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《しんのくらげ》「稽古場日記②脚本編」


どうも。
月海舞由です。

今日は7月公演《しんのくらげ》の「心中ルームシェア」の脚本を書くにあたってのお話を。

「わたし」ってたくさんいるなあ、と思ったのが、この本を書くきっかけでした。

わたしって、一人のふりをしているけど、実はたくさんいて。
お母さんの前でいる時のわたし。
彼氏の前でのわたし。
後輩、先輩、同期といる時のわたしもそれぞれ違って、
バーで一人でいる時のわたしも、家で一人でいる時のわたしもまた違って。
広い世界にたくさんのわたし自身がいて、
かといって一人でいる時の自分が本当の自分かと言われればその答えは「多分違う」だし、嘘かと言われても「そうじゃない」だし、誰といる時の自分が本当の自分なのだろうと考えるようになった。
わたしはわたしなのにいろんな顔があって、それぞれ紛れのないわたしで。
心は一つ、体も一つなのに、たくさんのわたしがいる。

その時にふと、何かの本で読んだ言葉を思い出して。

「一緒にいる時の自分を好きで入れる人と一緒にいればよろしい」
恋愛のコラムかなんかの言葉だった。

穏やかな人と一緒にいると自分もまるで穏やかな人間になったかのように穏やかな日々を過ごせるし、イライラがるがるしてる人といれば、無駄に自分もイライラガルガルするのだ。それは本当なのだ。

中には誰といようが、どんな時だろうが、自分らしく、自分で生きれる人もいるのだろうけれど、全く同じ、ということはきっとないような気がしている。

このお話は、そんなたくさんの自分の頭を撫でてあげて欲しくて、書きました。

たくさんの自分がいる中で、嫌いな自分も生きていればたくさんいると思う。わたしはそうだ。ああ、こんなこと言っちゃったなあとか、あんなことなんでしちゃったんだろうとか。過去の自分も、今の自分とはきっと違うから。後悔することが大いにある。

でも、毎日生きているだけでどんな自分も頑張っていて、その頭を撫でてあげたい。辛いと言えなくて、笑顔を貼り付けて生きているあなたに、泣いても良いんだよと肩を寄せるように。いろんな自分がいて、嫌いな自分が出ちゃった時に、そんなあなたも素敵よ!と大きい声で叫ぶように。

そんな気持ちを散りばめて、脚本を書きました。

わたしはわたしのことが大っ嫌いで、大好きで、かわいくって。それで良いんじゃないかって思うんです。

「心中ルームシェア」
毎日、キャストの皆さんに役が愛されて、作品を愛してもらって。それはきっと、わたしを愛してくれているという紛れもない事実で。

たくさんの愛と、世界の矛盾と、必死に毎日作品に泥を愛を詰め込んで稽古しています。

ぜひ、見に来ていただきたい。

月海舞由




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