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第14回 くらがく【瀬戸内国際芸術祭について】

秋も徐々に深まってきました、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

第14回くらがくは芸術の秋ということで、瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーターこえび隊から斉藤牧枝(さいとう まきえ)さんをお招きし、「瀬戸内国際芸術祭について」まなびました。

なぜ「瀬戸内国際芸術祭について」なのか?

瀬戸内海12の島と2つの港を舞台に開催される瀬戸内国際芸術祭。2010年に第1回を迎え、来年2022年には第5回目が開催される予定です。前回2019年は国内外を問わず117万8848人を動員し、今や世界中から現代美術を通して島の景色や自然を楽しむイベントとなっています。

そんな世界的なイベントが瀬戸内海を会場として開催されているのに、岡山生活5年目となる私は未だに訪れたことが無く、また存在は知っているけどよく知らない…。街中で見つけるART SETOUCHIについて少しでも詳しくなりたい、そんな思いから瀬戸内国際芸術祭を取り上げることにしました。


講師はこえび隊  斉藤 牧枝さん

瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーター「こえび隊」は日本中・世界中から集まった有志が、アート作品の案内や「島キッチン」(島民が古民家を改築して営むレストラン)のお手伝い、空き家掃除、作品制作等の活動をしています。サポーターは小学生からご年配の方々まで、島が好き!アートが好き!芸術祭を手伝いたい!人たちが集まっています。瀬戸内国際芸術祭の構想段階から存在していた「こえび隊」は瀬戸芸に欠かせない存在で、行政・地域・アーティストを繋げる役割を担っています。

講師の斉藤牧枝さんは元々横浜市で公務員をされており、仕事の縁で岡山県玉野市にいらっしゃったそう。仕事で瀬戸芸に関わる中で仕事だけではなく個人的にも瀬戸芸に携わりたいと思い、こえび隊に参加されたそうです。今では運営に携わり、ボランティアサポーターを支える存在として活動されています。


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アート作品を通して瀬戸内海に浮かぶ島々を元気に!

そもそも、なぜ瀬戸内国際芸術祭は始まったのでしょうか。

実は瀬戸内海の島々は過疎高齢化、産業の衰退、環境破壊/汚染、隔離島としての歴史といった様々な問題を抱えています。特に印象的だったのは「海からの隔絶」という問題。「どういうこと?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは瀬戸大橋が架かったことで島が陸続きになってしまったということ。航路が交通手段としてマイナーになってしまったということ。このように島が抱える様々な問題を解決し、「海の復権」を目指した活動の総称が瀬戸内国際芸術祭なのです。

瀬戸内国際芸術祭のアート作品たち

斉藤さんが数多あるアート作品のうち5つの屋外作品(瀬戸内国際芸術祭の開催期間中でなくても鑑賞できる屋外展示作品)を紹介してくださいました。

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特に有名な「宇野のチヌ」。定期的な「チヌのお色直し」(=チヌを構成している不用品の回収と作品化・メンテナンス)を通して地元の人が作品作りに参加しているため、この芸術作品は「みんなのもの」。地域の人が訪れた人に対して「あれは自分が持ち寄ったものが―」といった具合に作品の解説をする風景も見受けられるそうです。他にも鉄の廃材を利用した「舟底の記憶」、中に海水が入っている「海の記憶」、不法投棄された自転車を利用した「終点の先へ」、すべり台としてより親しみやすい作品となった「宇野コチヌ」。斉藤さんから作品の背景を説明していただくだけで、より一層作品の魅力が増し、「行ってみたい」「見てみたい」という興味が湧きました。

瀬戸内国際芸術祭とこえび隊

次に斉藤さんが紹介してくださったのは瀬戸芸とこえび隊の繋がり。100日間の瀬戸芸開催期間中にこえび隊は、鑑賞しに島を訪れた人たちはもちろんのこと、「島のおじいちゃん・おばあちゃんの笑顔」を守るべく、色んな活動を行っています。鑑賞目的で瀬戸芸を訪れても、やはり旅の思い出と言えば島で話したこと・島で食べたもの・繋がり。こえび隊はそういった瀬戸芸の芸術作品+αの醍醐味を支えていることがわかりました。それにはこえび隊のスタッフ同士の関わりも欠かせません。「こえび寮」に泊まりながらボランティアとして芸術祭に関わるという、わくわくするお話も伺うことが出来ました。

島の日常に馴染んだアート作品たち

質疑応答の時間には、アート作品の設置場所についてや、斉藤さんと瀬戸内国際芸術祭の関わりについて等、様々な疑問が飛び交いました。私が特に印象的だったのは、芸術に対してハードルが高いと思っている人に対する斉藤さんからのメッセージ:「アート作品全てを理解する必要は無くて、自分が直感的にいいなと思ったものを大切に」です。実はハードルが高いと思わせているのは現代美術の小難しさではなく自分自身。

瀬戸芸の作品たちは美術館という施設内にあるものでははく、島の生活に根付いているものなのでとてもフランクで自然な存在なのです。「いずれ日常に芸術が融けこんで」という斉藤さんの言葉が瀬戸芸のアート作品の在る姿を表現していました。

まとめ

本日の授業では、瀬戸内国際芸術祭について知っている人/行ったことある人/行ったことのない人、様々な人が参加してくださいました。斉藤さんの授業を通して新しい瀬戸内国際芸術祭の楽しみ方、こえび隊の魅力をそれぞれに感じ取ったのではないかと思います。来る瀬戸内国際芸術祭2022が楽しみですね!

斉藤牧枝さん、そして参加者のみなさん、本当にありがとうございました!

文責:くらがく 玉崎 葵

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