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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第242回 「ASDは『偉い人』に忖度しない!?優先順位と人の肩書ってどう関係あるの!?」ってお話

登場人物

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本編

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[寺] いきなりですが!最近気がついたんですが!ふつうの人って、物事を行う優先順位をつける時に「その仕事に関わる人の重要度」を掛け算してませんか?

[く] えーと…?どういうことですか?

[寺] いや、仕事を頼まれますよね?でも、人って「なるはや案件」というものが常に手元にあるじゃないですか?娘を学校に送るとか、スーパーが混む前に買い物に行くとか、バイトでやってる仕事の中には更新する時間が決まってるやつもありますし、その締め切りをこなしながら、その合間、合間に、ちょっとずつ進めておこうみたいな仕事が。

[く] まぁ、常にありますよね。そこまであまり意識化しないけど、いつかはやんなきゃいけない、というか。

[寺] そのような仕事って、放っておいたら終わらないから「今日はノルマこれぐらい」って決めるんですけど、ノルマを決めた後に別な仕事を「優先的にやって」と言われるととても困るんです。ノルマを全部やってから最後にくっつける、ならいいんですけど。でも、「いま取り掛かってる仕事があるんで、何時ぐらいでも良いですか?」って言うと、えっというリアクションをされたり、あからさまに不機嫌になったりするんですよね。

[く] ああ、別な人、特に立場が上の人から「この仕事をして」と言われるとそれの優先順位が一気に跳ね上がったりすることですか!掛け算まで行くかはともかく、たしかに優先順位は大幅に加算されますね。

[寺] 普通の人は、重要と思っている(そういうことにしておかないと厄介な)相手からの用事は先にやるんですね、という学びを最近したんですよ。これ、多分ASDの人はほとんど気が付いてないんじゃないかって思うんです!それこそが発達障害の社会性のなさの一端なんじゃないですか!?だいはっけん!!

[く] 落ち着いてください(笑)

[寺] 仕事に関わる人が多いとその分やり取りに時間がかかるから早めにやらないといけないですよね。だから着手の優先順位が上がるのはわかる。アイドリングタイムを取らなきゃダメだろうなあという集中力を必要とする仕事に時間のゆとりを持たせるのもわかるんです。でも、「ワシが言うとるんじゃ」(口に出してはいない)は、よくわからないですね!むしろ、そういうプレッシャーを感じるとイライラします!

[く] なんかすげぇわかるんですけど、私はむしろそうういうプレッシャーがかかったほうが仕事はやりやすいです(笑)

[寺] でしょうねー。くらげさんは逆に、好き嫌いとか偉い偉くないだけ見えてる気がしますよ(笑)

[く] それはあるでしょうねぇ(笑)

[寺] 自分の中での見積もりはあるので、それを上から言われても、その時間までには出来んて!!物理的に無理!!って言ってるのに「そこをなんとか」とか「頭下げてんのや」って言ってくるやつ。次の仕事は受けねえって思いますね!

[く] 人の立場が優先順位を計算する係数に入ってないんですね!

[寺] これ係数なんだ!みんな自然にやってるんだ!!って思ったら、連絡取らないととうちの仕事忘れてませんか?って言われる謎が解けましたよ。逆に、仕事を提出すると「進めててくれたんですね!」って言われることもあって、いや、ストップとは言われてなかったじゃん!って思います。

[く] あー、普通は「進捗報告がないとやってない」とみなすがことが多いですからねぇ。私はそういうタイプですが(笑)

[寺] 私に仕事を頼むと…いつか必ず出来ますよ。忘れないから。ただ、大きい出版社だからとか、親しいからという理由で早く原稿が出てきたりはしないです。いま子育てがまだ大変なんで…と言うと、「出来た時でいいです!」っていうのに、しばらく置いておくと「まだですか?」「他の仕事はやってましたよね?」って怒って言ってくるの困りますよね。受けた順にやってるので。だから、あっちを先にやった、こっちを先にしてくれた、に意味はないんですが、そこが重要みたいだなと。

[く] 重要ですね…。私は優先順位が決められないので、そこまできっちり順番を作れるのすごいなぁ、と思うんですけど、周囲の空気を読んで仕事の順番を作れない、というのもまた怖いことだとは思いますねぇ。

[寺] まぁ、私が出世しないのも無理のないところなのですが、くらげさんも係数に右往左往して優先順位で苦しんでいるでしょう?どっちかだけで一生渡っていくのは難しいんだと思います。

[く] バランスが取れないのが私たちの欠点ですけどね…。

[寺] でも、気がついちゃったのでこれから頑張ろうとはならないですね…。そもそも誰が偉いかってわかんないから。相手が勝手に思ってるんですよね「ワシは偉い」っていうのは。

[く] 偉い、というか肩書の問題なんじゃないですか?

[寺] 部長と課長のどちらが上かも2年前まで知らなかった私になにか?(笑)

[く] えっ?さすがにそれは…(動揺)

[寺] えー?じゃあ説明できます? 部長の方が課長より偉い理由って。

[く] 基本的に人事査定で評価するのが上司だからではないんでしょうか…?

