君と僕

 それは智慎からパワーストーンを貰った後の出来事。

「ねえ、最近何時もつけてるけど、それなに?」

「……」

パワーストーンに興味なんか持ちそうもないクレハがそう聞いて来た。

「これはね智慎から貰ったんだ」

僕は言うとブレスレットを大切そうな目で見つめる。

~回想スタート~

 ある日の昼下がり。

『雪奈。お前にこのパワーストーンやるよ。俺が作ったんだ。お前は俺の妹分だからな。だからやるんだぞ。ほら、これを身につけていればどんなに離れていたとしても俺達は繋がっているって感じるだろう』

『気持ち悪い奴だな。雪奈。そのような物捨てよ』

笑顔でパワーストーンを渡してくる智慎に顔をゆがめて晴義が言う。

『なんだと!?』

『ふん』

喧嘩を始めてしまいそうな二人へと溜息を吐き出すと僕は口を開いた。

『……智慎有難う』

『おう』

僕の言葉に彼が眩しい笑顔を浮かべ喜ぶ。

~回想終了~

 説明を終えると不機嫌そうな顔の彼が僕の右手についているパワーストーンを睨み付けていた。

「それ、貸して」

「……」

言われるがままに外して渡すと彼が彫刻刀を取り出し何事か文字を刻み始めた。

「はい。あんたの為にぼくがわざわざ加護をつけてあげたんだ。無くしたら承知しないからね」

「素直じゃないなぁ~」

突き付けられたそれを受け取りながら僕は言う。

「うるさいな」

「クレハだって僕がやったパワーストーン何時もつけてるくせに」

素直じゃないクレハへと彼の右手首についている翡翠と黒水晶のパワーストーンを見詰めて呟く。

「……これからも世界を渡るんだろう。だから特別にあんたを守るようにと加護をつけてやったんだ。感謝してよね」

「クレハ、有難う」

「あんたが素直にお礼を言うなんて気持ち悪い」

素直にお礼を述べると彼がそう言って明後日の方角へと顔をそむける。照れ隠しであることは分っているんだけどな。

「まぁ、昔の僕じゃ言わなかっただろうね。僕も君もあの頃よりは成長したんだ。そう思うでしょ」

「……ふん」

僕の言葉にクレハが小さく鼻を鳴らす。本当に素直じゃない。それが君と僕の関係だよね。今までもこれからもそれでいいんだと僕は思った。

======

後日。

 不機嫌そうな顔のイオリが僕のパワーストーンを見て口を開いた。

「ねぇ。最近何時もそれ付けてるけどそれなに? 愚弟の力も感じるし」

「これはね智慎から貰ったんだ。そしてクレハが加護をくれた」

クレハにしたのと同じ説明をすると更に不機嫌そうになった彼が有無を言わせぬ勢いで僕のパワーストーンを取り上げると魔術を施す。

「はい。僕がわざわざ君の為に加護を与えたんだ。無くしたらただじゃおかないからね」

「素直じゃないね」

似た者同士だって言ったらきっと怒るだろう。だから言わない。

 さらにその後のこと。

「あの、雪奈さん。そのパワーストーンからお兄ちゃん達の力を感じるのですが……」

「クレハとイオリから加護貰ったからね」

おずおずといった感じでヒスイが尋ねて来たので説明する。

「あぁ、やっぱり。ボクもいいですか?」

「……」

何故かキラキラした眼差しを向けてくる彼へと僕は何も言わずに承諾した。

それを知ったクレハが不機嫌になったのは言うまでもない。

******
あとがき

 唐突に思い浮かんだままに書き殴りました。誤字脱字などありましたら申し訳ございません。
えっと、なんていうか特にこれといって起承転結が決まっていたわけではなく本当に思い浮かんだネタを書いたって感じですね。
クレハとかイオリとかヒスイって誰だよ?(これから小説に登場するかもしれないキャラかな?)
「僕」って言っているから多分雪奈だよなって感じで「僕」位置は雪奈にしました。
パワーストーンは智慎が雪奈の為に作ったもの的な感じにして話を進めました。
こんな話を読んで頂き誠に恐縮です。

基本長編か短編の小説を掲載予定です。連続小説の場合ほぼ毎日夜の更新となります。短編の場合は一日一話となります。 連続小説などは毎日投稿していきますが私事情でPC触れない日は更新停止する可能性ありますご了承ください。 基本は見る専門ですので気が向いたら投稿する感じですかね?