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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第213回 「ePARA2020参戦・観戦記!障害者がイベントに参加する新しいあり方を見たよ!」ってお話

登場人物

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[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。さて、先日は以前お話した加藤さん率いる「ePARA」主催のバリアフリーeスポーツイベント「ePARA2020」が開催されました!私ももちろん観戦していましたよ!今回はそのイベントのアフターリポートとして、くらげさんに感想など聞いていきたいと思います。

[く] おーつーれーさーまーでーしーたー…

[寺] くらげさん大丈夫ですか!?燃え尽きていませんか!?

[く] いやまぁ、私はePARAに「ライター」としても参戦しているわけで、この「発ある」で話す前に色々と書かねばならないことが多くてですね…。何故か参加レポートがどんどん膨らんで、かなりの分量になったのを作ってアップされた直後で疲れ果てているのです。

[寺] それはお疲れさまでした(笑)まぁ、ライター視点からePARA2020年のことを書くのも飽きたでしょうから、いちプレイヤーとしてインタビューを受けていただければ。今回の大会では障害がある人もない人も一緒にという趣旨で参加していましたね。くらげさんは「障害あり」のプレイヤーとして参加されていたわけですが、その辺についてはいかがですか?

[く] 正直言って、あまりADHDとしての特性が現れていた場所がないんですよね。まぁ、聴覚障害のほうのサポートをしないと何も進まない、というのがあって、障害者としてはそちらに集中していた、という感じです。

[寺] なるほど、まず聴覚の情報をなんとか補わねばということで。ご自身としては「聴覚障害者」として参加したイメージが強いのですね。前々回のおさらいになるかもですが、ここでいま一度イベント概要をご説明いただけますか?

[く] 今回は非公開戦の「ePARA企業交流戦」と公開戦の「バリアフリーeスポーツePARA2020」があったんですが、企業交流戦では「PUBG MOBILE」をePARA2020では「ブロスタ」というゲームをやりました。それぞれのプレイレポートはすでにアップされています。

[寺] PUBG MOBILEとブロスタをプレイしたんですね。公開戦の「バリアフリースポーツePARA2020」の方はYouTubeでリアルタイム観戦ができました。ブロスタの前に「ぷよぷよ」もやっていましたよね。

[く] 「ぷよぷよ」は第一部の参加者によるエキシビションマッチなので参戦していません。準備していて見る暇もなかったのですが…。

[寺] それはそれは(笑)それで、それぞれのゲームで障害からくる難しさを感じたところはありましたか?

[く] PUBGのほうは今回は4人チームのプレイだったんですが、4人の連携はボイスチャット(ボイチャ)なんですよね。まずそこからハードルがあるわけです(笑)

[寺] あー、ボイチャでのコミュニケーションは、そもそも得意な人とそうでない人がはっきり別れますよね。くらげさんの場合、もうその手前でハードルが生じてしまうという…。

[く] 対策として、ボイチャの音声をPCに流し込んで自動文字起こしアプリで認識するようにしました。

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もちろん、全部理解できるわけではないんですが、一言も聞き漏らすまい、と気張ってゲームすらできない、という状態からは脱却しました。特に役に立ったと感じたのは「他のプレイヤーが気絶していたときに助けに行けた」ということですね。ボイチャでは指示が聞こえなかったのですが、文字起こしを見てなんとかやるべきことが理解できましたよ。

[寺] へぇ、そこまで文字起こしの精度が上がっているんですね。優秀だわぁ(笑)

[く] ただ、私達のチームは急造ということもあって、「連携して戦う」ということができなくてボロ負けしたんですが…。あれは「聞こえるから」連携できるんですかね?

[寺] どうでしょうね。オンラインゲームで「連携して戦う」というのは単純に練度の問題もあるので、聞こえないから連携できなかったとするのは短絡かも。発達障害の方にも他人の動きや考えを「なんとなく察知して動く」ということが苦手な傾向があることを考えると、どの程度障害の問題なのかというのはわからないですよね。

[く] そういうものなのですか。他のチームは企業の中のeスポーツチームということでだいぶ連携が取れていた感じを受けました。

[寺] ゲームの連携は10戦やそこらではとれるようにならないです。だから、クランとか、ギルドとか、ゲームの中に擬似家族みたいなチームが出来るんじゃないですか。企業のチームだと普段からやってるんじゃないですかね、そういう連携の取り方を。

