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第12回くらがく(アウトプットについて)

「アウトプット」と聞くと、何を思い浮かべますか。ブログを書くことや、誰かと話をすること、自分が思っていることをカタチにするなどが挙げられます。今回のくらがくでは、アウトプットについてまなびました。

「自分」と「誰か」の想いをカタチにするデザイナー

講師は、岡崎 遼太朗(おかざき りょうたろう)さん。高知県出身。高校入学後、美術部と映像研究部へ入部し、美術作家の下でデッサンや色彩技術をまなびました。大学卒業後は、岡山県でフリーランスのデザイナーをしながら、フリーペーパーSTARの代表として活動しています。

今回のくらがく

今回のテーマは「アウトプット」についてです。アウトプットに関わる、岡崎さんのこれまでの経緯や今まで感じてきたこと、今考えていることなど、4つのテーマに沿って参加者へ伝えてもらいました。

習慣

一般的にアウトプットを始めることや続けることに対して大きな障壁があります。岡崎さんはデザイナーとして、誰かの想いや考えをカタチにしていますが、それまでの習慣が積み重なって今の岡崎さんを形成しているそうです。岡崎さんの過去を交えて、習慣についてお話をしてもらいました。

習慣を作ると、乱れた何かを安定させることができると岡崎さんは思っています。心理的に乱れやすかったことがあった岡崎さんは、10代の頃、直感的に行動することに対する疑問を感じました。生きていると様々な事が発生し、時には不安定になることもあります。しかし、習慣化することで、心理的に安定する(平常心を保つことができる)のではという考えが今の岡崎さんに繋がっているそうです。改めて、岡崎さんの習慣の始まりを振返ってもらいました。

(岡崎さんの習慣の始まり)
幼少期:絵本や図鑑(宇宙・世界遺産)大好き
  6~8歳:創作絵本を作る(熊を主人公とした世界遺産巡り等)
         広告物を真似て、オリジナルの広告物を作成し、家族へ披露
          学校の教員だった祖父の影響から、図形を描くことが好きになった
8~12歳:音楽やラジオにはまる(自作ラジオを作成)
12~19歳:携帯小説が流行した頃から、PCで携帯HPを作成
     オンライン上でコミュニティ作成、CDジャケット作り等

自分が好きだったことをやってみた結果が、今の自分を形成させたそうです。もちろん、無理はせず自分に見合ったペースで。私たちには、「どんな小さなことでもいい。小さな習慣が大切。」と伝えていました。

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評価

アウトプットにおいて、大事な「評価」。評価と聞くと、第三者に評価をしてもらうというイメージをもっている人もいるはずです。しかし、岡崎さんは「評価は第三者にしてもらうこともあるが、ひとりでもできる。ひとりで評価する癖をつけておくといいと思う。習慣を振返る事は大切。」と私たちに伝えていました。自分の中で仮想の誰かを想像しながら評価すると、客観的に物事を見ることができます。しかし、自分で自分を評価する方法はどうすれば良いのか。そこで、私たちは自分を俯瞰する方法を教えてもらいました。

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岡崎さんがよくやっていることをいくつか挙げてもらいました。例えば、デザイナーである岡崎さんは様々な作品を創ります。そのため、自分が創った作品に対して物理的に一定期間、距離をおくそうです。時間を置いて作品を評価することで、主観的ではなく客観的に評価することができます。また、目には見えない自分の状態(気持ち)を俯瞰するのに日記を利用していたそうです。「日付」と「天気」と「気持ち」のみを記録していた時期もあり、自分の無理ない範囲を続けることで、心の安定に繋がったそうです。日記を書くことで以前の状態を振返る事ができます。そのときの自分の状態を知ることで役に立つこともきっとあるはずです。

このように、自分を俯瞰し、自分への評価を続けていくと、おのずと誰かからの評価を受けたくなるそうです。おそらく、誰かからの評価を受けたくなることは、誰しもが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。改めて、第三者に評価されることで、誰かの意見が自分の気づきになることもあります。

反映

評価をすると次のステップは、反映です。至ってシンプルで、評価で得られたことを自分の習慣に取り入れ、実行します。反映するプロセスで大事なことは想像したことと自分ができたことのギャップを評価の段階で見いだし、改善できる方法を探すことだそうです。そのプロセスにおいて、実際に自分ができたことに対して感じたことは何であるのかを振返っています。

ただし、改善点が見つかり反映する際には、「大きく変える必要はない」と、岡崎さんは言います。それまでの行動を大きく変えることで、変わらなかったことと、変わってしまったことに対するストレスを感じてしまうことがあると私たちに伝えていました。大きく変える必要があるものを目標として設定した方が無理なくできるそうです。小さな改善を長く行うことで結果的に大きく変われば良いのではと岡崎さんは考えています。

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ただし、そこには、スケジュール管理など、自分をコントロールする必要もあるそうです。

このように、アウトプットとは、日常の習慣を評価し反映することを繰り返すことであると岡崎さんは私たちに伝えてくれました。

螺旋(フリーペーパーSTARに込める想い~始まり~)

