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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第268回 「ADHDの治療薬は市販されているけどASDの薬が開発されないのは『基礎から違う』から!?」ってお話

登場人物

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本編

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[く] 酷暑が続くと思ったら、急に大雨が降り続いていて、寒いくらいになりましたね。天候が遠慮なしに体力を削りに来ていますね…。

[寺] 地球は別に人間専用じゃありませんからねぇ…。まあ1万年もすれば人間も気温50度でも凝固しないタンパク質を使うように進化するかもしれないですよ。とはいえ、気温の急変は現代人には普通につらいです…。うちの家族も色々テンションがおかしいですね。

[く] ASDらしい視点の広さをありがとうございます(笑)まぁ、暑さ寒さと大雨とコロナと…と心配事は尽きないですね。

[寺] 本当ですね。コロナですけど、大阪の本日(8月18日)の新規感染者は2000人を超える見込みで、これは大阪の過去最高だそうです。いよいよ病床率も逼迫してきました。

[く] 東京も当たり前のように新規感染者が連日5000人を超えていますね。ボクが住む東京東部の大きな病院もICU(集中治療室)の使用率が100%を超えたみたいで、今、大きな病気や事故をしたら助からない確率が跳ね上がっています。運転にはかなり気をつけないと…。

[寺]それは普段から気をつけてくださいよ!(笑)で、ですね、大阪は病床数の逼迫により、40歳以下は基本自宅療養となりそうなんです。我が家でもし全員が感染すると、親2人が入院で、子どもたち2人が自宅療養となります。本当に未成年者だけになる場合は配慮もあるようなんですが、息子が一応21歳なんで娘の保護者扱いになるんですね。でもご存知の通りうちの息子はASDなので…むむむ無理!!もうこれは絶対罹患できない…。

[く] 東京はもうあきらかに肺炎になっていても入院できないケースが相次いでいますが、うちが感染しても、おそらくボクも妻のあおもまず自宅療養でしょうね。もし、ボクが倒れた場合はあおの家事能力はかなり低いので、生活が全く回らなくなって共倒れの可能性が高すぎます。今日は都内で家族全員が感染して自宅療養中だった40代女性が自宅で亡くなったというニュースもありました…。

[寺] 痛ましいですね…。しかし全く他人事ではありませんよ。家族がいても家族が看病できるとは限りませんしね。特に家族に障害があるとコロナに感染しても家族の介助や介護で休めない、というケースも少なくないと思います。いやほんと、感染しないのが一番ですよ。これまで以上にマスク・手洗い・うがい・密を避けるを徹底していきましょうね。

[く] 本当ですね…。さて、本日のテーマなんですが、文部科学省がいわゆる「ギフテッド」の子どもたちの支援を進めるための検討が始まったようです。これまで大学・研究機関で個別に支援をするケースはありましたが、国として進める動きになったのは大きいですね。

[寺] とうとう「浮きこぼれ対策」が始まるんですね。うちもですけど、地方自治体によっては知能に問題がないと発達障害があっても支援の対象でなかったりして、もうただただ親と現場の負担になっていたので、実態を把握する運びになったのは歓迎ですね。ただ、今から始めると5〜6年先にスタートでしょうから、ちょうど今ごろ生まれて療育環境で育ってきた人が入るわけですよね。その頃には「ギフテッドのような子がいる」というのが学校や保護者の間で当たり前になっていて、特に「ギフテッド教育」というくくりでなくても自然に受け入れられるようになっているかもしれませんけどね(笑)

[く] いや、むしろそうなるといいですね(笑)しかし、ボクが障害者の教育について紛いなりにもかじってからもう15年近く経ちますけど、この間に発達障害の認知や支援は驚くほど進みましたね。

[寺] 子どもは入れ替わりが激しいですからね。うちもお兄ちゃんと娘の間(6年)で支援内容などがかなり変わったという印象ですよ。ただ、まだ手つかずの問題もありますし、この先数年でどういうトレンドになるかはちょっとわからないですね。

[く] 私はろう学校卒ですけど、ろう児教育も補聴器や人工内耳の技術が進歩したり、手話の重要性についての議論が深まったりして、目まぐるしくトレンドが移り変わっていますね。今のところはろう学校の中でも「人工内耳を装着する」か「手話による教育を推進するか」でだいぶ割れているようですが。

[寺] ろう学校ではどっちも使ってる人が多いと思うんですけど…なんで対立するんですか…。

[く] 「ろう者は手話を使ったほうがいいか、口話を学んで話せたほうがいいのか」という250年近く続いている議論の延長なのでなかなか根深いのですよね。日本では長らく「手話を使うと喋れなくなる」という理由でろう学校でも手話を使わない教育が続いていたんですが、当事者の間でそれに対する反発が大きくなって、ろう学校でも手話で学ぶ生徒が増えてきたところに、人工内耳が普及してきて「2〜3歳までに人工内耳を入れて聞こえるようにしましょう」という流れが強くなっています。

[寺] ひとまず決着がついた〜と思ったところに、違う流れがやってきたかんじなんですね。しかし、外側から見ていると、自然音が聞こえるということと、他人の言葉が聞こえることは違うものだと思うので、手話と補聴器はどっちもあったらいいよねー、と思うんですが…。

[く] 特に新生児から聴覚障害がある場合は「何を母語とするのか」というアイデンティティーを含む問題が絡むので、ろう者としては「ろう者は日本手話で育てたほうが自然に生きられる」「人工内耳をつけても完全に聞こえるようにはならないので言語能力は育ちにくい」とかそういう主張がある一方、主に医学界からは「早期に人工内耳をつけることで聞こえるようになり話す能力も伸びる」ということで強力に人工内耳の普及を進めているわけですね。そこには「聞こえないままに生きる権利」というのと「聴覚障害は治すものだ」という意見の隔たりが大きいように感じてます。

[寺] 燃料が投下されたかのように語り始めましたね。ちょっとこの対談のテーマから外れてしまうので発達障害に軌道を戻しますが、生まれながらの障害をデフォルトマンに合わせるべきかというのは、発達障害においても言われることです。特にASDを「治す」のはおかしいという言説は前からありますね。ADHDではあまり聞かないですね。ADHDの人が問題にする「障害」のほとんどは、自分が思った通りに体が動いていないことに対して感じていることだからではないかと予想していますが。

[く] ADHDの治療薬はストラテラやコンサータ・インチュニブなどが出ていて普及してきています。日常的に使っている人も一定数いますし、改善されているという実感もあれば、あの自分の好ましくない行動は薬で障害のせいだった、コントロールできることだったんだと自覚している部分もあるんでしょうね。でも、ASDを治療する、という薬は今のところ「この物質が効くんじゃないかな」という実験をしているまでは記事で読んだことがある程度ですね。実用化はまだ遠そうですね。

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。