川崎海月

青森県出身。 7月30日生まれ。B型。 コマタサヤカ名義でバンドのギターボーカルやって…

川崎海月

青森県出身。 7月30日生まれ。B型。 コマタサヤカ名義でバンドのギターボーカルやってます。 2004年〜紅ノ壱パンダ 2010年〜ラララ 2016年〜タワータワータワー ※Twitterにて詩のアカウントもあります。 @999_earth

マガジン

  • グラジオラス

    「今日を乗り越えられた僕らなら、明日を乗り越える勇気にも勝てる」 ふわりふわりと漂うだけの毎日を過ごす捻くれ者で夜行性の葵。 ラブホテルのバイト、芸人とホームレスの先輩、絶望を纏ったバンドマンとの出会い。 漠然とした孤独が集まる街で、夢に賭けたり、諦めたり、幸せを探したり。様々な色のグラジオラスが咲き、それぞれの価値観で生きていく強さを試している。 ネガティブな数を無駄にしてはいけない。 その数が多いほど人は奇跡や希望を咲かせた時の感動は凄いだろう。 日々思い悩み、立ち止まり葛藤し、見えないものを追いかけた馬鹿者たちの記録。

最近の記事

グラジオラス 5.猫を抱いた男

 佐伯さんと奏太と別れ、家に帰宅した。 いつもなら心地いいこの部屋の静けさも今日は何だか寂しくなり、あまりつけないテレビの電源を入れた。最近のテレビ番組はお笑い芸人が特によく出ている様な気がする。そのせいか繰り返し、ミキタさんの事をよく思い出すようになった。バイトの休憩時間によくダウンタウンやバナナマンのYouTubeを見せてきて芸の凄さを教えてくれたりコントや漫才の構成を教えてくれたり…。最初はウザイと思っていたが少しずつ芸というものに興味を持ち始めている自分がいた。でも、

    • グラジオラス 4.夢の鮮度

       カーテンの隙間から少し光が差し込んだ。湿った部屋に芳香剤の残り香が微かにまとわり付く。ゆっくりベットから起き上がり昨日の事を思い出していた。 結局、てっちゃんの意識はまだ戻らず一旦タクシーで帰ることになりミキタさんが送ってくれた。そこまでは覚えているが、疲れて眠すぎたせいか部屋までは覚えておらずただ携帯を握り締めたままの画面は奏太にメールを送る途中で寝てしまったようだった。 何を送ろうとしていたんだっけ?まぁいいか、とりあえずミキタさんにお礼を言わなければだな。と電話をかけ

      • グラジオラス 3.朝焼け

         「今、きっと同じ空を見ている」 例えばこんな風に感じて自分も頑張ろうと誓った人は、この世には意外と沢山いる気がする。  繋がっている全てのものは奇跡的。 それが孤独に生きる人達の力に変わる瞬間、あなたに出会った事がこんなにも大切なんだと気付いた。どんな形でも、私の中でずっと一生死ぬまで忘れる事はない。  朝焼けが綺麗な橋を自転車で走り抜け、自転車カゴの中のバイト終わりに買った缶ビールがカタカタと揺れる音を聞きながら、私は少し眠気に襲われていた。アパートに到着して、眠い目を

        • グラジオラス 2.檸檬の住処

           「もう、俺はどうすれば良いのか分かったよ」  またこの夢か。真っ青な晴天の昼下がり。彼と一緒に最後の言葉が目の前でぶら下がる。そんな光景がもう何度もフラッシュバックして浮かび上がる。時々、うなされて目が覚めると涙が溢れていた。  私はこの頃から夜と雨が降る日だけを自然と好むようになっていた。  インターホンが鳴る音で無理矢理起こされた。ぐしゃぐしゃになった髪を一つに束ね、覗き穴を覗くと向こう側に奏太が立っていた。  「今、開ける」 ドアを開けると私がよく行く駅前の小さなケ

        グラジオラス 5.猫を抱いた男

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        • グラジオラス
          5本

        記事

          グラジオラス 1.ハタチ

           月明かりがぼんやり浮かび上がってきた頃に、目覚ましが鳴った。  この街で暮らし始めてから半年が経つ。すっかり夜行性になってしまった私は、今日も薄汚れた靴を履いてバイトへ向かった。今年は何年ぶりかの猛暑が続くらしいが、夜中の私の生活に何の支障もない。それよりも今日発売のジャンプが気になっていた。  この時間は、向かう途中にコンビニと居酒屋が交互に笑いかけてきて  「いってらっしゃい! 今日もお互い頑張ろうな」  なんて声をかけてくれるのが心地良い。私の幸せは、時々馬鹿げている

          グラジオラス 1.ハタチ