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No.49/オススメの1冊:特別授業「社会契約論」(2024.02.18)

こんにちは、くのてつです。

自分の読書備忘録も兼ねて、僭越ながら毎週日曜日はオススメの1冊を紹介させていただいています。

今回の1冊はこちら。

世界史でテスト勉強のために覚えたルソーの社会契約論。

有名な人で有名の論、だとしか思っていなかったのですが、教育の本質に迫るものだったとは。

そのエッセンシャル版的なものとして社会契約論への興味が深まる1冊であるとともに、哲学の重要性を感じる内容でもあったので、自分なりに整理します。

時代を超えて「よい社会」を考えること

ルソーの社会契約論。

ジャン=ジャック・ルソーが1762年に50歳で公刊されたのがこの社会契約論です。

既に262年も前の話で、日本では江戸時代ど真ん中。明治維新まであと100年以上ある時代です。

そんな時代において「よい社会とは何か?」を問いたのが社会契約論です。

封建社会や絶対王政に批判的な思想を持ち、フランス革命に大きな影響を与えたと言われています。

自分はそんなルソーの立場を会社組織に準えるとわかりやすいな・・・と思いながら考えてみました。

古き悪き旧態依然として組織構造の中においては、指示命令は絶対です。

上司によっては理不尽なものもあるでしょう。

そんな中、声をあげるということがいかに難しくリスクを伴うものか。時代を考えると尚更その凄さを感じますね。

今の日本は平和であり、誰もが自由を謳歌できる環境にあります。

それはつまり、自分たちは「よい社会」を考えるための”安心”できる環境がある、こととイコールだと思います。

社会という大きな世界観でなくてもいいので、まずは身の回りのことからでも「よりよく」を考えてみてもいいかも知れません。

社会契約論の「問い」とは何か?

人間は自由なものとして生まれた、しかもいたるところで鎖につながれている。自分が他人の主人であると思っているようなものも、実はその人々以上にドレイなのだ。どうしてこの変化が生じたのか? わたしは知らない。何がそれを正当なものとしうるか? わたしはこの問題は解きうると信じる。

苫野一徳. 別冊NHK100分de名著 読書の学校 苫野一徳 特別授業『社会契約論』 (p.28). NHK出版. Kindle 版.

本書の中で、社会契約論の冒頭にある文章がその「問い」にあたると書かれており、それが上記引用の一文です。

著者の苫野さんは哲学書の読み方を以下の3点を外さないこととおっしゃっています。

1:問とは何か?
2:どのような方法でその問いを考えたのか?
3:たどり着いた答えは何か?

難しく感じてしまう哲学、哲学的思考において実に分かりやすい3点だと感じます。(※実にありがたい!)

本書の中で、問い、方法、答えが提示されていますので、興味のある方は本書を読み進めていただければと思います。

哲学って面白い!

上記引用の問いに対して、どのように答えを導き出したのか。

この思考方法に触れ分かったのは、「哲学、哲学的思考は物事の本質を捉える原理原則がある」ということです。

決して表面的なものではなく、自身にとっての真実と偏ったものでもない。

一方で二元論的に正否をつけるものでもなく、可能性を閉じるものでもない。

苫野さんは哲学についてこう表現されています。

哲学の本質、それは「本質洞察に基づく原理の提示」である

苫野一徳. 別冊NHK100分de名著 読書の学校 苫野一徳 特別授業『社会契約論』 (p.17). NHK出版. Kindle 版.

なるほどな・・・、実に深くシンプルな答え。

自分が偏った思考をしないために大切な教えですし、また物事をどう捉えるか、という点にもおいてもキーになってくると感じます。

哲学的思考、哲学を学ぶことは自身の幅を広げ、溢れる情報の中で本物を見つけることや、真っ当な仕事をするための武器になる。

そんな学びをくれたように思います。

読了以降、自分の見える世界観を変えてくれた、そんなきっかけとなる1冊でした。感謝!

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