縁】
きっかけはどうであれ、米どころであり、酒造が多く地酒文化が根付く新潟の地域性によって、染谷さんは新潟に導かれていったような感じがしました。日本酒が単なるお酒ではなく人と人とをつなぐものとしての役割を担っているというのが今回新たな発見でした。商品が単なる物ではなくその商品がもつ性格みたいなものが見えた気がして面白いなあ!と思いました。
【流された先で】
取材中「今まであらゆるものに流されて生きてきたんですよね」と語ってくれた染谷さん。「流される」というのは一見よくないことのように思えますが、染谷さんは「やみくもに」ではなく「慎重に」流されているという印象を受けました。また、染谷さんからは、流された先で色々取り組んでみて、それらを自分なりの正解にする力を感じました。
自分の好きなことや興味のあることがなかなか見つけられない人、「これだ!」と思えるものに出会えない人は、時には流されてみてもいいのではと思います。流された先でかけがえのないものに出会えるかもしれないし、染谷さんのような「これを好きってことにする!」というものに出会えるかもしれません。
~番外編~
なんと酒蔵の見学もさせていただきました!
主に写真でお届けします。
最後に
今回、取材前に訪れた醸造のまち「摂田屋」も、地元の人に親しまれ、構えずふらっと寄れるような心が温まる町でした。
私自身、県外に就職することが決まっていますが、くらすはたらく編集室での活動を通して、新潟の魅力を発見するのが楽しい一方で、とどまろうか、いつか新潟に戻ってこようかと悩み始めています…(笑)
読者の皆さんにも、魅力ある人・もの・まちがあふれる新潟が伝わったらなあと思います。
そんな新潟を楽しみつつ、この記事を読んで何か受け取っていただけたら嬉しいです!
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