モノを大切にする日本人とメルカリ

フリマアプリ「メルカリ」。最近知らない人の方が少ないような気もするこのサービスは、ここ数年で利用者がかなり増えているようだ。わたしも主に出品でよく利用するのだが、必要なくなったモノを捨てるのではなく、必要としてくれる誰かに譲るというのは捨てるよりも全然、気が楽だ。

最近メルカリは「モノガタリ」プロジェクトなるものを行なっている。著名作家の書いた「モノ」に関する短編を公式Twitterで発信し、出品者に対して商品説明欄にその「モノ」と出会った経緯を書くよう募集しているのだ。すごくいいプロジェクトだ。

わたしはこのプロジェクトに大好きな伊坂幸太郎さんが参加しているのを見てなんだかとても嬉しくなった。伊坂さんらしさの漂う世界とメルカリのサービスが妙にマッチしていたのだが、短編は「いらなくなった革ジャン」を「必要な誰かにあげる」ことから始まる。詳しくは短編を読んだ方が早いと思うので割愛するが、やはり捨てるのではなく、譲るっていいことだな…と思わせてくれる作品だった。

日本人は古くから「モノに魂が宿る」と考える文化があったらしいが、現代の日本人にも無意識のうちにその思考が根付いているような気がする。わたしはちょっとそれが顕著だったのか、すぐ「モノがかわいそう」とか「大切に扱ってあげよう」とか思ってしまう性分で、使ったモノは大抵綺麗な上、自分には必要なくなったモノも捨てられずに取っておいてしまうタイプだった。

小学校…中学校…高校…成長するごとにわたしの部屋にはモノが増えていった。綺麗好きでもあるから困っていたのだが、そんな時に「メルカリ」の名をよく聞くようになった。そこで、綺麗に扱ってきた参考書や、趣味が変わって着なくなったけど状態の良い服などを売り出してみたら、驚くことにそれが結構売れるのだ。今はコロナの影響も鑑みてやめているのだが、基本的に短いメッセージを入れるようにしていて、そこに手放すにあたった経緯や買い取ってくれたことに対するお礼を書くと、喜んでくれる方がいる。そうして嬉しいメッセージをいただくたび、譲ったモノもこんな方にまた使ってもらえて良かったな…喜んでるかな…と思ってしまうのだ。

もちろん、メルカリはお金のやりとりが発生するサービスなので、お小遣い稼ぎとしての側面も大きい。だが、「勿体無くて捨てられない」という話はよく聞くし、経験のある方も多いような気がするから「モノを大切にする」日本人とメルカリのサービスはとても相性が良かったような気がするのだ。メルカリというサービスがここまで発展したのは日本ならではなのかもしれないなぁ…とも思ってしまう。

転売などにメルカリを利用したり、商品説明を偽ったりする人もいてトラブルもあるようだから、良い面ばかりとも言えないのかもしれないが、メルカリの根本の発想はとても暖かくて、優しいものだなぁと思う。

わたしの出品したモノを買ってくれた方にも、モノそのものにも感謝を忘れないようにしていきたい。

メルカリの「モノガタリ」プロジェクト
https://twitter.com/mercari_jp/status/1254938380472745985?s=21
興味が出たら是非読んでみて下さい。




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