[く] なるほど、オフラインでもオンラインでも「同じものに所属している」という連帯感はあるかもしれませんね。

[寺] 役割分担とか、命令系統が大体仕事の時と一緒だったりするかもしれませんね。しかし、あまりに実力差がある場合はそれ以上に普段からゲームやってるいるかじゃないですか。普段からゲームをやっている人は、80点は取る立ち回りを常にしますからなんとなく分かりますよ(笑) いちかばちかみたいな立ち回りはしないんです。チームで普段から組んでいる人でないなら、それはもう絶対です。迷惑かけますからね。

[く] 練度の差というものですねぇ。一方、ブロスタは完全に個人戦で、こちらは音に関係なくプレイができる、という意味では私にとっては「公平」なゲームでした。

[寺] 予選では二連勝してトップ、準決勝ではボロ負け、という結果でしたね(笑)

[く] 何故そんな極端な結果になったかを自己分析してみたんですが、ブロスタを始めたのはePARA2020の大会をブロスタで行う、と決まってからなんです。5月末からですね。それから練習をはじめたんですが、如何せん仕事も色々あって時間がないので、完全にやり込 めるほど練習できず。ただ、どうもゲームをやっていると「他のプレイヤー以上に見えているものがある」というのはなんとなくわかったんですよ。

[寺] ほうほう(梟) 何に気づいたんですか?

[く] ブラスタは草むらの中にいると身を隠すことができるんですが、色々な条件でちらっと見えたり身を隠してもどこにいるか予測できることがあるんです。そのシグナルをうまく捕まえて攻撃すればだいたい倒せるんですね。私は完全に音を聞いてないですし、その分、目がいいのかな、と。前に動体視力を測ったらかなり良かったですよ。それを活かすのは手話くらいなんですが。

[寺] くらげさんはその生まれつきの障害がある代わりに他の能力を授かって生まれてくるみたいな説好きですよねえ〜。一応公の場なので否定しておきますよ。生まれた後に「病を抱えた貝に真珠は宿る」みたいなことはあるかもしれないですが、くらげさんが動体視力が良いとするなら、それはただの長所ですよ。

[く] その話はボクの人生観と関わってくるのでスルーしておきましょう。で、ADHDとしてみた場合は「ePARA2020」は健常者と障害者に分ける意味、みたいなのはあまりないというか。みんな普通にガンガン戦っているので、誰が健常者とか障害者とかわからない(笑)

[寺] 私はePARAは「違いのなさ」を見せるモノだと思いました。障害があっても健常者と等しく戦える舞台がある、ということ自体が見せ場なんですよね。それだけ一般の人の「障害者フィルター」は厚いのでしょう。障害者だ!とみて取った時点で、自分が面倒見なければいけない!(面倒だ関わりたくない)と思うでしょう?という前提で、その前提を崩しに行っているのだと理解しています。

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[く] そういう意味ではかなり成功したと思いますが、ギャラリーの反応が微妙にわかりにくいのが完全オンライン開催の難しさですね。

[寺] オンラインはオンラインの見せ方がありますから、必ず「オフラインでの開催」と同じような熱狂を目的にする必要はないと思います。加藤さんも「ゲーム実況は家でビールを飲みながらまったりと観る」と言っていましたし、私も普段は仕事をしながらテレビのように流して見ています。むしろスタジアムでサッカーに熱狂するようなファンとは違うタイプのユーザーが見込めると前向きに捉えたら良いのではないじゃないでしょうか。今回は新型コロナの影響もありオンラインでの開催でしたが、今後はオンラインか、オフラインか、ではなくて、両方やっていくという感じになっていくのではないですかね。

[く] 正直、ボクには出不精&家族の介助のため家を開けにくいという事情があるのでオンラインでゲーム大会に出場できる、というのはとても助かりました。これからも事情がある人は家から、参加できるならイベント会場で、という2つのラインが有るとめちゃくちゃ助かるな、と感じましたね。そもそも発達障害の人は体調が安定しないので、ドタキャンが多いのですが、オンライン開催だとそのトラブルもかなり少なくてできるかと。今回は実際、ほぼ全員が問題なく参加できてましたからねぇ。

[寺] なるほど、それは障害者に限らないと思いますよ。観戦する人の楽しみ方も変われ ば、プレイヤーとしての関わり方も変わってくるということですね。

[く] ちなみにePARAのあとも「障害者とそうでない人の交流の場」として「ePARA部活」みたいな感じで定期的にミニゲーム大会を行うんですね。実は今日これから開催されるのですが呼ばれています。あまり気負わず楽しんでこようかと思います。

[寺] 時間があるんですか!?(笑)まぁ、スポーツというものは時間とお金をかけて鍛錬するもの…というのも古い概念になる可能性もありますしね。楽しめる範囲で頑張ってください。では、今日はここまでということで。お疲れさまでした!

[く] はい。お疲れさまでした!また来週!

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。