[寺] でも、それ、社外の人には関係なくないですか?会社の中で自分の役割を長い時間こなし続けてたんだなーえらいなーとは思うけど、優秀か、自分の役に立ってくれるかはわかんないじゃないですか?

[く] あー、そこかぁ…。たぶん、軍隊の名残の部分も大きいんじゃないでしょうか?ほとんどの軍隊って、階級の目安って同じなんですよ。一般の兵士は敵であっても将校に敬意を払って接する必要があるらしいのですよね。敵の将校を一般兵がバカにすると、それはそのまま味方の将校をバカにしていいんだ、という風潮になるからだとか。

[寺] 戦争をしたがる人って基本的に係数偏重でモノを考えるから、死ぬまでどこまで走れるかの人生観なんだなあ…。みんながそのレースに乗ってると信じてて、乗れないやつ(乗らないやつ)は出来損ないなんだなー…。確かに今の日本の会社社会そのままですね。なるほど、これは重要な気づきかもですね。

[く] 軍隊は戦争になると、無能な上司はなぜかすぐ死ぬので、比較的健全(?)に能力主義になるそうなのですが、そこまで極端にならないので無能でも上に行けるのが娑婆の会社だと思ってます(笑)

[寺] でも、ある程度は仕事できないと昇級はしないでしょ?総合職で入ったのにずっとお荷物で辛くてやめたみたいな話も発達界隈にはありますよね?

[く] まぁ、その仕事ができるできないを評価するのは上司なんで、他の同僚に嫌われても、上司に気に入られば(人事査定的には)仕事はできる人になるじゃないですか。その逆もしかりですけど。それに、無能な上司にとっては有能な部下は敵ですよ?

[寺] いや、一緒に戦うありがたい戦力ですよ!?いずれ大きく育つかもと思うと楽しみにもなりますし。

[く] 部下が出世すると自分の席があぶなくなるじゃないですか。「上に行くほど席は少なくなる」という原則から考えると、下の人が上に来るのは組織の中での競争が激しくなる、ということで…。

[寺] ああ!私もわかった! 上司も私みたいな人じゃないんだ! つまり、自分の影響力を感じるという報酬を得るために、自分の好き嫌いを発揮したがるんですね?中間管理職にとって、自分の影響力をより感じるためには…もしかして、会社が待望しない人事を起こすことが1番なんじゃ…!それ、構造的な欠陥がありますよ!!逆に今まで私が仕事場で採用した人が1人も辞めなかった理由それかも!

[く] 係数なしで物事を見られてますからねぇ。あおもなぜか採用任されたときは、あおが採用した人、あおが辞めるまでは一人も辞めなかったとか聞きました。

[寺] 私も前々職でデザインプロダクションにいた時、採用した人は誰も辞めなかったんです!特に可愛がってはなかったけど、教えしぶりとかはしてないですね。この仕事誰に振ろうかって時にも、向いてると思ったら譲ってました。でもデザイン業界は会社にいても1人社長みたいな感じだから、そういうの比較的少ないかも…。 やるやる言ってるのに出来なかったらそこまでですし…。

[く] たぶん、物を作らない仕事って「出世するための仕事をすること」も仕事に入るんですよ。これは「仕事をしたから出世する」とは違うんですが…。

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[寺] それが係数の問題なんですね!ASDの人の会社でうまくいかないと、ADHDの人の会社でうまくいかないの質が違うということがすっごくよくわかります。これは「偉い係数」の扱い方の違いだったんですよ。

[く] 質が違うとは?

[寺] ASDの人って、係数の存在に気がつかなくて、権力者が…私に言わせれば「勝手に」なんですが…馬鹿にされたと感じて敵視されることが多いんですよ。ADHDの人はその逆で、係数だけが見えてるから飲みに行くとか、喫煙所でコミュニケーションとかは凄く重要視するけど、基幹になる仕事はぼちぼちだったりして、評価されないケースも多いのかなあと。

[く] 前に話した縦線の話ですね。仕事には、まず作業自体ができるという縦線があって、それを出来る人と人同士を繋ぐという横線があって、どちらか一つでは長期には成り立たないと。確かに仕事自体のクオリティを上げるということは常に課題なんですよね。

[寺] 正直、ADHDの人の話を聞くとそのクオリティでよくその人に会いに行ったな!と思うことありますよ(笑)でもASDには、この程度じゃまだまだと言っているうちに時期を逸しがちな人も多いので、その辺も鏡合わせなんでしょうね。もちろんASDの極端な社会性のなさみたいなのは医療の言葉では語られてたんですが、限られた「日本的な組織をもった会社」での現われかたがこうなるとは知られていないはず。これは大発見なんじゃないですかね!?

[く] むしろそういうことに気づいていなかったことが私にとっては大発見ですね!久々に寺島さんの方の結構でっかいアレが出てきましたね!

[寺] これ私は仕事的にはバレるとかなりまずいんじゃないかと思いますけど(笑)ASDのある皆さんのためです、あえてこのまま晒してください!

[く] では、そうさせていただきます(笑)では、今回はこれぐらいですかね。お疲れ様でした!

[寺] いつもに増して疲れました!(笑) ではまた来週!

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。