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SPドラマ「金田一少年の事件簿」(松本潤Ver) 【”魔術列車殺人事件”感想】美雪はとんでもない押しかけ女房だった件

ドラマシリーズに先駆けて2001年3月25日に放送されたスペシャルドラマ「魔術列車殺人事件」(原作単行本は20,21巻に収録)。「地獄の傀儡師」こと高遠遥一とはじめ達が初めて会う話だ。そして、ドラマ最終話も彼が登場して締めくくっている。(4代目「金田一」も最終話が高遠の登場回)

じぶんは2代目「金田一」最終話を見てからこのスペシャルドラマを見たので、今回の高遠遥一もあのチンピラっぽい感じで出るのかと思いきや、さにあらず。4代目での高遠を演じた成宮寛貴さんには及ばないものの(あくまで個人的な意見)、この話の高遠は本来のイメージに近くて、いい意味で驚いた。(それと同時に同じ藤井尚之さんが演じてるのに、なぜあんなに変貌してしまったのだろうかという疑問も生じた…)そのため、高遠に関しては最終話のような変な違和感も抱かずに済んだ。

だがしかし、である。美雪よ、なぜあんなにうっとうしい押しかけ女房のような感じになってしまったのか。はじめも「うっとうしいんだよっ!」って言っているぐらいだ。(そもそもはじめもあんな風に怒鳴るキャラでは決してないハズだ‥)ドラマシリーズでは割りと落ち着いてはいたようだが、今回はひどかった。鈴木杏さんがどうとかではなく、そういう設定にしたからなのだろう。

美雪ほどではないが、はじめもそうだ。あそこまでツンツンしなくてもいいだろう。時折発する乱暴な言葉も、最後の最後でモノに当たるシーンもどうにもいただけない。佐木も佐木で、なんとなく美雪に気がある素振りを見せてるのも気になる。(その割には以降でほとんど絡んでこない)剣持さんは最初こそはちょっとカリカリし過ぎだとは思ったが、この話ではじめたちとは初対面だから許容範囲だ。のちにはじめ達と仲良くなるのは◎。剣持さんは何代目もそれぞれの味があって、しかもほぼ違和感も感じたことはない、安心枠だと改めて実感。

こうしていつものメンツには剣持さん以外不安要素しかなかったが、話全体としてはうまく原作を再現しているし、ドラマとしては見応えがあった。「幻想魔術団」側では山神団長にもはや懐かしいMr.マリックさんを起用し、胡散臭くていや~な感じの左近司を井上順さんが熱演し、色気むんむん(死語)の夕海を井上晴美さん、おどおどした桜庭を最近よくドラマで見かける片桐仁さん、下っ端マジシャンだけど気のやさしいさとみを山田まりあさん、と各キャラに合ったキャスティングをしているのも良かった。

近宮玲子(金久美子)と高遠少年(渋谷謙人)の回想シーンも、剣持さんとのそれも、どこか切なく、とてもドラマティックで、かつイメージ通りのシーンになっていてとてもよかった。(左近司たちと近宮のシーンでの彼女のセリフ「あんたたちは道具でしかない」のような発言や言動には違和感。彼女はあんなことは言わない気がする)

こうして見ていくと、ドラマとしてはまずまず良くできていた作品にはなっているとは思う。だが「金田一少年の事件簿」としてはいただけない部分がどうしても目についてしまう。音楽もそうだが、キャラ設定にしても初代と違う風にしよう(あるいは原作とも)と敢えて挑戦したのかもしれないが、そんな挑戦はいらなかったと言わざるを得ない。ドラマシリーズではスペシャルの挑戦成分が落ち着いてはいたが、SPドラマではじめたちを原作とかけ離れたキャラ設定にしてしまったことがやっぱりまずかった気がしてならない。それがなければもっと違うものになっていたのかもしれないのに…と今更ながらに思いつつ、この「魔術列車殺人事件」をもって2代目「金田一少年の事件簿」の感想noteを終わりにしたい。

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