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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第231回 「耳で聞こえることと頭で理解することは全く別問題!?コミュニケーションのコストをどうすれば!?」ってお話

登場人物

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[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。ちょっと小耳に挟んだんですが、なんでもくらげさんがついに車を手に入れたとか!思い切って買ってしまったんですか?

[く] 駐車場は契約したんですけど、車自体はマンスリーの激安レンタカーです。激安と言っても金銭的だけで見ればローンを組んで買って諸費用を払ったほうが明らかに安いのですが、いかんせん「生活で本当に車が必要か」とか「ローンを組んだら途中で何かあったときに解約できない」とかそういう不安があるので購入までには踏み切ってないんですよ(笑)

[寺] ADHDとしてテンションだけで買うと後で後悔するかも、という自覚が芽生えたんですね!? (笑)

[く] まぁ、あおが「購入は認めないけどレンタルなら妥協する」というところで折り合った、というのもあるんですけどね。先日から乗り始めましたが、割と生活スタイルが変わり始めた感じはあります。とくにあおを安全に運べるという面では車はすごく便利、というのははっきりしつつありますね。

[寺] せやろ?(笑)だから、くらげ家には車はあったほうがいいって前から言っていたじゃないですか…。

[く] ちょっと前まで自分は運転できない、と思いこんでいたんですが、これってどうもただの思い込みだったんじゃないかなぁ、という疑惑がめちゃくちゃ出ています…。

[寺] そもそもなんで免許を持っているのに運転できない、と思いこんでいたのか…。しかし、息子がいずれはフィールドワークで使うだろうからと、運転免許を欲しがっているんですが、自動車教習所のパンフレットを見たら、ざっと50万円もかかるんですよ!私が取得したときは20万とちょっとでしたよ!?

[く] 私のときもまだ25万円くらいでしたけど…。それ、合宿免許で宿泊料とか込みの価格ではないんですか?

[寺] いや、基本的な料金でコレなんですよ…。若者の車離れと言いますが、そもそも我々が若い頃より運転免許の取得率がかなり下がっていそうですね。だから、受講者が減っていて経営が大変なのかも…?そういえば、くらげさんはいまでこそ人工内耳をつけて話せていますが、その前は今より遥かに聞こえていなかった、と言ってましたよね。免許を取ったのは人工内耳をつけた後なんですか?

[く] 18歳のときに取得したので、人工内耳を付ける前ですね。よく誤解されるんですが、聴覚に障害があっても補聴器をつけた状態で10m先のクラクションが聞こえれば免許は取得できます。最近法改正があったのはこのクラクションが聞こえないレベルの人を対象にしたものですね。私は当時からその程度は聞こえてはいたので、取得自体は問題なくできました。

[寺] 自動車教習所での広義を受けるのには問題なかったんですか、いわゆる情報保障とか?

[く] 当時から教材のLDに字幕がついていたり、聴覚障害者向けの資料とかもあったので、割と情報保障は進んでいたと思います。私より聞こえない人でも免許を持っている人は珍しくもないので、わりと聴覚障害者向けのノウハウみたいなのはあるんじゃないでしょうかね?そういや、発達障害のある人で運転免許を持っている人ってどれだけいるんでしょうね?

[寺] 地域によってぜんぜん違うのでしょうけど、いわゆる「健常者」よりも持っている割合は低いんじゃないかなあとは思いますね。

[く] 発達障害は不器用だったり、粗大運動が苦手であっらりと、普通の人と比べて免許取得のハードルはどうしても高くなりますが、運転自体ができない、というよりも「教習所で教官の言っていることがリアルタイムで理解できない」とか「怒鳴られるのが怖すぎてやめた」とかの理由のほうが多い印象がありますね。全国の自動車教習所は共通して教官が怖い、というのは事実みたいです(笑)

[寺] 最近は「怒鳴らない・褒めて伸ばす自動車教習所」が人気らしいですよ(笑)発達障害のある人の場合は情報処理を同時並行で行うのがそもそも苦手な人が多いのですが、運転って同時並行で処理しなきゃいけない情報が多いじゃないですか。車の外を見ながら、手を動かすとか、足を動かすとか、ここでウィンカー出しておこう…みたいに瞬時に判断することも多いですよね。それなのに、更に教官の罵倒交じりの指示が近距離から飛んでくるわけですから、パニックになるのもわかりますよ。

[く] ボクはADHDと聴覚障害を併発しているのですが、聴覚障害のほうで情報保障があったおかげでゆっくり話してもらったりメモ書きしてもらったり、と伝わりやすくしてもらっているので救われていた面があるんですよね。口頭で聞こえないのは前提となってるので。

[寺] 発達障害は「見えない障害」ですから、こういうところではワリを食いがちですよねえ。そういえば、少し前に「発達障害のある人は上司の言うとおりに仕事をしない」という訴えを受けて、どうしてそうなるのか検証をしているテレビ番組を見たことがあるんですよ。上司役の人が「この書類を5階の誰それに渡して欲しいんだけど。原本は僕に戻して欲しいので、3階にあるコピー機で5部コピーしてから行ってくれる?」みたいな、時系列になっていない+僕に戻しにきて欲しいという隠されたミッションのある指示を出したんですね。ところが、その部下役の人が「この書類を誰それさんに渡す」しか覚えてなくて「あと色々言われたような気がするけど…ああ、そういえばどこにいるんだっけ?3とか5とか言ってたっけ?」となって。で、上司役の人に「一応確認なんですが、何階にいらっしゃるんでしたっけ?」とだけ聞いて「5階だよ」と言われたら、なんか満足して「5階ですね、行ってきます!」と言って出かけたんです。まあ、それでそのまま書類を渡して終わりと。まあここまでは私も予想できたのですが、それをテレビに出演してるパネラーの人がVTRで見ながら「これは大変だ…!」と言っていたんです。すごく驚きました。

[く] それ、私も全く同じようなことを繰り返していますが、普通の人はそれを当たり前に理解できるんですか(笑)

[寺] できることが前提になるんですよねぇ…。この場合は「指示をちゃんと聞いてない」とかでは全然なくて、単に言われたことの「内容を汲み取れない」なんですよね。しかし、指示を出す方とすれば、自分の言っていることを整理しながら受け取って適切な方法で解決してくれるというのが、部下や請負業者に望むことなので、そこで「使えねー!」となってしまうのかなと…。

[く] 聴覚障害でも「聞こえない」と「聞こえても理解できない」の境目って結構曖昧なんですよね…。ただ、聴覚障害は「聞こえない」ということが前提になってるので許されている面があるんですが、発達障害の場合は「聞こえている」のが前提で、なおかつ「聞こえる」と「理解する」ってほとんどイコールで語られますよね。

[寺] そこですよねー!ただ、いちいち「理解しているかどうか」を確認しながら話すってすごいストレスなんですよ。あまり細かく確認すると「馬鹿にしてんのか!?障害者だけど仕事はプロとしてやってんだ!」って怒り出す人もいるでしょうし…。

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。