岡崎さんのアウトプットの一つである、現在の活動について。

2014年に立ち上げた「フリーペーパーSTAR」。フリーペーパーSTARとは、岡山県に住む人たちや岡山県にゆかりのある人たちを取材して一つの冊子を制作するプロジェクトです。また、自らが発信できるプラットフォームにしたい想いもプロジェクトに込めています。フリーペーパーSTARが当初目指していたものは、「地域の回覧板」

フリーペーパーと聞くと、メジャーなものを想像するのではないでしょうか。岡崎さんが想像していたことは、メジャーなものにならなくても、近くの人(身近な人)に回して見てほしいということ。色々な人を巻き込んで、一つのモノを作り、誰かの反応を得たいという想いがあったそうです。

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写真は、実際のフリーペーパーSTARの冊子です。大きさは、CDジャケットぐらいのサイズです。この大きさにした理由は、手軽に誰かに渡して残すことができるちょうど良い大きさだったそうです。今までのフリーペーパーSTARを並べるとまるで、CDジャケットを並べていように見えるそうです。
フリーペーパーSTARの活動は、冊子の製作だけではありません。色々な人を巻きこんで作品展示を行っています。また、地域のイベントに参加し、フリーペーパーSTARの活動を多くの人に伝えています。

岡崎さんはフリーペーパーSTARを立ち上げたときにキャッチフレーズを決めました。それは、「ハッケンに出会おう。ハッケンを描こう。」というもの。今見たものを今残しておきたいという想いからこのフレーズにしています。時間が経過すると、そのとき感じた事は風化されます。美化されることもあるでしょう。だからこそ、そのときに感じたことを残しておきたいという考えに至っています。

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フリーペーパーSTARのロゴの話もしてもらいました。

「STAR」という名前には、古来、人々が星を頼りに旅やまちの営みを行っていた経緯が関係しています。自分たちが何かを刻むことによって、誰かの未来への道しるべとなる情報を目指したい想いから、名付けています。星はいつか消えてなくなります。出会った瞬間に感じたものを創って残すことで、誰かの心に何かが残ればいいなと岡崎さんは思っています。「STAR」の最後には*が付いています。*には、「星」と「人」を掛け合わせています。

また、「フリーペーパーSTAR」を進めていくうえで大切にしていることを伝えてもらいました。それは「岡山に対して興味をもつ」ということ。高知県で生まれた岡崎さんは、現在に至るまで、様々な場所を転々として生活をしていました。大学卒業時、岡崎さんは「岡山県は住みやすい場所ではあるものの、なぜ住みやすいのか」という疑問を感じます。答えを探すために、自分が興味あることを中心に住んでいる地域との繋がりを意識したそうです。住んでいる地域の「解像度」を高めることで、意識できると岡崎さんは考えています。

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螺旋(フリーペーパーSTARに込める想い~今とこれから~)

「STARが作る「場」とは食卓である」と岡崎さんは言います。STARは岡崎さんが大学を卒業して立ち上げた団体です。「学生」と「まち」や「人」との交流を深めたい考えがありました。当初、それぞれの好きなことを気軽に共有できる場所が、大学にもまだ無く、無いからこそ作ろうと思ったそうです。今でもその気持ちは変わっていないと岡崎さんは言います。自然に皆が集まって、それぞれの好きなことを持ち寄る場、つまり食卓のような場があることで新たな価値観を発見することができるのです。

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フリーペーパーSTARの紙面のテーマについても紹介してもらいました。

創刊~7号:季節がテーマ
8号~現在:季節と何かの組合せや、そのときの感情等

また、テーマには、タグを付けており、タグの組み合わせを変えることで、新たな視点が見つかると岡崎さんは言います。視点を変えて同じテーマを特集しながら、少しずつ形状を変え整えることで、ものごとの共通点を見いだそうと考えています。

「STARは螺旋を描くように遠回りしながらも前進していきたい」と岡崎さんは言います。最初は季節だけを取り入れていたものに他要素を徐々に取り入れることで、少しずつ前進しています。STARは今後、様々なメディアを通して、「まちの中に記憶」を残したいと考えているそうです。

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編集者より

アウトプットをテーマに岡崎さんの過去やフリーペーパーSTARのお話してもらいました。振返ってみると、人によって小さなものから大きなものまで色々なカタチのアウトプットがあると思いました。アウトプットを続けていると、新しい価値観の発見に繋がることを感じました。また、最後は自分の「  」を整えることがアウトプットであるそうです。どうしても、アウトプットというとハードルの高さを感じてしまいますが、小さなことでも良いというのが、ハードルを下げてくれる言葉であると感じました。評価は自分でもいいのだから、誰でもできるはず。無理ない範囲で自分ができることを行っていきたいと感じさせてくれた今回のくらがくでした。

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フリーペーパーSTARはnoteでも活動の様子が分かります。気になる方は、ぜひ「フリーペーパーSTAR」の記事を読んでみてください。


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